ブノワ短距離ヘッドコーチとの奇跡的な出会い
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競輪学校在籍中にアジア選手権でメダルを獲得しました。そのときのことを教えてください
ただ普通に競輪学校を卒業して、競輪選手になると思ってました。だからナショナルチームに繫がるなんて思ってもいなかった出来事でしたね。
まず、ナショナルチームの仕組みを分かっていなかったし、競輪学校へ入学したときには、もう既にナショナルチームの子がいたし、セレクションなんて受けられないだろうなって思っていました。
そんなときにブノワ(・ベトゥ=トラック短距離日本ナショナルチームヘッドコーチ)が、私が競輪学校に居るときに来て、まだ生徒なのに日本代表に選んでくれたんです。
だから、メダルを獲ったっていっても、あまり現実感はありませんでした。競輪学校に入る直前までギャルだったし、短期間ですごく生活環境が変わりましたから。
そういった劇的な変化の中に身を置いて、太田選手自身はどう変わっていったと思ってますか?
もともとお金を稼ぐために自転車に乗り始めたんですけど、「お金よりやりたいことがある」って思いが生まれてきました。オリンピックを目指したいって。
お金はある程度、みんなが生活できて、普通に生きていける分があればいいって考えるようになって。ブノワと出会えたのも奇跡的なことだったって思うから「それは活かすしかないでしょ!」って思ってます。
でも、まだまだ足りない部分が多い。このままじゃダメです。
自分に足りてないところとは?
スピードも、テクニックも。でも、例えば今までは何もかもが土俵外だったのが、今は土俵に乗ってるかな?って思ってます。戦えなくはない、自分の気持ち次第なところにまでは来られたと感じてます。
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太田りゆ(チーム ブリヂストン サイクリング)
では逆に成長を感じているところは?
最近は“周りが見える”ようになってきていて、例えば、準決勝で3着まで勝ち上がりって条件ならば、「そこに入れればいい」って思えるようになったんです。予選とか準決勝とかで1着になりたい欲もあったんですけど、「違う、決勝に進めばいいんだ」って。
そう考えられるようになったら、レース中も冷静にいられるようになりました。前が詰まっているけど、私は外を回ればいけるとか、行くところがないけど私は脚が残ってるから散ってから仕掛けても間に合うとか。
いい意味でレースが楽しめるようになったのかもしれません。
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アジア大会2018に日本代表として出場