2025年を終えて、日本のトラックナショナルチームの活躍はどうだったのか、改めてその軌跡をトレースしたい。
アジア選手権(2月) アジアで1強の日本
シーズンのスタートとなったアジア選手権では、出場全選手がメダルを獲得する快挙を達成。男女合わせて22種目中、16種目で金メダルを獲得するなど、アジアの舞台は日本の独壇場となっていた。
1戦しかなかったネーションズカップ(3月)
例年3戦が実施される大会である、世界選手権に次ぐレベルのUCIネーションズカップ(2026年からはワールドカップに名称が変更となる)。2025年はオリンピック直後の年ということもあり、1大会しか開催されない事態となった。
それ故に各国の力が集中した大会だったが、大会での日本勢の活躍は目覚ましく、男子チームスプリントで銀メダル、男子ケイリンで中野慎詞が銅メダル、女子ケイリンでは佐藤も銅メダル、中長距離では窪木一茂が男子オムニアムで銅メダル、池田瑞紀が女子エリミネーションで銅メダルを獲得し、総合力の高さを見せた。
各国を転戦し、世界選手権に準えた4月~9月
梶原悠未、内野艶和、垣田真穂、池田瑞紀の中長距離4人は欧州のロードレースで武者修行。そして残りのメンバーは香港のクラス1の戦い、JAPAN TRACK CUPなどを経て、舞台は全日本へと移り、世界選手権に出走するメンバーが決まった。選手への刺激も必要とのことで、アワーレコードにチャレンジしたことも記載しておきたい。
世界選手権(10月) 2連覇の佐藤水菜、窪木が更に成長を見せるレースで銀メダル
迎えた世界選手権。3人のディフェンディングチャンピオン(佐藤水菜と山﨑賢人はケイリン、窪木一茂がスクラッチ)を擁する日本は再び世界と対峙する。佐藤は見事に2連覇を達成&スプリントでは銀メダルを獲得、一方で山﨑は1回戦で姿を消し、このレースで引退を決める結果となった。窪木はスクラッチには出場せず、オリンピック種目のオムニアムに出場。4種目になったオムニアムでは自身初となる世界選手権出場で、見事に銀メダルを獲得。衰え知らずの36歳が、再び実力を示した。
日本チームの力を現す結果は他にもあり、太田海也がケイリンで4位、兒島直樹もポイントレースでメダルにあと一歩となる4位、女子のチームパシュート&男子のチームスプリント&女子マディソンは5位など、入賞種目が多数の好成績を残した。
トラック種目では、もはや日本はアジアの枠には収まらず、世界でも有数の大国となっていることを改めて結果で証明する形になった。
時代は次のステージへ HPCJC‐BRIDGESTONE ANCHORの発足&山﨑・小原の引退(12月)
2025年の最後を締めくくったのは、HPCJC-BRIDGESTONE ANCHORの発足と山﨑賢人&小原佑太の引退。
HPCJC-BRIDGESTONE ANCHORの発足はトラックの中長距離とロードの融合を目指す。今後はトラック&ロードのデュアル種目での活躍を担う選手を育てていくプロジェクトとなる。モデルはイギリス自転車競技連盟が2010年台に『チームスカイ(現イネオス・グレナディアーズ)』と一緒にトラックでのメダル量産とツール・ド・フランス制覇を成し遂げたプロジェクトとなる。
「大きな一歩目。この動きが広がっていけば」 新チーム「HPCJC BRIDGESTONE ANCHOR」設立の狙いと今後の展望
新たなことが始まれば終わりもあり、ケイリンで世界を制した山﨑賢人、そしてパリオリンピック代表の短距離オールラウンダーの小原佑太が競技の引退を発表した。長らくトラックの短距離種目をけん引してきた2人が抜けることはチームにとって大きな痛手だが、スポーツの世界では新陳代謝が速いだけでなく、様々な要因が重なって選手たちが決断することがある。日本だけが例外ではなく、どの国でも起こりえることなので、事実を受け止めて、今後日本チームがどう発展していくのか、大黒柱の2人が抜けたチームを掌握するジェイソン・二ブレット短距離ヘッドコーチの手腕に期待が掛かる。
2026年は更なる飛躍の年、そしてオリンピックレースの始まり
別記事で説明することになるが、2028オリンピックに向けてのポイント争いは2026世界選手権大会から始まる。そしてワールドカップが3戦と、通常のサイクルに戻るのが2026年。
大きな大会として3月にワールドカップとアジア選手権、4月にワールドカップが2戦、5月にJAPAN TRACK CUP、6月に全日本選手権、9月にアジア競技大会、そして10月に世界選手権と休む暇なく大会がやってくる。
世界有数のトラック競技大国となったものの、目指すはイギリス、オランダのようなメダル常勝国。まだ見ぬ未来に向かって2026年も挑戦し続けていくシーズンになることは間違いない。
