競輪から帰るとパフォーマンスが上がる

Q:今年は、競輪にも多く出場しています。たくさんの開催に出るのと、練習に集中して大きな大会にするのでは、どちらが自分のスタイルに合っていますか?
多くレースを走っている方が、コンディションが良いなと思いますね。競輪では、1日1本のレースで4日から1週間くらい拘束してもらえるので(笑)。
Q:拘束してもらえる(笑)
競輪は、頭や精神的にはすごく疲れますが、普段の練習から考えると筋肉自体への負荷は少ないので、体がすごくフレッシュな状態になります。競輪のレースから帰ってくると、自分の思っている以上にパフォーマンスが良いんですよね。
Q:ナショナルのコーチ陣からは、競輪の開催後は休んで良いよと言われている?
状況によりますが、G1後とかは休んで良いよと言われる時もあります。ただ、最近は良いパフォーマンスを出せるのが嬉しくて、競輪から戻ったあとすぐ練習に出るようにしています(笑)。
出そうな杭、尾野翔一
Q:お話を聞いていても、すごく充実した時間を過ごせている印象を受けます。
昨年はオリンピックもあり、追い込まれているような時間が多くてすごくハードでした。オリンピックが終わり、少しモチベーションが落ちた時期もありましたが、先日の『ジャパントラックカップ』の少し前くらいから「もっともっと強くなりたい」という気持ちがあらためて芽生えてきました。
Q:その心境の変化はどうして?
コーチと話あってしっかりと休む期間が与えられたこと、それから、Bチームで強い後輩たちがたくさん出てきていることが理由です。後輩たちが一生懸命やっている姿を見ると、背中を押されるような気持ちになります。
Q:同年代の尾野翔一選手も新たにナショナルチームに加わりました。
翔一は、ポテンシャルはトップオブザトップの域にいると思います。ちょっと出てきそうな杭なので、早めに叩いておきたいですね(笑)。

「出そうな杭」こと尾野翔一選手
練習では、「そんなんじゃ全然ダメ!世界に通用しないよ」って先輩風を吹かせていますが(笑)、同じ時期から競技を始めていたら勝てていたかわからないくらい才能がありますね。怖い存在です。
ナショナルチームとしての変化
Q:コーチ陣が新体制となりましたが、ナショナルチーム全体の雰囲気に変化はありましたか?
選手の士気は、絶対に上がっていると思います。短距離チームでは、長迫吉拓選手が火をつけて引っ張ってくれていて、その背中を見て僕も追いかけている感じです。その後ろからBチームのアカデミーの子たちも背中を押してくれるので、すごくモチベーションは高いです。
Q:長迫選手は大きな危機感を持っている、という話をされていましたが、周りから見ていても感じますか?
はい。練習でのパフォーマンスも、圧倒的に上がっています。もしかしたら、(同じBMXレーシング出身の)高橋奏多という存在の影響もあるのかもしれません。チームスプリントに関しても、すぐに劇的な変化が出るというわけではないかもしれませんが、チームとしては今後がすごく楽しみです。

左:長迫吉拓 右:高橋奏多 2024ジュニア世界選手権ではコーチ(長迫)とライダー(高橋)として一緒に戦った
Q:Bチームからの突き上げも、チームに良い影響を与えているということですね。
AチームとBチームの境目がすごく近くなり、お互いに大きな刺激となっていると感じます。
今も、練習が終わってからも自転車に乗っている選手がたくさんいる。チームとして変わってきていますし、本当に良い状態だと思います。
アフロのアルカンシェがもたらす影響
Q:秋には『世界選手権』も控えています。ここは、明確に狙いに行く?
そうですね。前までは漠然と「アルカンシェルを獲れたら良いな」と思っていたのですが、現在のナショナルチームには昨年アルカンシェルを獲った3人(山崎賢人・窪木一茂・佐藤水菜)が居る。それは、気持ちの部分でも大きな影響があります。
Q:アフロのアルカンシェル(山崎賢人)が士気を上げてくれているということでしょうか?

アフロのアルカンシェルこと山﨑賢人選手
賢人さんの姿を見て、みんなが諦めずに取り組めたり、練習に取り組む姿勢が変わってきたという部分はあると思います。賢人さんはみんなに応援されていて、みんながアルカンシェルを獲ってほしいと思っていた選手。自分も、あんな先輩になっていきたいです。
Q:そんな先輩に近づくために、アフロにする予定は?
まったくないです(笑)
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