東京オリンピックが人生の中のラストチャンス

Q:コーチのために勝ちたいという気持ちもあったりしますか?

それもあります。ですがブノワコーチもよく言っていますが、「コーチというのは自分を引き上げるための道具でしかない。それを最大限に利用するかしないかはお前次第だ」と。だから自分は最大限利用させてもらおうと思っています。

問題はそれ位、自分がオリンピックで勝ちたいという“欲望”があるかどうかなんです。欲望があれば自分で行動に出ると思うし・・・・

Q:その欲望の元にある、最も大きな動機は現状なんなのでしょうか?

横並びですが、やっぱり僕の中では「競輪選手として」ということ、「競輪/ケイリンというのはこれだけ面白い競技だよ」というのを広めたいのもあるし、自転車を始めたきっかけでもある母親のためっていうのもあるし、もちろん妻や家族のためっていうのもあるし、それらに対して優劣を付けることは出来ません。それだけオリンピックを目指している自分の存在自体が自分だけの物ではないんだなと思っています。

Q:自分のための欲望の根源が周囲の人や競輪なんですね。

矛盾していますよね(笑)。勝つための場所は自分のためだけども、そこで生まれた結果は自分の物だけではないという考え方です。他の仕事でも同じだと思います。仕事は自分のためにするけど、結果は皆で共有する。例えば会社に勤めていれば、結果は会社の物です。そういった意味でアスリートは皆の想いを背負っていると思います。

ただこれは自分の中での勝手な解釈ですので正解はないと思います。あくまで自分の野心の動機を考えた時に僕がそう思っているというだけです。

Q:凄く素敵な考え方ですね。

自分にとってプラスになる考え方ならば何でも良いと思います。例えば「勝つことによってお金が得られる」と思ってそれがプラスに働くならば、それはそれで良いと思うし、正しい選択だと僕は思います。

Q:前回の世界選手権からリフレッシュは?

完全なリフレッシュって何でしょうね?そんな風に考えたことはあります。オフをもらったからといって全てから開放されるわけじゃないから、そこのメリハリが上手くいかない部分もあるかもしれません。もちろん少しはリフレッシュすることは出来ました。

身体的にはオン/オフはあると思いますが、精神的な物は終わりが無いと思います。

Q:身体的なオフにするには?

うーん、、、、、、一ヶ月休みを貰わないとわからないですね(笑)。2週間の休みをもらったとしても、競輪が入ってきたりするので精神的には完全に休めないと思います。そうなると本当のオフって何なんだって話です。

まあ本当のオフは何もかも辞めた瞬間ですかね。競技も競輪も辞めた時がオフ。最終的にオフになる時、僕は死んでいると思います(笑)。

それぐらい仮に競技を辞めたとしても、僕は競技のために競輪/ケイリンを広めたいと思っているし、競輪選手として引退したとしても何かしらの形でサポートしていきたいです。これまで自分が培ってきた物を一切無駄にしたくないと思っています。

少なくとも福井県出身なので、福井県の中で自転車競技を普及していきたいと思っています。

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