日本人として37年ぶり、史上2人目の男子ケイリン王者が遂に誕生。
新王者の名は山﨑賢人。世界を蹴散らし頂点へと輝いた。
10月16日よりデンマーク・バレラップで開幕した『2024世界選手権トラック』大会2日目に実施された男子ケイリン。
37年間、日本発祥のスポーツで待ちに待った新王者誕生への道のりをレポートする。
男子ケイリン
大会2日目の17日、日本が力を入れる男子ケイリンが実施。日本からはパリ2024代表となり無念の4位となった中野慎詞、失格となってしまったが決勝進出の力があることを見せた太田海也の2人に加えて、アジア大陸チャンピオン枠として山﨑賢人の3人が出走。世界からはパリ2024短距離3冠を果たしたハリー・ラブレイセン(オランダ)をはじめ、強豪27人が出場した。
1回戦 日本勢は問題なく突破
1回戦は各組2着までが準々決勝へと進む。第1組にアジアチャンピオンの山﨑が日本勢最初のレ―スへと登場。2023年男子ケイリン世界チャンピオンのケビン・キンテロ(コロンビア)を含む5人での競走となった。レースは残り2周を切ってキンテロが仕掛けて前に出るとキンテロがそのまま押し切って先着。山﨑は残り1周を切って3番手から加速していき2着で勝ち上がりを決めた。
第3組は太田海也が出走。山﨑と同じように最終周回で3番手から仕掛けた太田が捲って1着。
第4組には中野。パリ2024オリンピックで接触して共に落車となったムハマド シャー・シャローム(マレーシア)と同組となった。レースは残り2周を切って中野が一気に前に出ると逃げ切り先行体制へ。後ろにシャロームを引き連れて先行し、中野が1着、シャロームが2着。
日本勢は全員が準々決勝進出を果たした。
準々決勝 太田は前に出れず
27人から18人へと絞られた準々決勝は各組6人、3組での勝ち上がりを競う。各組4着までが準決勝へと進むことができるレース。
第1組には中野、第2組に山﨑、そして第3組に太田と日本勢はそれぞれ別組となった。
第1組のレ―ス。中野慎詞に加えて2023年男子ケイリン世界チャンピオンのキンテロ、強豪のニコラス・ポール(トリニダード・トバゴ)など6人が組み込まれた。レースは残り2周でトーマス・コーニッシュ(オーストラリア)が最後尾から上がってくる。その後輪に付けた中野は、2番手と絶好の位置で最終周回へ。一気に加速して先頭に立った中野がそのまま押し切って先着。2着にキンテロとして準決勝進出を決めた。
第2組は山﨑が出走。残り2周から外側を走り、なかなか前に出られない中でも粘って3着となり、中野に続いて準決勝進出を決めた。
第3組には太田。パリ2024男子チームスプリント金メダルのジェフリー・ホーフラント(オランダ)、トラック競技で最も身長が高いと言われているミカイル・ヤコフレフ(イスラエル)など強豪が揃った。レースは残り3周でヤコフレフが先頭、ホーフラントが3番手、太田は5番手となって進む。
誰も仕掛けないままスピードが上がっていくと、残り1周半で太田が前へと動き出していく。しかし他の選手たちも一斉に動き出したため、進路を妨害される形で太田が前に出れず。3番手のホーフラント、4番手の選手が外に持ち出し、大外を走らされることになった太田は位置を上げることが出来ずに5着でフィニッシュ。準決勝に進むことはできなかった。
準決勝 山﨑が決勝 中野は届かず
準決勝は2組で、各組6人が出走。3着までが決勝へ勝ち進む。第1組には中野と山﨑が同組となって決勝進出へ臨んだ。同組にはト・チュヘイ(香港)、キンテロ(コロンビア)、ムハマド シャー・シャローム(マレーシア)、マテウス・ルディク(ポーランド)。
並びはト・チュヘイ、シャローム、ルディク、キンテロ、山﨑、中野の順。残り3周を切って動き出したのは最後尾の中野。しかし中野が上がっていくと4番手のキンテロが動き出し、中野の進行が妨げられる形で残り2周へ。3番手のルディクも動き出し、先頭に上がっていくと、2番手争いは内からシャローム、キンテロ、そして外側に中野となって残り1周半。
キンテロが2番手争いから抜け出し、そのタイミングで山﨑が3番手へと中野の内を突いて上がってくる。目まぐるしい展開となって迎えた最終周回ではルディク、キンテロ、山﨑とシャロームが並び、5番手に中野の順番。
キンテロがルディクに並び掛け、最後はルディクをかわして1着。その外からは山﨑が伸びてきて2着、更に外から中野が上がってくるが、内側で粘ったルディクが3着。中野は5着となった。山﨑は決勝進出、中野は7-12位決定戦へと回る結果となってしまった。
そして第2組では大きな波乱があり、パリ2024大会で全出場種目優勝を果たした王者ラブレイセンが敗退。ラブレイセンの姿が無い決勝となることが決定した。
決勝 金&レインボーアフロの誕生 37年ぶりの快挙
決勝メンバーはルディク、山﨑、キンテロ、加えてハリー・レンディンガム ホーン(イギリス)、ホーフラント(オランダ)、ヤコフレフ(イスラエル)の6人。
レースがスタートし、並びは山﨑、レンディンガム ホーン、ヤコフレフ、ルディク、キンテロ、ホーフラントの順で周回を重ねてスピードを上げていく。展開が動いたのは残り3周のペーサー離脱前から。最後尾のホーフラントがペーサー退避のタイミングに合わせて位置を上げてくると先頭へ。その動きに合わせてレンディンガム ホーンが2番手へ上がっていくと、山﨑は3番手の位置を得て残り2周を迎える。
その時点で最後尾となっていたキンテロが外に持ち出して位置を上げてくると、一旦山﨑と位置取りを行うが先頭のホーフラントに並びかけて最終周回へ。山﨑は上がっていくキンテロの後輪につけて3、4番手の位置で仕掛ける時を待つ。
最終周回に入り、キンテロのスピードを受けて外から仕掛けていったのは山﨑。ホーフラントとキンテロを残り半周で捕えると勢いをそのままに一気に先頭へ。
最終コーナーを回って自転車1つ分抜け出した山﨑が栄光のフィニッシュラインを駆け抜け1着。1987年に本田晴美選手が獲得した金メダルから37年ぶり、日本人2人目の快挙となる男子ケイリンの王座に輝いた。
2位は外から最後に位置を上げたヤコフレフ、3位はキンテロという最終結果となった。
なお、7-12位決定戦では中野慎詞がハリー・ラブレイセンを破り1着。最終成績を7位とした。
最終リザルト
選手名 | 国 | ||
優勝 | 山﨑賢人 | 日本 | |
2位 | ミカイル・ヤコフレフ | YAKOVLEV Mikhail | イスラエル |
3位 | ケビン・キンテロ | QUINTERO CHAVARRO Kevin Santiago | コロンビア |
7位 | 中野慎詞 | 日本 | |
13位タイ | 太田海也 | 日本 |