男子ケイリンは予想不可能?!
男子ケイリンは、正直言って「予想不可能」!ただし今シーズンの戦いを見る限り、以下の選手たちに注目したい。
ハリー・ラブレイセン(オランダ)
現スプリントの世界チャンピオン。ケイリンのレースはまだまだ粗削りだが、一気に後ろから全員を抜き去ってしまうスピードがある。
積極的に前に出るタイプではないが、残り1周で集団のスピードが上がりきっていなかった場合、彼にとっては大きなチャンスとなるだろう。
ジェイソン・ケニー(イギリス)
今シーズンは先行だけで勝負しているリオ五輪の短距離3冠、イギリスのスーパースター。リオ後から2年間は表舞台に出ず、2018-19シーズンから復活をしている。
リオ前に比べると圧倒的な力を見せているとは言えない今シーズンだが、まだ31歳、その実力をまだ見せていないだけだろう。オリンピック直前の世界選手権には決まって“仕上げてくる”イギリスの選手ということもあり、今回も驚きのレベルアップを果たしてくることが予想される。もしそうなれば、誰よりも危険なのがこの男だろう。
マティエス・ブフリ(オランダ)
2019年の世界選手権でようやく世界一を勝ち取ったオランダの野獣。身体の大きさ、トップスピード、瞬発力、持久力、経験、そして“野生の勘”・・・と勝つための全てを兼ね備えている。
世界チャンピオンになってからは、かつて感じられた“野獣感”がやや欠けるように思えるが、世界選手権には再び勝つことに飢えた状態で戻ってくるに違いない。かつてのブフリに戻ることが出来れば、優勝候補の筆頭だ。
デニス・ドミトリエフ(ロシア)
実は初めてワールドカップの表彰台に上がったのが今シーズン。本職のスプリントでは少し影が薄いが、一方でケイリンでは上手さが見え始めている。
シーズン2回のメダル獲得と、日本で走った「競輪」の経験などもあり世界選手権での活躍が目に浮かぶ。こちらも逃げるタイプではないが、負ける理由は見当たらない。元スプリント世界王者の踏み出し、確かな経験による瞬時の判断など、今回のドミトリエフには弱点がないと言える。
マシュー・グレーツァー(オーストラリア)
11月に甲状腺ガンの手術をしたことを公表したグレーツァー。それが嘘のようにワールドカップ2大会連続でメダルを獲得したオーストラリアのエースだ。2018年にはスプリントの世界王者となったが、今ではケイリンで「危険」な存在となっている。
1kmタイムトライアル種目でも2018年で世界2位になっている程の持久力、そして高いトップスピードで自ら仕掛けていくスタイル。彼のスタイルを考えると決勝進出は固いだろう。最近は隊列の途中で車間を空けて揺さぶりをかけることが多く、心理戦へと持ち込むことが得意となっている。今回、台風の目となる可能性は十分にある。
そして我らが日本の3人
世界選手権には新田祐大、脇本雄太、河端朋之の3人で挑む。
この3人ならば世界に勝つことが出来るだろう。
今シーズンの結果は出ていないものの、新田祐大は海外勢にも勝るパワー、脇本雄太は持久力を活かした先行、河端は切れ味の鋭い追い込みと、世界と戦うための武器をそれぞれ持っている日本の選手たち。今シーズンの目標は「金メダル」、そして「オリンピックに向けて他国にホスト国”日本”の強さをアピールすること」となる。
日本発祥の自転車トラック種目「ケイリン」だが、1987年に本田晴美が得た金メダルを最後に、日本人は世界選手権の表彰台のトップに立っていない。
しかし2018年の世界選手権では河端朋之が銀メダル、2019年の世界選手権では新田祐大が銀メダルと後一歩のところまで来ている。
悲願の金メダル獲得。
その快挙を果たす時が来た。
次回は男子スプリントの見所をお届けする。
シリーズを最初から読む>世界選手権 見所紹介 part1 男子チームスプリント編