ニューカレドニアの自転車事情とは?

現在のニューカレドニアのトラックサイクリング状況、そしてこのベロドロームについて、今回のキャンプを手助けしてくれている2人に話を聞いてみた。

1人はフェリシア・バランジェさん。1990年代後半にスプリント500mタイムトライアルで「無敵」と言われた伝説の女子選手。シドニーオリンピック後に引退したが、オリンピックでの金メダル獲得数は合計3つ。フランスが誇る伝説の女子スプリンターである。

ニューカレドニア合宿 Stade Numa Daly

フェリシア・バランジェさん

「(このベロドロームは)とても古い施設だから、ワールドカップや世界選手権には使われません。だから来年に新たな250mの木製バンクをこの土地に建てる予定(あくまで予定)です。現状は多くの人が使ってくれている状況にはありませんね」

Q:過去にこのトラックを使って世界チャンピオンになった人はいますか?

「もちろんです。ローラン・ガネはご存じですか?彼はシドニー五輪でのチームスプリントで優勝したメンバーの1人ですし、日本の国際競輪(現短期登録制度の旧名称)でもたくさん走っていましたよね。ガネはここの出身です。

でもここ10年ほどはガネのような選手は現れていません。だから私たちは次の世代の子どもたちに力を注いでいます。次の新たなベロドロームが完成する時にはBMXの走路も作ることになっており、もっと若者たちが来てくれることを期待しています」

※ローラン・ガネ:ニューカレドニア出身のトラック選手。1999年から2004年にかけて世界選手権では通算7つの金メダルを獲得。2000年のオリンピック・シドニー大会ではチームスプリントで金メダルを獲得するなど、数々の栄冠を勝ち取った名選手

Q:バランジェさんがここに来てどれくらい経っているのでしょうか?

「2003年からですね。もう長いです(笑)」

Q:ニューカレドニアの自転車連盟などに入っているということでしょうか?

「いえ、政府のスポーツ部門とアンチドーピング部門で働いています。東京オリンピックではIOCのアンチドーピング部門に入れるように働きかけていますよ。ただ、現時点で全然便りはありませんけどね(笑)とても大変なので、選手でいた時の方が楽でしたよ(笑)」

そしてもう1人はフランス自転車連盟ニューカレドニア支部の理事であるジェラール・サロンさん。

ニューカレドニア合宿 Stade Numa Daly

ジェラール・サロンさん

Q:ニューカレドニアでは、ヌメア以外にはトラックサイクリストが居ないということでしょうか?

「いませんね。他の場所にも2つのトラックがあるのですが、基本的に選手として数えられるのはヌメアにいる人々だけです。もう少し人を集めるために新たなベロドロームを設けようと思ってます。ですので、今のトラックは使えなくなります」

Q:サロンさんはフランスの自転車連盟で働いているのでしょうか?

「はい。フランスの自転車連盟所属になっていて、こちらニューカレドニア支部の理事ですね。昔はローラン・ガネのコーチをしていました。ガネをフランス自転車連連盟に推薦したのは私です」

ニューカレドニア合宿 Stade Numa Daly

バナナが園内にあるけど、、、取材時にお腹が減ったらサロンさんに食べれるか聞こうかな

・・・と2人とも丁寧に質問に答えてくれた。2人が話していたように、ニューカレドニアではローラン・ガネ以降強い選手が育っていないことが悩みとなっている。

現地の子どもたちに良い刺激を