まず狙うのはチームパシュート

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自信は、努力の先にしかない

Q:より高みを目指すために、自分に足りないと感じるものはありますか?

必要なものがたくさんありすぎますが……私の場合は、気持ちの部分が大きい気がします。これまで、「自分が行ってやる!」とか「レースが楽しみ」って思って出られた大会ってオリンピック以外にはあまりなくて、自分に自信がないことがレースにも出てしまっています。多分、自分は失敗を繰り返して、ようやく人並みに自信がつくんじゃないかなと思うんですよね。常にレースを楽しめたり、強気に仕掛けられるくらい、走りも鍛えて自分を強くしていかなきゃと感じています。

Q:最近の大会では、だんだんと闘志剥き出しな表情に変化してきたように感じていました。

内野艶和, UCHINO Tsuyaka,女子エリミネーション, WOMEN'S Elimination, 2025アジア選手権トラック, 2025 ASIAN TRACK CYCLING CHAMPIONSHIPS, Nilai, Malaysia

本当ですか(笑)?『世界選手権』でのサトミナ(佐藤水菜)さんや窪木(一茂)さんの活躍を見て、このままじゃダメだって思う機会が増えてきたのもあるかもしれません。

Q:ナショナルチーム内に強い選手がいると、やはりモチベーションも変化しますか?

はい。自分は言い訳している場合じゃないなって思いますね。勝つっていうことは、自分よりも努力していることなので、自分の努力が甘かったんだなと思うんです。メダルを取った人は、多分自分の何倍も頑張って努力したんだろうなと。そういう選手がチーム内にいると負けたくないと思いますし、有り難いですね。

サトミナさんも窪木さんも、あまり周りに左右されずに自分のことに集中している印象なので、そんな姿も勉強になります。日本チーム内でメダルを取れる人がもっと増えたら嬉しいと思いますし、私も早くその一員になりたいですね。

メダルを取った者だけが“オリンピック選手”になる

Q:話を聞いていると、明確な結果、つまりメダルへの意識がより高まったように感じます。

それは、オリンピックの経験が大きいかもしれません。帰りの飛行機では他の競技の選手たちとも一緒になったのですが、メダリストは首にメダルをかけたまま乗ってきて、みんなで祝福するような雰囲気になるんです。

以前、長迫(吉拓)さんが「行くときはみんなオリンピック選手だけど、帰るときはメダルを取った人だけがオリンピック選手だ」って言っていました。実際にオリンピックに出場してその言葉を実感しましたし、“自分も同じ舞台に立っていたはずなのに……”と、すごく羨ましさを感じましたね。

梶原悠未, 垣田真穂, 内野艶和, 池田瑞紀, Japan, womens team pursuit, Qualifiers, Olympic Games Paris 2024, Saint-Quentin-en-Yvelines Velodrome, August 06, 2024 in Paris, France

Q:それは強烈な経験ですね。

何て言うか、すごく特別な感情でしたね。じつは、パリ大会に関しては、自分の中でオリンピックというものへの実感が薄かったんです。もちろんオリンピックに行きたいと思って頑張っていたけど、そこに至るまでの過程が少しふわっとしていた部分もあったんだと思います。

(垣田)真穂ちゃんと(池田)瑞紀ちゃんがメンバーに入って、明確にパリオリンピックに向けての戦いが始まってから、ずっとバタバタとレースを走っていたような感じでした。出場枠争いもギリギリな状態のなか、なんとかレースに勝てて、オリンピックに出場できることが決まって……次は一番大きな大会なんだなくらいの、良く言えば通常運転に近い感覚だったんです。

4年間ずっと目標にし続けて挑んだ大会という感覚ではなかったのですが、実際にすべてのレースが終わってみたら、涙が出るほど悔しかった。自分でも気がつかないうちに、やっぱりオリンピックは特別なものだと意識していた部分もあったみたいで、終わった後にもう1回走りたい、メダルを取りたいという想いを強く認識しました。

もう一度、あの感覚で

Q:先ほど、自信を持って走れたのはオリンピックだけだった、というお話もされていましたね。

自分のコンディションをすごく良い状態に持っていけてたので、“これは絶対メダル取っちゃうわ”みたいな感覚でした(笑)。レースに対してすごくワクワクしていて、「自分はどれだけやれちゃうんだろう?」って思うくらいで。実際は全然メダルに届かなかったのですが、あそこまで自信をもって楽しんで臨めた大会は初めてでしたし、強気に動いて主導権を握ってやるっていう気持ちで、自信をもって走れた気がします。あの感覚で、もう一度走りたいですね。

内野艶和, 垣田真穂, Japan, womens madison, Olympic Games Paris 2024, Saint-Quentin-en-Yvelines Velodrome, August 09, 2024 in Paris, France, SWpix / Japan Cycling Federation

マディソン出場時の写真、左が垣田、右が内野

 

Q:それくらい強い気持ちで走らないと、レースで勝つのは難しい。

そうですね。“自分よりも前に行くな!”くらいの強い意思をもって走らないと、すぐに埋もれてしまう。それは、海外でのロードでの世界でも強く感じました。

ロードレースは障害物も多いし、普通の道路なので急にカーブがあったり、ポールが出てきたりもするし、めちゃくちゃ難しいんですよね。最初は全然周りと戦えないと感じた部分もあったのですが、普段トラックで活躍している選手もたくさん出場しているし、自分も戦に行くくらいの気持ちで毎回気合いを入れていました。日本のサムライ魂見せつけてやろうって。

Q:“サムライ魂”を手にして迎えた2026年、楽しみですね。

そうですね。自信のなさっていうのはやっぱりコーチたちには見抜かれていて、「自信を持て、自分を信じろ」ということはずっと言われてきました。それを克服するには、もう努力しかないと思うんです。日々のトレーニングで自分自身に打ち勝っていくことを続けていけば、自信に変わっていくはず。まずは自分と向き合って、大きい舞台でベストを出せるようにしっかり準備していければと思います。

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