2026年3月31日に閉幕した『2026アジア選手権トラック』。年に1度、アジアの頂点を決める大会であり、近年は表彰台、そして金メダルを日本チームが独占してきた大会でもあった。
しかしフィリピンでの2026年大会で表彰台を席巻したのは中国。男女22種目中、19種目でメダルを獲得し、13種目でアジア王座を手にした。
メダル獲得数トップ5(エリート)
| チーム | 合計メダル獲得数 | 金 | 銀 | 銅 | |
| 1位 | 中国 | 22 | 13 | 8 | 1 |
| 2位 | 日本 | 16 | 5 | 5 | 6 |
| 3位 | 香港 | 9 | 2 | 1 | 6 |
| 4位 | 韓国 | 6 | 0 | 2 | 4 |
| 5位 | カザフスタン | 5 | 1 | 3 | 1 |
3月上旬の『2026ワールドカップ第1戦』後には、中国の短距離選手の活躍を紹介してきたが、本記事では『2026アジア選手権トラック』で活躍した中国中長距離チームにフォーカスし、その強さに迫っていく。
◆メダリスト(エリート)一覧はコチラの記事へ▼
中国が13種目で金メダル獲得 メダリスト一覧(エリート)/2026アジア選手権トラック(フィリピン・タガイタイ)
◆『2026ワールドカップ第1戦』振り返り記事はコチラ▼
少人数でも「濃すぎた」2026ワールドカップ第1戦を振り返る/中国「2005年世代」の脅威、アワンの復活(オーストラリア・パース)
中国 中長距離チームの躍進
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ワールドカップ第1戦で活躍した中国の短距離チームに加え、今大会では中長距離チームも国別メダル獲得数トップに大きく貢献した。
なかでも男子では個人パシュート、スクラッチ、オムニアムの個人3種目で、別々の3選手が金メダルを獲得。
さらにその3選手も出場したチームパシュートでは、2位の日本に3秒近い差を付けての優勝。日本が2024年に樹立したアジアレコード(3分48秒127)に迫る「3分48秒147」をマークした。
アジア王座を手にした中国に対して、銀メダルを獲得した日本チームの窪木一茂も、
「今回の結果についてはとても中国をリスペクトしています」とレース後に語っている。
オムニアム快勝のウー・ジュンジェ

(中央)ウー・ジュンジェ
中国中長距離チームから、さらに最注目選手をピックアップ。
男子オムニアムの全4種目で上位を獲得し、2位に大差を付けて優勝したウー・ジュンジェ(24歳)。
オーストラリアで開催された『2026ワールドカップ第1戦』でも、オムニアムで銀メダルを獲得した選手だ。
ウーは2022年の「アジア競技大会」などにも出場しており、決して突如現れた選手ではない。『2023ネーションズカップ第3戦』のマディソンでは、最下位でフィニッシュするなど成績が振るわない時期も経験している。
一方でロードにも並行して出場していたウーは、ロードの若手発掘・育成プロジェクトの「グラスルーツ・プログラム*」に参加。ここでそのパフォーマンスと潜在能力が評価され、トップレベルのコーチングスタッフの支援のもと、ロードのトレーニングを開始した。
※「グラスルーツ・プログラム」:2023年に自転車メーカーのGIANTとスペインのプロチーム『エキポ・ケルンファルマ』のパートナーシップにより創設された若手発掘育成プロジェクト。
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さらにウーは、2021年から所属しているロードのUCIコンチネンタルチーム『GIANT CYCLING TEAM』でもレース経験を重ねてきた。
トラック競技・ロードの2つの領域で、さらに整えられた環境で経験を積んできたウー・ジュンジェ。『2026アジア選手権トラック』での活躍は、その成果と成長の証と言えるだろう。
1つのロールモデルとして、同じアジアで世界を目指すライバル、ウー・ジュンジェの成長と活躍には今後も要注目だ。
参照:GIANT WU JUNJE, GIANT『Giant Expands its Grassroots Development Program』
中長距離チーム 新コーチの就任
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エントリーを見送っていた2025年大会*から、2026年大会ではメダルを量産した中国中長距離チーム。この1年で何が変わったのか。
※エントリーを見送っていたのは中長距離のみ
変化として明確に言えるのは、新コーチの就任だ。2025年から新たに中長距離チームのコーチに就任したのは、ニュージーランドの元ロード選手、ボリス・クラーク氏(31歳)。
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ワールドツアーなどの第1線で走っていた選手ではないものの、一方でスポーツ・健康科学の修士号*を保持しており、ニュージーランドのトラック中長距離チームのスタッフも務めてきた人物だ。
※参照:ResearchGate
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クラーク氏のインスタグラムを見てみると、中国選手とのロードでのトレーニング風景が多く確認でき、なかにはクラーク氏自身もロードバイクに跨り、一緒に走行しながらトレーニングを行っている様子も投稿されている。
トラック競技とロードの両軸でトップレベルのトレーニングを実施し、ウー・ジュンジェのような若手選手を育成していくことに注力しているのかもしれない。
『ワールドカップ第2戦』にも多数エントリー
アジア選手権終了から約2週間、4月17日からは『2026ワールドカップ第2戦』が開催され、中国からも多くの短・中長距離選手がエントリーしている。
開催地は香港。中国にとっては移動のストレスも少なく、好パフォーマンスが期待できる大会となるだろう。
日本だけでなく、中国、そしてその他のアジア諸国が力を伸ばしている昨今。アジア全体でレベルアップし、世界に挑んでいく選手たちにご注目いただきたい。
【エントリーリスト公開】養成所卒業メンバーら 日本選手17人が出場予定!/『2026ワールドカップ第2戦』4月17日〜19日(香港)