「1kmタイムトライアルを制する者は世界を制す」
……などという言葉は無いのだが、1kmタイムトライアルは短距離選手に必要な全ての能力のを必要とする種目であり、最も苦痛を伴うトラック競技種目でもある。
そのハードな種目で中石湊が銀メダルを獲得した。
男子1kmTT
アジア選手権トラック2024。2月26日の最終日には1kmタイムトライアルが実施された。日本からは中石湊が出場。アジア各国から12人の猛者が集った。今大会は予選⇒決勝と2走を行い勝者を決める。
予選:中石が2位で決勝進出
6組に分かれて実施されたレース。中石は3組目に出走し1分1秒890のタイムで2位。1位はリ・チーウェイ(中国)で1分01秒199。
予選で既に出し切った様子の中石は、決勝に向けて静かに回復していく。
決勝:中石が暫定トップを記録 しかし…
およそ1時間の休憩を挟んで行われた決勝。中石は最後から2番目の出走となった。中石の出走前の暫定トップタイムは1分2秒406でキリル・クルディディ(カザフスタン)。選手全体として予選の疲れが残っているらしく、全体的にタイムを伸ばせないまま決勝が進んでいた。
最終走者を残して中石が自転車に跨り、スタートを待つ。
カウントダウンと共に走り出していく中石。最初の1周から暫定トップのタイムを塗り替えていき、1分2秒101でフィニッシュした。
残るは最終走者のリ・チーウェイのみとなるが、結果を待つことが出来ずに倒れ込み、苦しに悶える中石。
「相手のタイムを見たかったけれど、見る余裕が無かったです」そうレース後に中石は語る。
最終走者のリ・チーウェイは、スタートすると1周目から中石のタイムを更新していく。2周、3周と走り、フィニッシュを迎えると記録タイムに会場が沸いた。
その反応で中石は負けを認識したとのこと。リ・チーウェイのフィニッシュタイムは1分0秒875。出場選手中、唯一の1分0秒台を記録し、優勝を果たした。
中石は2位。3位にキリル・クルディディ(カザフスタン)と予選の順位と変わらずの表彰台となった。
順位 | 選手名 | 所属 | タイム | |
1位 | リ・チーウェイ | LI, Zhiwei | CHN | 1:00.875 |
2位 | 中石湊 | JPN | 1:02.101 | |
3位 | キリル・クルディディ | KURDIDI, Kirill | KAZ | 1:02.406 |