2025年に入り『ロードアジア選手権』『アジア選手権トラック』『UCIネーションズカップ』と立て続けに大きな大会に出場し結果を残した後、イタリア籍UCIコンチネンタルチームである「BePink-Bongioanni」に加入、今は拠点をイタリアにして活動している垣田真穂。

現地の生活とはどのような様子なのか。垣田真穂は元気に過ごしているのか。ヨーロッパのハイレベルなレースとともに、生活面でも苦戦を強いられているという垣田真穂の今に迫るべく、オンラインでのインタビューを実施した。

「1人」自分を見つめ直す生活

Q:イタリアでは、どのような場所で暮らしているのでしょうか?

私が今住んでいるのは、4階建てアパートの3階の一室。近くに小学校があるので子供も多少居ますが、ほとんど住んでいるのはおじいちゃんやおばあちゃんばかりです。

垣田選手の家の窓からの風景

Q:スイスを拠点とする内野艶和選手や池田瑞紀選手は合宿所のようなところに滞在していると聞きましたが、生活をサポートしてくれる人はいますか?

監督の奥さんの家族が近くのアパートに住んでいるので「何かあったら頼ってね」と言われています。
ただ、基本は練習に行ってご飯を食べて、また練習に行ってご飯を食べて、という感じです。大学は休学しているわけではないので合間に課題をしたり、日本にいる友達や(酒井)亜樹ちゃん、(岡本)美咲ちゃんと連絡を取ったり。そんな毎日を送っています。

Q:イタリアに行く前、食事が楽しみと語っていましたが、日々どんな食事を味わっていますか?

おいしいです!けど、基本は自炊です。こっちの調味料があんまり分かっていないので、オリーブオイルと塩!みたいな味付けでご飯を作っています。

自炊!ザ・アスリート食

Q:外で食べた思い出に残っている食事はありますか?

外食は数少ないのですが、最初にダニエル(・ギジガー/トラック競技中長距離ヘッドコーチ)と一緒にベルガモで食べたパスタがもちもちでめちゃくちゃ美味しかったです。

日本語すら語学力が……⁉︎

Q:既に3か月が経過しようとしていますが、語学は上達しましたか?

チームメイトと集団で生活しているわけではなく、レースの時だけ集まるような感じで、ほとんど人と喋れない環境にいるので……。1日1回人と喋ることがあれば、っていうくらいです。人と喋らなすぎて、日本語もちょっとやばくなってきているかもしれないです(笑)

Q:期待していたのと真逆の答え(笑)チームメイトとの会話はイタリア語ですか?

チームメイトは英語で話してくれますが、こっちの人との会話は完全にイタリア語です。だからどっちの言語を覚えたら良いか分からないんですよ。

Q:両方覚える、という選択肢は……?

そんなの無理です(笑)!

バスが怖くてどこにも行けない

Q:語学のほかに、イタリアで困っていることはありますか?

せっかくのイタリア暮らしなので、ローマとかミラノに行きたいのですが、バスの乗り方が分からなくて、勇気が出なくて……本当にどこにも行けていないんですよね。どうやって(バスの)料金を支払えば良いのかわからなくて、言葉も通じないからめっちゃ色々不安なんです。

この間も、1日オフがあったのでミラノに行こうと思って着替えるところまで準備したのですが、バスが怖くて結局やめました(笑)

Q:練習がてら自転車で行けば良いのでは?何㎞くらいの距離感ですか?

多分ミラノまでは40㎞くらいです。でも、オフの日に往復80㎞なんて走りたくないですよ!何も休まらないじゃないですか(笑)

アバウトとは……欧州スタンダード

Q:なかなかストイックな生活を送られているようですが、何かトラブルなどはありましたか?

この前、レースに出る前にチームから「朝の8時30分に出発する」と連絡があったんです。
連絡が来たのがレースの前々日だったので、「前日の出発なんだな」と思って翌朝集合場所で待っていたら、出発時間になっても誰も来なくて。監督の親戚の方に「何をしているの?」と声をかけられて、「今からレースに行くんじゃないんですか?」って聞いたら、「明日だよ」って言われて……(笑)

日本だと、何月何日何時から、と詳細をきちんと伝えてくれるじゃないですか。そういうのがなくても、他のメンバーは通じ合えてて難しいなと思いました。

Q:ダニエルコーチも、同じような感じのコミュニケーションのような気が……?

そうなんですよ。だから、これが欧州のスタンダードなのかもしれないなって段々理解してきたのですが、ソワソワする毎日を過ごしています(笑)

イタリアとスイスは全然違う

Q:今は短期的にスイスに居るそうですが、スイスの環境はどうですか?

※インタビュー時は一時的にスイスの内野艶和・池田瑞紀と合流していた

なんというか、スイスは英語が喋れなくても全然受け入れてくれて、みんな優しい印象があります。穏やかで落ち着くなって。

イタリアでは以前、レースに出場するために診断を受けなければならないタイミングがあって、「英語もイタリア語も喋れないの?」みたいな感じで対応されたことがありました。それからちょっと消極的になってしまっているかもしれないです……。

レベルが高すぎて絶望……強者ぞろいのレース事情

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