【後編】全てを自転車へ捧げた青春時代、背中を押してくれた両親 近谷涼インタビュー

「まずは自分が強くなろう」って

Q:チームパシュートで力が伸びているのは、特に窪木選手と近谷選手と感じます。それには何か秘訣がありますか?メンタリティが変わった、トレーニングが変わった等。

様々な要素があります。トレーニングはもちろん、ブリヂストンにトラックチームができたのもありますし、それに伴ってロードレースを多く走るようになり、持久系も鍛えられ、食事も意識して変えました。

あと窪木(一茂)選手の影響も大きいです。窪木選手は最年長でTT(タイムトライアル)も強い。チームパシュートは「皆で集結し、タイムを出そう」という前提がありますが、窪木選手は「自分がチームの先頭で長く速く走れば、もっと良いタイム出るんじゃないか」っていう考えだったんですよ。だから「まずは自分が強くなろう」って。

Men's Elite Team Pursuit / Asian Championships Track 2019 Jakarta

窪木一茂

その姿を見て感化され、長く、速く走れる様に練習を積んでいきました。今まで日本チームではやって来なかった事を取り入れてみたり。僕らはお互いに意識し合ってると思います。先輩後輩として大学の頃から一緒にやってきた関係なので。

Q:オリンピックで出場を目指しているのはチームパシュートですよね。昨シーズンの成績から、オリンピックはポイント的に厳しいと思いますが、近谷選手から見てまだ可能性は?今後1年チームとしてどういう動きになるのか?どう見ていますか?

ポイント的には世界選手権もダメだったので、厳しい面はあります。ただ、ナショナルチームだけでなく、ブリヂストンの選手としての方針もあります。

デンマークとかイギリスの選手は、プロコンチネンタルやワールドツアーなど、ロード界の世界トップを走る選手じゃないですか。でも日本の選手はほとんどが足元にも及ばないカテゴリーで走っていて、ロードだったら日本のリーグでも勝てない。「どんなトラック選手もロードが強いから、まずはそこを強化しよう」という考えがあります。

ワールドカップ、そしてその先・・・

最近のチームブリヂストンのレースを見て頂ければわかるんですけど、トラック選手がJプロツアーを走ったりしています。今村(駿介)選手がこの前(第5戦宇都宮で)優勝しましたが、僕たちトラック選手もロードをやると、トラックで培われたスピードをロードで活かすことが出来ます。

Ellimination / Men's Omnium / Track Cycling World Cup VI / Hong-Kong

今村駿介

最近はチームでロード選手と一緒に合宿に行き「持久力を強化してからトラックに戻ると良い結果が出るんじゃないか、だからこそ持久力を強化しよう」というのが自分のスタンスです。これまでと同じ練習をしても結果は変わらないから、何か視点を変えるべきなのかなって。

先日も研究所で測定し、乳酸の出方とか特徴を全部データに出し、人それぞれに合わせた練習を組みました。結果はどう出るかはわかりませんが、そういった部分で新たな取り組みも行っています。

最終ステージの優勝は窪木一茂 /TOUR OF JAPAN 第8ステージ

Q:チームパシュート以外で個人的に目指すことは?

今は無いです。もし目指すなら、長い目で見て2024年のパリ・オリンピックとか。でも色々トレーニングとかも変わってきますし、他のスキルも必要になってくるので。

Q:パリオリンピックまで目指すとしたら、社長に「パリまで行くのでよろしくお願いします」と話をしなければいけませんね。

そうですね(笑)

長く会社に面倒見てもらうことにもなりますし、このままでいいのか?例えば自転車一本にして自分にプレッシャーかけてやっていったほうがいいのか?とか考えたりもします。

近谷涼

プロの世界だけを職業にしてたら、そこでクビになったら終わりじゃないですか。でも今の僕は(会社に入っているから)そこまで背水の陣ではない。甘んじてやっているわけではないですけど、より厳しい状況になったら契約を勝ち取るため、あるいはより大きなチームに声をかけてもらうために頑張るわけじゃないですか。そういう場所に立ってみたらどうなるのかな、と考えたりします。

でも自分の中では、オリンピックだけを競技として見ていないというか・・・・もちろんオリンピックは4年に1度の大きな大会ですが、オリンピックだけに固執するとそれしか見えなくなり、視野も狭くなるので、全日本ロード、TT、Jプロツアー、アジアのロードレース・・・トラック含め幅広くやっていきたいなと思ってます。結局、強い選手はどの種目でも走れると思うんです。むしろ幅広く走ることで目標としているところに近づけると思っています。

「どんな自転車競技も仲間、その楽しさをシェアしたい」橋本英也の多動力

Q:東京オリンピックに固執してないということ?

東京オリンピックに関しては、今までそれに向けてやってきたので一番大事だと思ってます。その先に関しては、パリだけに絞るという事では無いという事です。

自転車に捧げた青春

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