2月7日、トラック競技日本代表の橋本英也と松田祥位が大同工業を表敬訪問した。世界最速のチェーンを提供する会社への訪問、その内容についてレポートする。
大同工業株式会社(通称DID:以下記載はDIDとする)は1933年、自転車チェーンの製造会社として創業。本社は石川県加賀市。2024年に日本自転車競技連盟トラック競技で使用するチェーンのオフィシャルサプライヤーとなり、オリンピック、世界選手権と活躍した選手たちへのMIDASチェーンの機材提供を行い、現在の日本チームを支えてくれている。
日本チームとしての新たなスタートとなる2025シーズンの開始前に、橋本英也と松田祥位がDID本社への表敬訪問を行った。
バレンティーノ・ロッシなど、圧巻のギャラリー
2人が訪問すると、まず最初に紹介を受けたのはDIDギャラリー。史上最強、伝説のバイクライダーと称されるバレンティーノ・ロッシ選手のサイン入りグッズなど、超豪華な展示物が並ぶ中を橋本と松田が訪問。説明を聞きながら、DIDの歴史を知っていく2人。
※バレンティーノ・ロッシはDIDのチェーンを使いたいと逆指名が掛かったことから関係が始まったとのこと
バレンティーノ・ロッシ(サイン入りは中心の帽子)を筆頭に数々の王者がDIDのチェーンを使用してきた
説明を受ける橋本と松田
このリアル感は見ないと分からない 工場見学
ギャラリー見学の後は、実際に自転車のチェーンがどう作られるかの工程を視察。金型からチェーンの部位が作られていく様、組み立てられていく様を学んでいく。社員の方の話によると、当日作っているチェーンは日が出ている間に1ラインで800mほど生産することが可能(もちろん型やチェーンの形によって生産できる長さは変わる)。チェーン生産の工程の一つ一つが機械音と共に流れていく様子は圧巻そのものだった。
橋本「これは凄いし見ていて楽しいですね。ピタゴラスイッチみたいです」
松田「これは見ないと分からないです。圧倒的なリアル感です」
ピタゴラスイッチな様子
多くの社員が参加を希望した交流会
工場見学のあとは、DID社員の方々との交流会。会場の広さの関係で社員30人限定となった会だが、人気故に申し込みはすぐに締め切られてしまったとのこと。様々な質問が寄せられ、一つ一つ丁寧に回答していった橋本と松田。記事内では、チェーンに対する2人のコメントをフィーチャーする。
極限時に感じる抵抗の少なさ
松田「MIDASチェーンは強い力が掛かった時に滑らかということ、音が少ないこと、極限まで感覚が研ぎ澄まされている時に感じるチェーンの抵抗が段違いに少ないと実感しています。チームパシュートの現日本記録を出したレースでは、自分が他の選手より先に離脱することになっていました。(離脱前)最後にチームのスピードを大きく上げることが必要になるのですが、パワーをかけた際の抵抗が少なかったお陰でタイムが出たと思っています。」
日本の企業と一緒にオリンピックでメダルを
橋本「元々今回のMIDASチェーンの開発にも関わっていたのですが、僕は機材が好きであることが根幹にあると思います。オリンピックは国ごとの戦いだと思いますので、日本の企業と一緒に戦ってメダルを獲りたいと思っていました。ですからDIDさんから話をいただいた際には、喜んでと言って進んで開発に加わった形です。今後はチェーン効率をもっと良くしていきたいです。そのためにはナショナルチームのメンバーがどんどんテストしてフィードバックしていき、タイムを出しながらより良いチェーンを目指していければと思っています。」
様々な質問が飛び交った交流会は大盛況で終了し、橋本と松田は表敬訪問を終えた。
DID 桜谷賢 ものづくり推進室長(上席部長)コメント
弊社の製品に対しての直接のフィードバックがオリンピックや世界選手権で活躍する一流の選手から聞ける機会となり、とても貴重な会となりました。日本代表チームが世界選手権で勝ってくれたことにより、弊社の従業員への良い刺激になっていますし、今後もより良い製品開発を進めるためにも邁進していきます。
このMIDASチェーンはどんなところが凄いのか、その点については後日別記事でお伝えさせていただく。