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パリでの学び 無欲で臨むオムニアム
個人種目では唯一の出場となる予定のオムニアム。最もメダルへの自信があるというこの種目では、これまで支えてくれた多くの人の存在を胸に、静かな決意でスタートラインに立つつもりだという。
「これまでサポートしてくれた方々のおかげで、ここまで来られた。直前ではその想いも胸に、しっかりスタートを切りたいと思います。とはいえ、無欲でいきます」
ここで言う“無欲”は、消極的な姿勢ではない。むしろ、過去の反省から生まれた冷静な境地。
6位に終わったパリオリンピックでのオムニアム。「周りを気にしすぎて消極的になってしまった」「力を貯めていこう、ずるくずるく行こうとして、自分の力を出しきれなかった」と、大きな後悔を抱える走りとなってしまったことは過去のインタビューでも語られていた。
「取りにいく姿勢を表に出しすぎるとダメ。“あの選手をマークしなきゃ”ではなく、今の自分の強さを発揮する走りをする。体が反応して、逃げに乗る、スプリントする。自然に今の自分を出せれば良い」
36歳の“隠し球”?
これまで数々の種目を走り、スクラッチでは世界王者にもなった窪木だが、世界選手権でのオムニアム出場は2016年(16位)以来。当時は、2日間で6種目を走るレギュレーションであったため、意外なことに世界選手権で4種目制オムニアムに出場するのは、今回が初めてとなる。
「36歳の隠し球ですね(笑)。“お初でおメダル”になったら最高ですね。今年いちばん気合が入っていますし、期待していてください。頑張りますよ」
36歳のデビュー戦。
窪木一茂は、またひとつ「初めて」を更新する。
挑戦は、まだ終わらない。