数値はサトミナ超え
Q:せっかくなので佐藤水菜選手に聞きますが、小原選手はいかがですか?
佐藤水菜:乃亜ちゃんは体がすごいんですよ。腰がめっちゃ細いんですけど、腕がすごくて。もはや(グラップラー)刃牙ですよ。身長は小さいのに、出すパワーの数値がすごい。仲澤春香の数値もすごいので、すごい2人が来たなと思っています。
Q:パワーの数値上は佐藤選手よりも上なんですか?
佐藤水菜:乃亜ちゃんは、体重比(※1㎏あたりのワット数)でいうと私より上です。
Q:最大パワーどのくらいなのでしょう?
小原乃亜:前に測った時は、1260w(ワット)でした。
佐藤水菜:体重比でいうと、乃亜ちゃんは21.5っていう数値なんです。体重比で20超えてるのって、前だと私だけだったんですけど、私の数値も余裕で超えています。ウェイトも私と変わらないくらい上げますからね。体重比でいうと、女子では過去一なんじゃないかなと思います。
Q:仲澤選手もそういう感じですか?
佐藤水菜:仲澤は、マックスパワーはそんなにないんですけど、最大値に近い数字で走り切れますね。この間やった750mのトレーニングでは、仲澤は2本とも私に勝っています。ウェイトでは全然なんですけれど、自転車のパワーがめちゃくちゃ出せるタイプみたいですね。
Q:すでに数値上はサトミナ超えの若手選手……。
佐藤水菜:(太田)海也いわく、ボート選手は80パーセントの力でずっと漕ぎ続けることができるって言ってて、(太田と同じくボート競技出身の)仲澤は本当にその感じです。乃亜ちゃんのパワーもすごいですし、めちゃくちゃ面白いチームになったと思います。
Q:酒井亜樹選手もいて、平均年齢もグッと若返りましたね。
佐藤水菜:私が年長者ですから。いちばん下の(岡本)美咲と(水谷)彩奈と比べると7こも歳が違う。
Q:そう考えると、窪木選手(現在35歳)はお父さんみたいな年齢ですね。
小原乃亜:そうですね(笑)。
佐藤水菜 強制退場
Q:さて、気を取り直して。あらためてですが、沖縄合宿はどうですか?
Aチームとの練習はこれまでもしていましたが、合宿ほど一緒になることはなかったので、良い空気感、良い心持ちで練習できています。強度も高いのでキツい時もありますが、すごく充実してますね。
Q:「めっちゃキツい!」とかはないですか?
あ、それは思ってます。
Q:思ってなさそう(笑)
思っています(笑)。でも、やっぱり練習がキツくても苦にはならないので。
ただ、Aチームのメンバーを見ていて、キツい時でもご飯をしっかり食べられていることが印象的でした。特に水菜さんとは一緒に食べる機会も多かったのですが、しっかりと量も多いし、バランス良く食べていた。当たり前のことですが、すごいなと思いました。食もトレーニングのうちだと思っているので。
Q:大学時代も、長期キャンプのような経験はなかったですか?
なかったです。でも、ストレスを感じたりすることはなく、いつもどおりでしたね。
Q:見ていると、淡々と、集中して練習をしているように感じました。ブレないというか、周りの影響を受けないタイプですか?
自然とそうなっている部分もあるかもしれませんが、日頃から、ブレないことは心がけてはいます。三浦さんの指導で、自分で考える癖がついている、ということもありますね。そのうえで、この合宿ではコーチや先輩からいろいろとフィードバックをいただけているので、すごくいい環境だと思っています。
背負っている、という緊張感
Q:ハロン(助走をつけた200mタイムトライアル)のベストタイムはどれくらいでしょう?
10秒9です。去年の『ジャパントラックカップII』でのタイムなので、半年以上前くらいですね。
Q:今後の伸び代が大きそうですね。年末のオーストラリア遠征(『Austral Wheelrace』)はどうでしたか?初めての海外大会でした?
じつは大学の時に、ニュージーランドのエリートのレースに行ったことがあるんです。でも、ジャパンとして出場した今回の遠征は、当時とは違いました。日本代表のジャージを背負っている、という緊張感がプラスされているような感じでした。
Q:そういったプレッシャーの中でも、ケイリンでは銀メダルを獲得しました。
とにかくベストを尽くすようにしました。ただ、スプリントの対戦ステージ(準々決勝)でやらかしてしまって……。1本目、車間が無さ過ぎとコーチから言われたのですが、それを意識したら2本目では相手との距離を遠くしすぎてしまいました。スタートした時に、「やばい、(車間を)取りすぎた」と思ったのですが、そのまま捕まえることができなくて終わってしまいました。
Q:ケイリンでは、ジュニア時代に日本一になったりと実績を残していて感覚を掴んでいますが、スプリントは難しいですか?
スプリント自体は『ジャパントラックカップ』『全日本選手権トラック』でも走ってはいるのですが、オーストラリアの時は自分でもびっくりするくらい下手くそなレースでした。撃沈です。
Q:ジェイソン・ニブレットコーチには怒られましたか?
めっちゃ「S**t!!」って言っていましたね……。
Q:(笑)今回のアジア選手権は出場がないとのことですが、これからは競輪選手養成所ですね。
養成所では、早期卒業ができるように頑張ります。
今年の競技の方の目標は、出場する大会でしっかり結果を出して、今後の主要大会に選出してもらえるようになること。そして主要大会でもしっかり結果を出せるように頑張りたいです。
小原乃亜 プロフィール
2002年生まれ、岩手県出身。岩手県立紫波総合高校で自転車競技をはじめ、2020年『全日本選手権トラック(ジュニア)』ケイリンで優勝の実績を残し、八戸学院大学に進学。
2024年には、短距離女子エリート強化指定選手「B」に選出。同年、『JAPAN TRACK CUP Ⅰ』スプリントで銅メダル、『JICF International Track Cup』のケイリン・スプリントでともに金メダルを獲得したほか、『全日本選手権トラック(エリート)』のスプリントでも銅メダルに輝いた。
2025年1月、日本競輪選手養成所130回生入所試験に合格。5月より養成所への入所が決定している。