2025年8月22日から25日にわたって、伊豆ベロドロームを舞台に日本一をかけた戦いが繰り広げられた『2025全日本選手権トラック』。
会場ではさまざまなイベントも競技と並行して行われていたほか、連日行われた配信では、中野浩一氏のほか、プレイヤーズゲストとして元ナショナルチームメンバーで東京五輪代表でもある脇本雄太選手、新田祐大選手のほか鈴木奈央選手が登場し、大会を盛り上げていた。
この記事では、プレイヤーズゲストのほか、選手としてもこの大会2つの銀メダルを獲得、ストライダーイベントでは子供たちとバンクを走るなど大活躍を見せた新田選手のインタビュー掲載する。

選手のパーソナルな部分を
Q:プレイヤーズゲストとして配信にご参加してみていかがでしたか?
今回のようなことをするのは今回がほぼ初めてだったこともあり、すごく難しかったです。
Q:どういうことを伝えられれば、と考えていましたか?
序盤は中野さんと一緒に出るというタイミングも多かったので、競技の中身を深掘りするような解説は中野さんにお任せして、僕は独自に入手した情報だったりを入れていきたいな、と思っていました。特に大会3日目はバスツアーの参加者もたくさん来場されていましたし、自転車競技のルールを知ってもらうというよりは、選手のパーソナルな部分を知ってもらったほうが面白いんじゃないかなって。
Q:どのような部分に苦労しましたでしょうか?
会場内にも自分たちの声が流れる、つまりレースをしている選手たちの耳にも届くので、この後レースがどういう風に動いて、っていうような話しをするタイミングが難しかったですね。
僕自身が競技をやっていた時はあまり気になりませんでしたが、選手によっては集中を乱してしまう可能性もあると思うので、特にスタート直前などは声量なども意識していました。

中長距離なら、観客の方と同じ目線で
Q:脇本雄太選手や鈴木奈央選手も同じくプレイヤーズゲストとして登場されていましたが、どんな話をしているか聞いていましたか?
聞いてました。特にワッキー(脇本雄太)はすごくレース感覚が良い選手なので、「自分だったらこうする」という発言とか、すごく鋭い視点だなと思いましたね。ただ、パーソナルな部分の話に関しては、僕の方が適しているかもしれません(笑)。
もし今後こういう機会があったら(脇本選手と)一緒に出て、レースのことはワッキーに、僕はパーソナルな部分を話す、っていうやり方だと良いかもしれませんね(笑)。
Q:今後もやってみたい?
やりたいですね。でも、もうちょっと砕けた感じだとやりやすいです(笑)。以前、他の競技の大会を見に行った時には、イヤホンで副音声みたいな解説が聞ける、という試みをしていたんですよ。「あの選手が来ているユニフォームは、じつは本人が好きな『エヴァンゲリオン』をモチーフにしていて……」みたいな内容が話されていて、すごく面白いなと思いました。
あと、やっぱり会場に来たからには、やっぱり一体感みたいなものを生み出せるとより良いと思うんですよね。そういう意味では、今回は短距離種目が中心でしたが、中長距離種目の副音声として登場させてもらうのもありかもしれない。きっと、観客の方と同じような目線、感覚で話すことができると思うので(笑)。
「イベントに行ったら選手が走っていた」でも良い

Q:今大会は体験型のイベントを多く行うなど、全体としてエンタメ色が強まった形となりました。今おっしゃっていただいた副音声的なアプローチも、大会の方向と合っているように感じます。
そう思います。「この選手は今大会で誰々を意識していて、この人に絶対負けたくないという気持ちでスタートしてるはずです」とか、そういう情報を随時発信できたら面白いだろうなって。
大会全体にしても、間口を広げるために今大会のような方向に発展するほうが絶対に良いと感じています。極論すると、選手・競技を見に来てもらうというよりは、イベントに行ったら選手が走っていた、くらいの感じでも良い。もちろん選手は頑張っていますし、素晴らしい走りを見せてくれているので、そこでみんな観てくれるはずだと思います。
「来年は深谷が?」って書いておいてください
Q:新田選手は今大会ではプレイヤーズゲストのほか、ストライダーイベントでは子供たちと一緒に走り、そして選手としても2つの銀メダルを獲得。来年、選手としての出場はどうされますか?
いやー、どうですかね……2021年大会で有終の美を飾れたはずなのに、泥をつけちゃったみたいな(笑)。

Q:いやいや、銀メダリストですから。
1kmTTは、メンバー次第と言っておきます(笑)。
Q:楽しみにいています。
あ!それと、最後にひとつ。大会前に深谷知広選手と話をしたら、「全トラ出たかった」って言っていたんですよ。きっと、今ごろ走りたかったって悔しがっているはず。ちょっと冗談っぽく言っていたのですが、しっかり記事にしておいてください。「来年は深谷が?」って(笑)。