ケイリンでの世界選手権銀メダル獲得、UCIの個人ランキング世界1位。2018-19シーズンで一気に世界のトップに近づいた日本エースの1人、新田祐大。直近のロシア遠征ではケイリンで銀メダル1つ、スプリントで銀と銅を1つずつ、そしてチームスプリントでも銅メダルを獲得し、更なる進化を証明した。

これまでも我々More CADENCEは事ある毎に接触を図り、この大物を捕まえることに成功してきたが、今回も独占インタビューの機会を設けてもらった。世界選手権後の周りの反応、オリンピックへの最後の試練となる新シーズン、そして今の競輪についての想いなどを公開する。

新田祐大のプロフィール

1986年1月25日生まれ、福島県出身。
アジア大会2018男子ケイリンで銀メダル、男子チームスプリントで銅メダルを獲得。自転車トラック競技を中心に活動するプロチーム『dream SEEKER(ドリームシーカー)』の代表も務めている。「世界で活躍できる選手は日本の競輪でも強い」を証明する競輪界のスーパースター。外国人と比較しても見劣りしないパワーは、「日本人でもやれるぞ」と思わせてくれる。以前オーストラリアで武者修行をしていた時のあだ名は「Crazy Nick」日本では、「会津のホワイトタイガー」の異名を持つ。

世界ランクNo.1

既に世界選手権が終わり多くの日数が経過した春の陽気の中、頂上まであと一歩だったこと、その結果に対しての世間の反応はどうだったのかと尋ねた。

Men's Keirin Final / 2019 Track Cycling World Championships Pruszków, Poland

新田:世界選手権で準優勝したと報告すると、一般の人からは「凄いね!おめでとー」といった感じです。でも世界ランキングがトップになったって伝えると「マジか!!?」ってなりました(笑)世界選手権の結果よりも世界ランキング1位ということに皆反応してくれますね。

だが世界ランクトップまで上り詰めた戦いは苦しい戦いの連続だった。
昨シーズンの序盤、それこそスタートダッシュに失敗し、悩みに悩むこともあった

新田:昨シーズンは終わり良ければ全て良しといったシーズンでした。前半戦は(2018年4月~9月まで)2018年の世界選手権で河端選手がメダル獲得したことを見ていたので、モチベーションは高かったのですが、身体が疲れすぎていて自分がどのような状態なのかよくわかりませんでした。その前の年(2017年)の同じ時期もトレーニングで追い込んでいたので、同じような疲れが来るという心構えはありました。でも疲れと結果の出ないこと、2つの要因が重なり、その時にやっていることが正しいのかな?と思ったり。何とか我武者羅に結果を出すためにやっていた感じですね。なので、まずはワールドカップに出場するために、1ポイントでも高くポイントを得ることを考えていました。

新田祐大

10月のW杯シーズンまでが前半戦ですが、前半戦は特にダメでした。JAPANトラックカップ(2018年7月に開催)で結果が出ず、ポイントが足りないので同じ週に長野に行って急遽大会に出場したり、そんな時期を過ごしていました。その時はテオ・ボスもケイリンのポイントを獲得しに行っていましたね。

ただ、後半戦の直前にはTRACK PARTYで試したいことがあり、そこで試したことが功を奏して、その後の結果につながってきたのかなと思います。

そこで得たものとはなんのか?力強い口元から笑みはこぼれるが・・・

新田:内容は秘密です(笑)でも200mFTT(助走をつけた200mタイムトライアル)で9秒7を出したので、その時はブノワコーチも驚いていましたね。そこで掴んだものをW杯の第3戦で試して、結果が出なかったものの、感覚としては良いものを得ました。

Men's Sprint/2018-2019 Track Cycling World Cup III Berlin

新田祐大

2019の快進撃