数々の新記録が誕生した、東京2020オリンピック・自転車トラック種目。男女それぞれ6種目が開催されたトラック種目へのエントリー数は195人。実に36の国と地域から、女子92人、男子103人の選手たちが集まった(補欠選手を除く)。
オリンピックへの参加資格を持つ彼らは、もちろん全員が世界トップレベルの実力の持ち主。ではその195人の選手たちを輩出した36の全ての国と地域が、ベロドロームを持っているのだろうか。その答えは「NO」。ならばベロドロームを持っていない国の選手は、どのようにしてトレーニングをしているのだろう。
本記事では、そんな「トラック競技のトレーニングのための十分な環境を自国に持たない選手たち」を支援している「UCIワールドサイクリングセンター」についてご紹介していく。
「UCI ワールドサイクリングセンター」とは
「UCIワールドサイクリングセンター(WCC)」とは、ロード・トラック・BMXの3つの競技において、選手のトレーニング・育成の支援を行う世界自転車競技連合(UCI)の施設のこと。UCIの本部があるエーグル(スイス)に2002年よりオープンした施設・プログラムだ。現在「WCC」では毎年100人前後の選手を受け入れ、育成を行っている。
ベロドローム等の競技施設だけでなく、指導者など人的資源も含めた「十分なトレーニング環境へのアクセスを持たない国の選手たち」はこの「WCC」の存在があるからこそ、オリンピックなどの世界的な大舞台に出場し活躍することができるのだ。
実は日本からも、国際大会での活躍を目指してこのプログラムに参加した選手がいる。東京2020オリンピック BMXレーシング日本代表の長迫吉拓と畠山紗英の2人だ。彼らは2016年に「WCC」の才能発掘プログラムに参加し、その後もスイスを拠点に活動してきた。
【長迫吉拓コラム】決断、出発の地W.C.Cで再スタート「トラック競技から離れ、BMXレースで東京2020のメダルを狙う」