プロ野球・独立リーグでプレーしたのち、日本競輪選手養成所に127回生として入所した尾野翔一。在所成績1位で卒業するとナショナルチームに加入、競輪では完全優勝デビューと、人生を変えるサクセスストーリーを突き進んでいる。

競技のデビューは6月に行われた『JICF International Track Cup』。ケイリン、スプリントの両種目で初めて実戦を積み着実に歩みを進めた。8月末に迎える『全日本選手権トラック』は2回目の競技の大会となる。そしてそこで狙うのは“下剋上”。

自転車歴は約2年。底知れぬ可能性を秘めた尾野翔一のインタビューを8月の全日本選手権トラック(22~25日)に向けての企画としてお届けする。

スポーツ一家?

Q:手から火の玉を生み出した感覚はいかがですか?

いつも通りです。全てを破壊します(笑)

破壊するよー

Q:まずは、パーソナルな情報から聞かせてください。出身は福岡なんですよね?

はい。北九州市の門司区出身で、中学までそこで暮らしていました。高校からは野球の特待生として早鞆高校(山口県)に進学して、寮生活を送っていました。

Q:スポーツ一家なんでしょうか?

いえ、そんなことはないです。ひとつ上に姉がいるのですが、大学までソフトボールをやっていて、全国大会に出場。上位打線を打っていたと思います。母はアスリートとかではないですが、スポーツインストラクターをやっています。父は自称「運動神経抜群」(笑)。「家が貧乏だったからスポーツができなかった」と言い張っていて、実際に筋肉はすごいですね。「道具さえあればオリンピアンだった」らしいです(笑)。

Q:それはスポーツ一家ですね(笑)尾野選手がオリンピックに出場したら、お父さんのDNAが凄いという証明になるかも?

そうかもしれないですね(笑)。

LINE漫画で『弱虫ペダル』を読んで……

Q:プロ野球・独立リーグから競輪選手&自転車競技選手へと転身したことでも知られていますが、そもそもなぜ自転車を始めたのでしょうか?

小学校から独立リーグまで野球をやっている間、いろんな人に「競輪に向いてるんじゃないか」と言われてきました。頭の片隅にはあったんですが、正直、自転車に「カッコいい」というイメージがなくて……。野球から転向する時も、格闘技と迷っていました。

最初は格闘技寄りだったのですが、ある時LINE漫画で『弱虫ペダル』を読んで……

Q:無料の試し読みで?

そうです(笑)。新開隼人っていうスプリンターがカッコよくて、ロードと競輪の違いはありますが、自転車ってカッコいいなと思いました。そこから一気に、「カッコよくて稼げるなら自転車のほうが良いじゃん」と気持ちが傾きました。

Q:そこから、どのように競輪の世界に?

野球時代から通っていたジムで現在の師匠の柳詰正宏さん(97期・福岡)と知り合って、「競輪やりたいです」とお願いしました。そこから師匠と1年くらい練習して、養成所に入りました。

目標は「豪邸と良い車」。ド直球な夢

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