2024年春に競輪選手としてデビューする中石湊。プロデビューを目前とした中石は自転車トラック競技のナショナルチームメンバーでもあり、養成所所属として2024年2月のアジア選手権にも出場した。

「自分が世界と戦えるレベルにあると考えていなかった。ただ競輪選手になる前段階として、自転車競技をしていた」と振り返る中石。

陸上競技から自転車競技への転向、幼少期に見た競輪の記憶……そのバックボーンと「これから」を紐解く。

中石湊プロフィール

2004年生まれ、大阪出身。中学までは陸上競技に力を入れるも怪我をきっかけに競輪選手を志し、北海道の函館大谷高校へ進学。

2022年 UCIジュニア・アジアトラック選手権 スプリント優勝
全国高等学校総合体育大会自転車競技大会 1kmTT優勝
全国高等学校選抜自転車競技大会 1kmTT優勝

2022年春以降はトラックナショナルチームのジュニア選手として、国際大会でも活躍。

2022年 アジア選手権(ジュニア) スプリント優勝
ケイリン2位
1kmTT 3位
ジャパントラックカップ 200mFTT
男子ジュニア日本新記録更新

2023年春、高校卒業後に日本競輪選手養成所へ入所。ゴールデンキャップ獲得など養成所で好成績をおさめるかたわら、国際大会にも参加した。

2023年 第2回記録会
第3回記録会
ゴールデンキャップ獲得
2024年 アジア選手権(エリート) チームスプリント優勝
1kmTT 2位

2024年3月、日本競輪選手養成所を卒業。5月からは競輪選手としてのプロデビューが控えている。

ターニングポイントは「2022年春の高校選抜」

得意の1kmTT 春の選抜での優勝レース

Q:最初に筆者が中石選手を見たのは、高校選抜の時だったと記憶しています。当時から「強い」と噂になっていましたが、高校生の頃はナショナルチームで世界と戦うことなどを考えていたわけではなかったですか?

そうですね。競輪選手になることを目標として自転車競技を始めました。高校から、未経験の状態から始めたので、「自分が強くなる、世界を目指せる」という考えがなかったです。

高1、高2の時に「これに出るとナショナルチームから声がかかりやすい」というジュニアオリンピックもありましたが、その時も特にナショナルチームを意識してはいなかったので、高体連の大会(インターハイと春の高校選抜)をメインに出場していました。

それがたまたま、最後の高校選抜で声をかけていただきました。当時は1kmTTをメインにしていて、2年のインターハイの1kmTTで優勝しています。それで「もっと強い人と戦いたい」という思いが出てきて、ナショナルチームの合宿に参加しました。

幼少期、岸和田競輪場の記憶

Q:競輪選手になりたいと思った、そもそものきっかけはなんだったんでしょう?

かなり小さい頃だったので朧げな部分もあるのですが、岸和田競輪場で競輪を見たことがあるんです。

中学まで大阪に住んでいたのですが、岸和田競輪場で……たぶんすごく大きな開催があったんだと思うのですけれど、家族に「見にいこう」と連れて行かれました。

当時は小学校低学年くらいで、スポーツを真剣にやる気持ちは無かったですが、でも体を動かすのは好き。そんな頃に初めて競輪選手というものを見て、会場の熱気、それからものすごいスピードを見ました。「すごいな、速いな」と思ったことを今でも覚えています。

でもやっぱり小学校低学年だから、それで大きく何かが変わるわけでもなく、友達と走って遊ぶような毎日を過ごしていました。

陸上競技に明け暮れた中学時代

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