ロシアがWADA(世界アンチドーピング機構)に提出したデータに改ざんがあるとして、WADAは12月9日、ロシアに対して「4年間オリンピックを含む主要大会から排除する」と発表した。

ドーピング検体データ改ざんの疑いによりロシアが東京オリンピック除外の可能性

ロシアは2015年に陸上競技を中心に国家がらみのドーピングが発覚。これにより、2016年のリオデジャネイロオリンピックでは389人の代表選手の内100人以上が参加を許されなかった。しかし、2018年平昌冬季オリンピックではドーピングの不正に関わっていない事を証明し、厳格な基準を満たした選手のみ個人資格での参加が許された。

WADAは11月に東京オリンピックをはじめとした今後4年間の国際大会への参加禁止を検討中と発表していたが、12月9日にローザンヌ(スイス)で非公開で行われたWADAの常任理事会にて参加禁止は正式決定となった。

なお、東京オリンピックをはじめとした主要大会には厳しい条件を満たした選手のみ個人資格で参加できる。個人資格での参加の場合、仮に優勝してもロシア国旗は掲揚されず、国歌も流れない。

処分の適用はいつから?

「今後4年間の主要大会から排除」とあるが、気になるのはその適用がいつからなのかということ。というのも、自転車トラック競技において考えた場合、今週末12月13日からはトラックワールドカップ第5戦が、年明け1月には第6戦、2月には世界選手権が開催される。

これらへの出場とその競技結果は、オリンピックに出場する枠を獲得するために重要なもの。そもそもこれらへの参加ができなければ、「厳しい条件」をクリアしたところでオリンピックには出られないかもしれないのでは?

逆にこれらの大会への出場が認められれば、すでにその選手は「厳しい条件」をクリアしているということになり、ファンとしてはオリンピックへの出場について安心できるかもしれない。

WADAの公式サイト内にあるリリースには、処分の適用の開始について具体的な日付は出ていなかった。

というのも、ロシアのアンチドーピング機関であるRUSADAや個人の選手が今回のWADAの決定について異議申し立てをする期間が21日間設けられている。この間にRUSADAが異議を申し立てれば、その後様々な議論のやり取りをし、正式決定が先になることが予想されるためだ(RUSADAへの勧告は5日に行われたため、異議申し立て期間は26日まで)。

公式サイト内リリースではそれを見越してか、「2020年1月9日からローザンヌ(スイス)で開催されるユースオリンピックにはこの処分が適用されない見込み」と記載されている。

具体的な処分の適用がいつからになるのかは現状定かではなく、UCIからも公式発表はない。しかし海外自転車メディアでは「ロシアの選手は世界選手権前に身の潔白を証明する必要がある」とするものもあり、オリンピック以前に、ワールドカップや世界選手権へ影響が出る可能性もある。

シェーン・パーキンス コメント