トラック競技が現在の形、種目数で開催されるまでには、幾度もの除外や追加等のルール変更が施されてきた。本シリーズでは、UCI世界選手権やオリンピックにおける種目・ルールの変遷をその始まりから辿り、トラック競技の発展という視点からその魅力を探っていく。
前回の「トラック競技の起源」に続きシリーズ第2回目の本記事では、現在とは大きく異なる「オリンピック初頭のトラック種目」に焦点を当てていく。
オリンピック1896年開催で初めて正式種目に
トラック競技が初めてオリンピックで競われたのは、近代オリンピックの初大会となる1896年アテネ開催。その後1912年のストックホルム開催を除き、トラック競技はオリンピックの正式種目としてあり続けた。
では約120年前、初めてトラック競技がオリンピックで開催された時の種目はどのようなものだったのだろうか。
100km?12時間耐久レース?
トラック競技が初めて正式種目に組み込まれた、1896年アテネ開催の種目は全5種目。その内容は驚くべきものだった。
開催された5種目は、スプリント(2km)、1周タイムトライアル(333.33m)、10km、100km、12時間耐久レース。
2kmや1周のスプリント、10kmレースなどは現在と同じような種目だが、100kmや12時間耐久レースと聞くと、ロードレース種目ではないのかと耳を疑ってしまう。また当時の競技用自転車は現在のものと比べ、性能も乗り心地もはるかに低かったはずだ。
12時間耐久レースでは7選手が出場したものの1人がDNF、4人が降格。その過酷さもあってか、それ以降のオリンピックでこの種目が開催されることはなかった。
出典・参考:オリンピック公式サイト「MASSON TAKES THE VELODROME BY STORM」、「12-HOUR RACE MEN」
元祖ポイント獲得型レース「Course de primes」