『朝日新聞社杯競輪祭』。通称”競輪祭”と同時開催になっている競輪祭女子王座戦。11月21日に実施されたレースではレポートの通り佐藤水菜が1着。この開催での3走を全て1着とし、完全優勝で年末のガールズグランプリへの切符を手にする結果となった。
結果だけ見ればレースは佐藤が圧勝し、グランプリ2連覇へ向けて新たなタイトルを獲得したが、レースはどうだったのか。中盤以降の展開にフォーカスして、この戦いを紐解いていく。
まだまだ佐藤を警戒中 残り1周半 太田⇒梅川⇒佐藤の車間
どのような並びになるのがで攻め方が変わる競輪。このレースは太田、石井、梅川、尾崎、佐藤、當銘、久米の順となって周回を重ねていった。残り1周半となる時点では梅川が前にいる太田と石井との間を大きく取り、そして佐藤は更に大きく間を空けて5番手で仕掛け時を待つことに。どの選手も佐藤の動きを警戒していることは間違いなかった。
先頭の太田と最後尾の久米までの距離が大きく離れていく中、動き出したのは最後尾の久米(黒)。位置を上げながら佐藤の前に出るのか、出ないのかの並走からスピードを上げると、久米の動きで中団と後方の選手たちの距離が詰まっていく。ここで距離が詰まっていったことで、佐藤が仕掛ける準備が整った形となった。
最終周 太田と梅川の先頭争い 集団が膨らむ
久米が後方からスピードを上げていくと、最終周回に入るところで3番手だった梅川が外から仕掛けていく。
そして梅川の仕掛けに合わせて一気にスピードを上げたのは先頭の太田りゆ。先頭に出ることができれば梅川にチャンスもあったが、太田が抜群のダッシュ力を見せて先頭を譲らなかった。そして残り半周では太田を先頭に後ろの選手たちが団子状態となり、6番手となった佐藤の前には厚い壁が作られる。
佐藤の驚異的なスピード
スピードの上げ方、後ろの詰まり方など、この時点では先頭を走る太田にとって有利な状態。
しかし世界チャンピオンがここから発進。そして強かった。
残り半周でフル加速をしていった佐藤が、大外を周って前の選手たちを乗り越えていく。そして真っ先ににゴール線に到達。最後は佐藤の脚力が全てを凌駕する結末を迎えた。
見所満載となったG1決勝レース。結果として佐藤が連勝街道を突き進む形にはなったが、現&旧ナショナルチームがレベルの高いレースを見せてくれた。観ている人にとっても、佐藤が出走した初日〜2日目のレ―スとは異なり、最後まで目が離せない展開だっただろう。
だがしかし、改めて世界チャンピオンは強いと感じるレースだった。