一番厳しかったのは準決勝
アジア選手権の大会スケジュールで心折れそうに
アジア選手権トラック、世界選手権と続きましたが、スケジュールが厳しかった印象はありますか?
アジア選手権トラックのスケジュールは厳しかったですね。ちょっと心が折れそうになりました。チームスプリントが夜の23時とかに終わり、次の日は朝9時くらいからケイリンに出る…とか。疲れを取る暇がなかったです。地元マレーシアのアワン選手はチームスプリント出ていないし、なんだろう、この地元プログラム…みたいな(笑)
でもまだドームで良かったですね。あれがタイの外バンクとかだったら、帰る頃にはもう真っ黒でしたよ。
世界選手権のケイリンは準決勝が山場だった
そう考えると世界選手権はきっちりしてましたね。銀メダルを獲ったケイリンで一番厳しかったレースはどのレースでしたか?
準決勝ですかね。ギリギリ三着でしたし。
しかも内行って〜外行って〜、ちょっと退かしながら「もしかしたら降格になるかな」って覚悟もしつつ、もう「ここは行くしかない!」って所もあったし、空いてたからいっちゃいました。
準決勝はブフリ選手はじめ、強烈なメンバーでしたね。ブノワコーチがよく「メンタルが一番大事だ」と言いますが、選手的にもそうでしたか?
今回の世界選手権は本当にそうだったかもしれません。
じゃあ対戦相手に誰がいるかとか、全然気にならなかった?
あーもうほとんど見てなかったと思います。レース前もそんなに緊張しなかったですね。レース前も普通に、皆さんに写真撮られてるなーって見ていましたし。
自分の出来る事だけに集中しよう
戦闘モードがオンになる瞬間はないんですか?
その時は全然分からなかったですね。オフになってなかったのかもしれないし。緊張とかを考えてなかったです。でも、オンになったとか判らないじゃないですか。「よっしゃ、今俺ゾーン入った」みたいなの。多分そう思ってたら、それ入っていないし(笑)
ということは、そういう事すら考えないくらい集中してたって事ですね。
してましたね。もうなんか自分の出来る事だけに集中しようって。誰がどう動くとか考えてなかったし。
決勝は後ろから我慢して攻めていくことになったわけですが、あれは展開に任せてって感じでしたか?
そうですね。先に動いても今の自分の脚力じゃ厳しいかなと思っていたし、逆に周りが動かずダメだったらダメでしょうがないかなって、そのくらいの開き直りがありました。もう先に動いてもしょうがないって思い、一番後ろだろうと動かないと腹を括っていました。
残り3周から早めに上がって誰かを待つみたいな形はあるかもしれないけど、レース展開で周りが車間を切り出したら、その1回を出るのに脚を使い切る可能性もありましたからね。
人の後ろについて走ってるだけならそんなに減らないんですけど、やっぱり自分で風切っていくと減りますね。
たまたまタイミングがぴったり合った
例えば、優勝したコロンビアのプエルタ選手が最後に捲り、その後ろに河端選手はついていましたが、ああいう形だとスピードが上がってもあまり疲れないのですか?
そうですね。あれは上手くプエルタ選手が行ってくれたのでラッキーでした。相手が動くのを待つというよりは、自分が踏み込んで、行くって時に向うも踏んでくれて、僕も出ようとするけど、お互いに出きれず二人とも踏み続けてたって感じです。
プエルタ選手を頼っていたわけではなく、結果としてたまたまタイミングがぴったり合った感じです。
ひとまず、メダルが穫れて良かったかな
走り終わった後、河端選手は喜んでいるというよりも、とても疲れて辛そうでしたね
2位だし、なんか「よっしゃー!」って喜ぶ感じでもないじゃないですか(笑)
銅メダルを獲った人は喜びますが、銀メダルを獲った人は皆そう言いますね。
ゴールして、金メダルを獲った選手が喜んでいる所で「よっしゃー!」とは出来ないなって(笑)
ひとまず、メダルが穫れて良かったかなと思いました。自転車から降りてすぐTVカメラが構えてたので話しましたが「とにかく周りがとても強かったです」って言ったんですよ。素直に、こう…「よっしゃー!」とは出来なかった。周りが「強かったなー」って感じ。
マシュー先生はヤバい
河端選手が思う、強い外国人選手は誰が挙げられますか?
世界選手権で言えば、グレッツァー先生(マシュー・グレッツァー)が本当に強かったです。
マシュー先生の1kmタイムトライアルを見て、凄いなって思いましたね。1kmTTの走りも尋常じゃなかったですけど、彼はケイリン・スプリント・1kmTTって走れるじゃないですか。あれはヤバい。