2019-20UCIトラックワールドカップのシーズンが開幕し、我々More CADENCEでも数多くの記事でワールドカップを取り上げている。2020東京オリンピックも目前に迫り、国際大会として注目度が高まるワールドカップだが、実際にこの大会がどのような物なのかについてしっかりと理解している方は少ないのではないだろうか。
一概に『ワールドカップ』と言えど、競技によってその立ち位置は様々だ。サッカーやラグビーのように数年毎に開催される最高峰の大会として位置付けられているものがあれば、自転車トラック競技のように年に複数回行われているものも存在している。
本記事ではトラック競技における「ワールドカップとはどういった大会なのか?」「世界一はどのようにして決まるのか?」という2つのポイントについて解説していく。
ワールドカップとは?
まず始めに、トラック競技におけるワールドカップは世界一を決める大会では”無い”。ワールドカップという大会名から一番誤解が生まれやすいポイントだ。
UCIトラックワールドカップは年に複数回(2019-20シーズンは全6戦)開催されており、名称こそワールドカップとなっているものの、国際的な競技団体が存在していないトラック競技においては、年間シリーズ戦の様な役目を果たしている。ロードレースにおけるワールドツアーに近いものだと考えて差し支えないだろう。
世界一を決める訳では無いワールドカップ。では選手達は何を目的に走っているのかと言えば「世界選手権への出場枠を獲得するため」である。
トラック競技には「UCIトラックランキング」が存在しており、ワールドカップは世界選手権と大陸選手権に次いで大きな配点がなされている。このワールドカップを通じて得たポイントによって計算される「UCIトラックランキング」を元に、後述する世界選手権への出場枠が割り当てられる。「ワールドカップで結果を残さなければ世界選手権への参加資格を得ることができない」のだ。
また、今年はワールドカップのポイントが2020東京オリンピックの出場枠争いにも関係しているため、ワールドカップの重要度は例年以上に高いと言って良いだろう。
世界選手権とは?
世界選手権は「その年の世界チャンピオンを決める」目的で毎年開催されている。自転車界での世界一が決まるのはワールドカップではなく、この世界選手権なのだ。
ワールドカップのポイントを踏まえて出場枠が決定されるため、トラック競技シーズンのラストに締めとして行われている。
ちなみに、世界選手権での優勝者はその種目における該当年度の世界チャンピオンの証である、アルカンシェルと呼ばれる虹色のジャージを1年間着用する権利を得ることが出来る。
また、世界選手権はUCIトラックランキングや2020東京オリンピックの出場枠ランキングにおいて一番大きな配点がなされているため、そう言った意味でも重要な役割を占めている。
2020年からはシステムが変わる
現在ワールドカップとして行われている大会がネーションズカップと名称を改め、開催時期や体裁を変更して行われることがUCIから2019年6月20日に発表されている。
詳細については今年9月の世界選手権ロードの後に議論を行うとされていたが、2019年11月27日現在、続報は出ていない状況だ。
BEATやHUUB、dream SEEKER等トレードチームがワールドカップ出場除外、大会数縮小などUCIがトラック競技大会を大幅変更