人生を変えたクリス・フルームとの出会い

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ナショナル入りのきっかけはInstagramのDM

Q:そこから国体で2年連続スプリント優勝するなど、一気に頭角を現したわけですね。2024年5月に日本競輪選手養成所に入所されていますが、その時点ですでにナショナルチームにも入っています。それはどんなきっかけだったのでしょうか?

ジェイソン・ニブレットコーチに、「どうしたらナショナルチームに入れますか?」とInstagramで直接DMを送ったんです。「まずは合宿に参加して大会に出てくれ」と返信をいただいて、2023年の『ジャパントラックカップ』と『JICF国際トラックカップ』に出場して、そこから選んでもらえるようになりました。

三神遼矢(JPN), Final 1-6, Men Elite Keirin, 2023 Japan Track Cup Ⅰ

2023年の『ジャパントラックカップ』

Q:すごい行動力ですね。ナショナルチームに入りたいという想いは元々あったのですか?

実は高校3年の時にジュニアのナショナル中長距離メンバーに入っていたんです。世界選手権に行ける予定だったのですが、コロナ禍でなくなってしまって。その時から、ナショナルチームって良いなと思っていました。

Q:目標にしている選手は?

新田(祐大)さんと、(太田)海也さんです。あとは(ハリー・)ラブレイセン。

Q:ラブレイセンも(笑)。新田選手と太田選手はなぜ?

海也さんは、自分が初めて伊豆に来た時にすごく優しくしてくれて。こんなに強い選手なのに親切にしてくれるなんて、と感動しました。もちろん、競技面でも尊敬しています。

新田さんは同じ福島の競輪選手で、高校時代にすごい捲りで全員をぶち抜いている姿を見ていました。一緒に練習させてもらって、改めてすごい選手だなと。競輪では、新田さんが達成したグランドスラムを目指したいです。

アルカンシェルへの強い憧れ

三神遼矢,男子スプリント, JICF International Track Cup 2025

Q:『JICF国際トラックカップ』の時に、乳酸が溜まりにくくて疲れにくいと話していました。ここでの練習を見ていても、倒れるようなことは無いように見えますが、強みとなっていますか?

もっと出し切れるようにならないといけないという気持ちが強いです。ナショナルチームに来て最も強く感じるのは、練習に対する集中力の高さです。

練習量でいえば大学時代のほうが多かったですが、「決められた本数で自分の力をすべて出す」というのが徹底されていて、質も強度も高い練習になっています。少しずつ慣れてきましたが、そこが一番難しいです。

Q:ナショナルチームでの大きな目標を教えてください。

オリンピックも目標ですが、ロードを志していた時から、アルカンシェル(世界選手権のチャンピオンジャージ)に強い憧れがあります。なので、世界選手権で優勝することを目指しています。

Q:身近にアルカンシェルを着ている先輩もいますね。

めちゃくちゃカッコいいです。『ジャパントラックカップ』の時に(山﨑)賢人さんの隣に座ったのですが、アルカンシェルをずっと見てしまいました。すぐそばではサトミナ(佐藤水菜)さんも着ていて、窪木(一茂)さんもいます。本当にすごい環境だなと思いました。

佐藤水菜,山﨑賢人,窪木一茂, JPN,2024世界選手権トラック バレラップ, 2024 UCI CYCLING WORLD CHAMPIONSHIPS TRACK

左:窪木一茂、中央:佐藤水菜、右:山﨑賢人 3人の世界チャンピオンが現在チームに所属している

全トラは人生を変える「分岐点」 背後にあるのは「危機感」

Q:8月には『世界選手権トラック』のセレクションという意味も持つ『全日本選手権トラック』が迫っています。一言で表すなら、三神選手にとってこの大会はどんな意味がありますか?

「分岐点」です。

Q:なるほど。ちなみに尾野選手は「下剋上」と言っていました。

インパクト足りないですかね(笑)。

Q:そんなことはないです(笑)。「分岐点」である理由は?

ここで結果を残せば、『世界選手権トラック』への道が開ける可能性があります。今年『世界選手権』を経験できれば、その先の1年間が大きく変わってくるはずです。その意味で、今大会が分岐点になると思っています。

Q:具体的には、どの種目で勝負したいと考えていますか?

ケイリンも展開次第では十分にチャンスがあると思いますが、いちばん得意なのはスプリントです。
尾野さんがハロンで9秒6を狙うと言っていたので、9秒5を出します(笑)。

Q:9秒5というタイムへの手応えは?

ここから仕上げていければ、届くと思っています。9秒5を出せば、Aチームの選手とも良い勝負ができるはずです。早くAチームの選手たちと戦える状況まで持っていかないといけないと感じています。

Q:「焦り」のようなものはありますか?

あります。今は1日1日が瀬戸際で、いつ崖から落ちるか分からないような状況だと感じています。

Q:中石湊選手も同じような話をされています。

自分と中石、高橋奏多はずっとBチームでやってきたメンバーです。危機感はみんな強く持っていると思います。その中でも自分は年長の23歳(中石は21歳、髙橋は20歳)。早く強くならないとヤバいですし、止まっている暇はないです。『全日本選手権トラック』ではなんとしても表彰台、そして優勝を狙います。