走るたびに記録を更新、次は日本人初の……

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最初から獲る!見ていてください

Q:ではマディソンについてです。ネーションズカップ、アジア選手権に比べるとさらにレベルが上がってくると思います。

ワクワクしますね。1回目のスプリント周回から1着の5ポイントを獲りにいくので見ていてください!僕がスプリント役なので!

僕たちはスピードだったら(世界でも)負けていないです。最初のスプリント周回の打鐘を聞くまでに、(パートナーの)今村(駿介)と良いポジションで交代できるかどうかが鍵です。残り191周ぐらいが最初の注目ポイントです。

先頭から5番目ぐらいで交代できれば良いですね。でも、(世界は)速いっすよ!超速いっすよ!

バテないようなペース配分にも注意していきますが、1回目のポイント周回から競輪で培ったスピードでもがいていきます!

窪木一茂, 今村駿介, 男子マディソン, MEN’S Madison, 2023アジア選手権トラック, 2023 Asian Track Championships Nilai, Malaysia

Q:その超速いマディソンでは200周、1時間弱ほど走ります。どのような点が注意点になりますか?

やっぱり気が抜けてしまうと交代ミスなどを招いてしまいます。マディソンではまだ10回ほどしか国際大会で走った経験がありません。

特にレベルが高いアップテンポなレースでは心拍が上がり、残りの周回数やパートナーの位置などを正確に把握できず、ミスが起こりやすいです。

状況を把握しやすくミスを防ぐためにも、前に出て自らレースを展開する必要があります。レース映像を見返して自分達の走りを修正していくことも重要です。

強豪ひしめくマディソンで示す「集大成」

Q:ヨーロッパ選手権など、自分たちの走らないレースもチェックしたりしますか?

ダニエル(ギジガー中長距離ヘッドコーチ)が教えてくれるので、ネーションズカップに加えて大陸選手権もチェックしています。

Q:窪木選手から見ての2023年の強豪国はどこでしょう?

ロジャー・クルーゲ, KLUGE Roger, GER, 男子マディソン, MEN'S Madison 2023トラックネーションズカップ ジャカルタ, 2023 TRACK NATIONS CUP Jakarta, Indonesia

ロジャー・クルーゲ(ドイツ)

エントリーリストをまだ確認できていませんが、ドイツ、フランス、デンマーク、イギリス、オランダなどが強いです。

ポイントを獲得しながら7位でフィニッシュした2022年の世界選手権では、ドイツなどより上位でした。

2023年のネーションズカップでもメダルを狙えたレースがありましたし、良い位置で走れているので、今回の世界選手権でも上位を狙えると思います。

Q:パリオリンピック代表選手の選考的にも最も大きい大会となります。「現時点での集大成を発揮する大会」という意味もありますか?

まだ出場予定種目を伝えられた段階で、「こういう気持ちで走れ」というアドバイスなどはダニエルから言われていません。ですが、「集大成」という側面はあると思います。

ダニエル・ギジガー, 女子マディソン, WOMEN’S Madison, 2023アジア選手権トラック, 2023 Asian Track Championships Nilai, Malaysia

ダニエル・ギジガー中長距離ヘッドコーチ

マディソンもステップアップしています。パリオリンピックに向けて機材なども新しくなれば、さらにステップアップできると思います。

「ギアの巨大化」がトレンド

Q:因みに、毎年マディソンではスピードが上がっていっていますが、何故なのでしょうか?

今では平均時速が60km近くとなります。短距離種目やロード種目では年々、ギアの巨大化が見て取れますし、それがトラック中長距離でも起こっているからでしょう。

2023年の『ジロ・デ・イタリア』や『ツール・ド・フランス』でもギアが大きくなっています。トラック中長距離にはロードの選手もいますし、ロードでトレーニングすることが多いので、そうした影響を受けているのだと思います。

ツール・ド・フランスで使用された巨大ギア?ロード・トラック・競輪の「ギア比」

僕や今村も以前に比べて大きなギアを使用しています。大きなギアを使用することでパワーが付き、レースでのキツさも減ってきているように感じます。そう感じるには個人のレベルアップが必要不可欠ではありますが。

Q:今回のマディソンでの目標は表彰台獲得ですか?

はい。金メダルを狙っていきたいと思います。

「スタートで余裕を稼ぐ」ダニエルコーチの戦術

ダニエル・ギジガー, 窪木一茂, 橋本英也, 兒島直樹, 今村駿介, 男子チームパシュート決勝, MEN'S Team Pursuit Final for Gold, 2023アジア選手権トラック, 2023 Asian Track Championships Nilai, Malaysia

Q:ではチームパシュートについてです。今シーズンでは日本記録更新など、まだまだ成長段階にあると思いますが、『2023世界選手権』ではどういったことを目標にしていますか?

まず予選突破は必須事項。対戦方式になる1回戦では、日本記録(3分51秒055)を更新を目指します。

6月のアジア選手権以前からチームパシュートでは、スタートを重視したトレーニングをコーチが組んでいて、とても良いことだと感じています。

毎回周回練習が終わった後に、スタート練習を数回ほどこなします。もちろん全開です。これほどスタートに力を入れたことは、過去にありませんでした。

窪木一茂, 橋本英也, 兒島直樹, 今村駿介, 男子チームパシュート決勝, MEN'S Team Pursuit Final for Gold, 2023アジア選手権トラック, 2023 Asian Track Championships Nilai, Malaysia

僕らのタイムが良い時は後半に伸びているのではなく、大抵「前半が速く後半は耐えている」ことが多いです。「貯金」なんです。逆に後半に伸びるということは、「全力を出し切れてない」とも言えます。

なのでスタートを速くして、前半に「どれだけタイムを稼げるか」が重要なんです。上手くいけば3分49秒台が出せると思います。そのタイムで6位ぐらいになれると思います。表彰台ではないかもしれませんが、オリンピックの出場枠獲得のためには重要なことです。

チームパシュートで出場枠を獲得できれば、チームでオリンピックに出場できますので、気合が入る種目です。

「強豪相手に競り勝つ姿、見ていてください」

Q:最後に窪木選手の出場予定種目の注目ポイントを教えてください。

チームパシュートは中長距離チームの努力の結晶とも言える種目です。日本記録の更新にも期待してほしいですが、そういったチームワーク的な面にも注目しながら息を呑んで応援してほしいです。

マディソンでは、先ほども宣言した通り、最初の周回ポイントから1位を獲りに行くので、まずはそこを見ていてください。ロードのワールドツアーにも出場しているヨーロッパの有名選手とも戦います。ロードでは勝つことが難しい強豪選手を相手に、挑戦して競り勝つ姿を応援してほしいです。自信があります。

個人パシュートでは、日本人初となる「4分10秒切り」を目指します。大幅更新を狙うので、期待していてください!