日本人同士の頂上対決

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選手インタビュー

太田海也

Q:今大会2つ目の金メダルです。今のお気持ちを聞かせてください。

決勝で、(中野)慎詞と走ることができてとても良かったです。

2年前のアジア選手権では、アジズルハスニ・アワン選手に負けてしまって、マレーシア、そしてアジア選手権に対してはすごく苦い思い出がありました。今回、オリンピックに並ぶくらいの、もしかしたらあの時よりも良い調子でこのバンクを走ることができて、イメージをアップデートできたのがすごく良かったと思います。

アワン選手は今大会出場がなかったですが、今だったら勝ちにいけると思えるので、2年前のあの悔しい思いをして良かったなと思います。

Q:初日から3日間、脚の調子も上がってきているように感じています。

日本にいる時から、自転車と体を合わせるという微調整を繰り返してきました。タイヤを変えたり、サドルの角度を変えたりしてきたことがここで噛み合って、すごく良い感覚で走れていると思います。

Q:予選のタイム(9秒426)に対して、ご自身としての評価は?

オリンピックで日本新を出せずもどかしい気持ちを抱いていたのですが、そこで「なぜ出ないのか」を考えた結果が、こうやってコンスタントに良いタイムを出せるようになれた理由だと思います。去年までの自分をちょっと褒めてあげたいです。

Q:決勝では日本人対決。中野選手という存在は、どのように感じていますか?

日本のケイリンのレベルをどんどん引き上げてくれている存在です。対して、自分はスプリントのレベルを引き上げていくという自負があります。そういう意味では負けられない一戦であり、強い相手に勝つことができて本当に嬉しいです。

Q:決勝での2本を振り返ってみいかがですか?

2本目は相手の早い仕掛けにパニックになる部分もありましたし、本当に完璧なレースができたかと言われると、まだまだ改善するべきところがあります。そういったところを修正していければ、今シーズンはとても良いシーズンになるんじゃないかなと感じました。

Q:あらためて、この大会にはどのように臨んでいますか?

「どれだけリラックスしたモードで強く走れるか」というのが今大会のテーマでした。それを実現できているし、タイムも出せているので、すごく自信が持てる大会になっています。

Q:この後のケイリン、その先のネーションズカップにつながっていきそうですね。

バイクとの相性もしっかりと出せているので、このシーズンを突き抜けられるような期待が持てています。

中野慎詞

Q:銀メダルという結果は、どのように感じていますか?

「まだ、さすがに(太田)海也には勝てないな」というのが正直な感想です。
タイム差があるなかで、どうやって戦っていくか。自分が勝つためにどういうレース運びをするかが重要だと考えていました。良いところもあり、悪いところもありでしたが、少しずつスプリントでの成長を感じることができたので、すごく良い機会だったと思います。

Q:初日にチームスプリントを必死に走り切った後、気持ちの切り替えはできていましたか?

はい。個人種目にしっかりとフォーカスして、気持ちを作っていました。

Q:予選で9秒660というタイムを出して、感覚はつかめましたか?

久しぶりに更新した自己ベストでした。自分のパフォーマンスが上がってきているのもわかるので、やっと更新できたなという気持ちです。

Q:準決勝はオリンピックでの因縁の相手との対戦でした。どのような気持ちでしたか?

本当に負けたくなかったです。絶対にストレートで倒してやろうと、朝からバチバチにアドレナリンが出ていました(笑)。

ちょっと失敗があったとコーチから言われましたが、自分の中では余裕を持ってレースを見られていました。良くないレースではありましたが、冷静に運べたのは良かったのかなと思います。

Q:テクニック的な部分やパワーの使い方など、すごく進化を感じました。

僕もそう思います。苦手意識があったスプリントですが、世界で認められるには、ケイリンだけ強いのではなく、スプリントもチームスプリントも強くなければいけないし、それがスプリンターのあるべき姿だと思います。

スプリントの能力を伸ばすことで、ケイリンにも活きてくる。シンプルにハロン(200mFTT)で速いタイムを出すことができれば、トップスピードも上がるし、ケイリンでの勝ちに繋がってくるはず。苦手だから避けるのではなく、そういった思いで映像で見て、勉強をしていました。

Q:決勝では太田海也選手に敗れましたが、スプリントという種目でも、その背中はだんだん見えてきたのではないでしょうか?

まだ圧倒的な力の差で負けていますし、今すぐ勝てるかと言われると、そこは厳しいのかなというのが現実です。そこは受け止めて、着実にステップアップしていけたらなと考えています。

Q:太田海也選手の強さはどのように考えていますか?

低速からどのようにトップスピードに上げるかがスプリントでは重要だと感じています。海也は、どんなところからスパートをかけても、上がりタイムがすごく速い。トップスピードに引き上げる能力で自分が劣っているというのは、対戦してみて、レースを見ていて感じました。そこを鍛えていかないと、海也にも通用しないし、世界でも戦えないなと感じています。

Q:決勝のレースが終わった時、どのように感じましたか?

無理だな、と(笑)。

上がりタイムも9秒7だったので、それは追いつかないよな、と思いました。同時に、もっと頑張りたいという気持ちも新たに芽生えました。
現実を受け止めないと強くなれないと思うので、次につなげていきたいです。

Q:今後のネーションズカップに向けてはどのように考えていますか?

今年は1戦しかないので、世界中の強い選手が一気に集まってくるかもしれない、という話はコーチからもされています。そこでケイリンで優勝するというのが、世界選手権にもつながっていくと思っています。去年の世界選手権の悔しさをぶつけていきたいです。

Q:2種目を終えて、手応えはつかみましたか?

はい。珍しく手応えがありました。自分の成長が見られるレースができたので、とても嬉しかったです。

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