2024年に競輪選手としてデビューすると、破竹の勢いで連勝を重ね注目を浴びた仲澤春香。
自転車トラック競技強化指定Bチーム入りも果たした彼女が、年始に実施されたナショナルチーム恒例の「地獄の沖縄合宿」に初参加。

『アジア選手権』に向けて心身を仕上げていく中で実施したインタビューの模様をお届けする。

“佐々木&新田チルドレン”です

Q:2024年は養成所を卒業後、競輪と並行してナショナルチームの練習生的な位置付けで活動をしてきましたが、振り返ってみていかがですか?

自分が思っていたよりも周りの選手たちとの差がありすぎて、ヤバいなという感じでした。自分の感覚としては、練習もまともについていけていないくらい。自分は年齢もすごく若いわけではないので、1年で結果が出なかったら福井に帰ろうと思っていました。

Q:そのなかでBチームに昇格したことは、“結果が出た”と手応えを感じましたか?

Bチームに混じって練習をやっていくなかで、新田(祐大)さんや佐々木(龍也)さんにみてもらえて、少しずつ力がついてきているなという実感はありました。

左:佐々木龍也コーチ

佐々木さんは優しく支えてくれる感じで、新田さんは細かくデータをみて具体的なアドバイスをくれるような感じ。選手へのアプローチが違うので面白いです。Bチームの選手は、基本的には新田さんメインで教えてもらっていました。

Q:佐々木&新田チルドレンと言えますか?

Bチームの選手はそうだと思いますね(笑)。

Q:新田さんは熱い人ですよねえ。

めちゃくちゃ熱いですよね。(小原)乃亜ちゃんはずっと新田さんと話をするタイプで、「どこまで話が進むの……?」と思いながら見ていました(笑)。

Q:自分はどんな性格だと分析していますか?

なんだろうな……自信はないです(笑)。あとは、人が好きだし、素直だと思いますね。

スプリントのルールは……

Q:12月には、オーストラリアで初めての海外レース挑戦がありました。

良い経験を積むことができました。競技の大会はそんなに経験がないなか、トレーニングを積んで強くなってきた実感もあり、ガールズケイリンを走ってきたことでメンタル面でも落ち着いてレースに臨めるようになったと思っていました。でも、うまくいかない部分もたくさんありました。次、海外に行った時は結果を出したいなと思います。

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Q:とはいえ、ケイリンでは優勝するなどUCIポイントを得ることができました。自信にはなりましたか?

ケイリンは自信になりました。スプリントはまだ理解できていない部分が多くて、全然ダメでしたね。

Q:スプリントのルールは勉強しました?

養成所みたいに、ナショナルチームで座学の勉強みたいなことはしないじゃないですか。だから、ちょいちょい聞きながら、なんとなく理解しています(笑)。

Q:ルールブックは?

ルールブックあるんですか!?
見ます、絶対。そういうの、どこにあるんだろうと思ってたんですよね。

Q:送りますね……。

目の前にいる、世界トップ選手たちとの距離

Q:この先、大きな目標としてはオリンピックを想定していますか?

ナショナルチームにいるからには、オリンピックが最終的な目標になるとは思っています。でも、今はまだ、そこまでの距離が遠すぎて……。目の前の課題をクリアして、海外の大会でいかにしっかりとしたパフォーマンスを出せるかということに集中しています。

まずは、直近の海外大会であるアジア選手権で表彰台に乗ることですね。そういった舞台で結果を出して初めて、オリンピックだったり次が見えてくるのかなと思っています。

Q:去年のオリンピックで印象に残っているシーンはありますか?

男子のケイリンの決勝です。(中野)慎詞さんがめっちゃ良い位置で、「これいける!」って思いながら見ていました。ああいう結果(※)になってしまったので悔しいだろうなって。

※最後にマレーシアの選手と接触し、落車。結果は4位だった

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Q:あの舞台で活躍する先輩の姿を見ると、自分も続くぞ、と思えますか?

うーん……弱気な発言になってしまうかもしれませんが、まだ現実味がないんです。世界との距離を知らないというか。
目の前に世界のトップの選手がいて、まだ足元にも及んでないということは練習でわかっている状態なので、自分に見えるわけがない、と今は思っています。

チースプは……きっと緊張がやばいです(笑)

Q:アジア選手権では、チームスプリントのメンバーにも入っています。

まだ練習自体はできていないですが、3走になると言われています。不安はありますが、改善できるポイントがたくさんあると思うので、少しでも良くしていきたいです。

Q:チームスプリント、ケイリン、スプリントと3種目に出場することとなるかと思いますが、得意な種目はやっぱりケイリンですか?

得意というか、いちばん走っているので落ち着いて臨める種目だとは思います。チースプは……きっと緊張がやばいです(笑)。萎縮しすぎるのはダメだと思いますが、迷惑かけないように、もう必死です。

Q:チームスプリントは難しい?

大事な部分が2つあると思っていて、まずはスタート。そこで千切れてしまったら話にならないと考えています。もう1つが、1走の(酒井)亜樹ちゃんと2走の(佐藤)水菜さんが交代するところ。水菜さんはトップスピードがすごいので、なんとかしてついていかなきゃいけない。そこから2周引き摺り回されて、耐えられるかなってめちゃくちゃ怖いです(笑)。

Q:競輪を見ていても、脚質としてはロングスプリンター型ですよね?

多分そうなんですけど、高いところでキープするのがあまり得意ではないんです。水菜さんの高いスピード域でバテバテになる可能性がありそうな気がしていて……ちょっと、いや、だいぶ不安です。

佐藤水菜

まずはハロンで10秒台を

Q:ちなみにハロンのベストタイムは?

オーストラリアの大会で出した11秒1です。

Q:佐藤水菜選手は10秒3とかで走るわけですからね。

本当にそうなんですよ!持ちタイムが遅すぎるので、まずはベストを更新したい。とりあえず10秒台を出したいです。

Q:タイムを出すために必要な要因については、どう考えていますか?

トレーニングで力がついてきているのも実感できていますし、練習の感じだともっとタイムが出ているはずなんです。なので、アップだったり気持ちの部分、あとは会場に慣れていなかったりっていう部分がダメなのかなと思います。

仲澤春香, 女子エリート, 500mTT, 2024全日本選手権トラック, 伊豆ベロドローム

大会の1日目が、すごく苦手なんですよね。オーストラリアでは初日がスプリントでした。どうにかしたいですね。

Q:パチッとスイッチを入れるのが苦手?

そうですね。無駄に力んでしまったりとかもあるので、ルーティンも学びながら、改善していかないとダメですね。

競輪場バイト時に、“あの選手”との出会いが

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