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求められる小さな工夫
コンマ数秒の世界で勝敗が決まる自転車競技において、空気抵抗は永遠の課題だ。
タイム計測用のチップは、タイヤのチューブを切り取り、フロントフォークへと固定。普段はマジックテープなどを使用しているとのことだが、これによりわずかながらも空気抵抗の削減が可能に。こうした小さな工夫と一手間かける事が、後々結果を変える事にもなる。
タイヤはビットリア社のトラック競技用タイヤ「PISTA PRO」を使用。
ホイールは前後共に、東京オリンピックモデルとなるアラヤ社の「DW LD-01 tokyo」ディスクホイールを装備。前後ディスクホイールにする事で、高速巡航と速度維持において高いパフォーマンスを発揮出来るという。
サドルはism社のサドルをチョイス。長時間の局部圧迫を避ける為に、サドル中央部には窪みがあり、快適性も兼ねている。
ルール内で最高のパフォーマンスを
UCIルール改正前のアワーレコードと言えば、”オブリーポジション”や”ファニーバイク”とも呼ばれる奇抜な自転車とフォームでのイメージが強かった。
2000年10月と2014年5月にUCIルールが改正されて以降、上記の奇抜な自転車やフォームでの使用は禁止に。現在のUCIルールの元でアワーレコードに使用されるバイクは、ルールに沿ったフレームに前後ディスクホイールと、特別アワーレコード仕様という訳でもなく、パシュート種目で仕様されるバイクと同等の物と言い切れるだろう。
ハンドルへの滑り止めテープや、切り取ったチューブを貼り付けるなど、レース会場などで様々な国やチームがバイクに施している”秘密の工夫”を探していくのも、機材スポーツの醍醐味なのかもしれない。