2021年に新設されたトラック競技の新国際レース『トラックチャンピオンズリーグ』。例年秋ごろに世界選手権が終了し、シーズンがひと段落したところで行われる、招待制で選ばれたスターたちによって繰り広げられる大会だ。

この記事では直近に終了した2024大会までの「チャンピオンたち」をご紹介する。

チャンピオンズリーグとは?

例年秋〜冬にヨーロッパを転戦して行われるシリーズ戦。2024年は全5ラウンドで行われ、各ラウンドの成績を得点として集計。最終的にトップだった選手が優勝となる。なお各ラウンドでもチャンピオンが決定され、チャンピオンの証となる「ブルージャージ」が贈られる。

行われる種目は4つのみで、短距離選手はスプリントとケイリンの両方へ出場し、中長距離選手はエリミネーションとスクラッチへ出場する。種目数を絞ることで、スポーツ観戦者にトラック競技への関心を持たせることが狙いだ。

「全員スター選手」かつ「種目をギュッと絞る」ことで、トラック競技ビギナーでもスナック感覚で楽しめることができることが特徴の大会となっている。

歴代チャンピオン

短距離 中長距離
男子 女子 男子 女子
2021 ハリー・ラブレイセン(オランダ) エマ・ヒンツェ(ドイツ) ゲイビン・フーバー(アメリカ) ケイティ・アーチボルド(イギリス)
2022 マシュー・リチャードソン(オーストラリア) マチルド・グロ(フランス) クラウディオ・イムホフ(スイス) ジェニファー・バレンテ(アメリカ)
2023 ハリー・ラブレイセン(オランダ) エルレス・アンドリュース(ニュージーランド) ディラン・ビビック(カナダ) ケイティ・アーチボルド(イギリス)
2024 ハリー・ラブレイセン(オランダ) アリナ・リシェンコ(AIN) ディラン・ビビック(カナダ) ケイティ・アーチボルド(イギリス)

2024チャンピオンズリーグにおいて、最終戦となる12月7日の女子ケイリンで大規模な事故が発生し、大会が中止に。女子中長距離は最終種目まで終了していたものの、他のカテゴリーはまだ途中の段階であったが「中止時点でのポイント」に基づいて順位が決定された。

短距離男子はハリー・ラブレイセンとマシュー・リチャードソンが頂上決戦を繰り広げ続けている。なおリチャードソンは2024年のオリンピック後に国籍をイギリスに移しており、チャンピオンズリーグが国際ビッグレースとしては国籍変更後初レース。リチャードソンは今大会総合2位となった。

女子短距離の優勝は初出場のアリナ・リシェンコ。元ロシア籍の選手だが、2024年現在はAIN(中立選手)としてレースに出場している。5連勝(5ラウンドの全てでトップ)を成し遂げた初の選手として、歴史に名を刻む結果となった。

中長距離カテゴリーはディラン・ビビックとケイティ・アーチボルド、男女ともに2023年に続く連続優勝となった。特にアーチボルドは怪我でオリンピック出場を断念した後だったこともあり、その復活に喝采が送られた。

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新たなシーズンが始まる

オリンピックイヤーの2024年を終え、新たなシーズンが始まる2025年。4年後を見据えた新たなスター選手の出現や、ベテラン選手のさらなる進化が見られることだろう。

ロサンゼルスオリンピックに向けた新シーズンの一発目がどのようなものになって、秋のチャンピオンズリーグにはどんな選手が出場するのか。トラックシーズンの「顔」が一目でわかるこの秋のチャンピオンズリーグを、今から楽しみにしていきたい。

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