2024年7月26日から8月11日まで行われる第33回オリンピック競技大会(フランス・パリ)。自転車トラック競技は、全部で6種目が実施されます。

シリーズ「ready to Paris」では、全5回にわたって「パリオリンピックの自転車トラック競技」を楽しむための情報を紹介していきます。

【第1回】オリンピックで行われる自転車競技とは?
【第2回】自転車トラック競技ってなに?
【第3回】オリンピックで行われる自転車トラック競技-短距離編
【第4回】オリンピックで行われる自転車トラック競技-中長距離編
【第5回】自転車競技で活躍する日本人選手たち

【第4回】オリンピックで行われる自転車トラック競技-中長距離編

短距離種目 タイムトライアル
★スプリント
★ケイリン
★チームスプリント
中長距離種目 個人パシュート
スクラッチ
エリミネーション
ポイントレース
★オムニアム
★マディソン
★チームパシュート

★=オリンピック種目

今回は自転車トラック競技で行われる6種目のうち、中長距離の3種目のルールと見どころをご紹介します。

オムニアム

内野艶和, UCHINO Tsuyaka, JPN, 池田瑞紀, IKEDA Mizuki, JPN, アマリー・ディデリクセン, DIDERIKSEN Amalie, DEN, 女子オムニアム エリミネーション, WOMEN'S Omnium Elimination Race, 2024トラックネーションズカップ ミルトン, 2024 UCI TRACK NATIONS CUP Milton, Canada

4つの種目の総合得点で最終順位が決まるオムニアム。語源は「全部」を意味するラテン語で、過去には短距離種目を含めた「自転車トラック競技の総合力」を競う種目だったこともありますが、現在は「中長距離種目の総合力」を競う種目となっています。

李思穎 リー・ジーウィン, LEE Sze Wing, HKG, 女子オムニアム テンポレース, WOMEN'S Omnium Tempo Race, 2024トラックネーションズカップ ミルトン, 2024 UCI TRACK NATIONS CUP Milton, Canada

1種目目は「バンクで行われるロードレース」とも呼ばれる「スクラッチ」。決められた距離を走り、最初にゴールした人が勝利というシンプルなルール。

2種目目は「テンポレース」。毎周回、フィニッシュラインを1着で通過した選手だけ1ポイントを得ることができる種目で、「先頭の人しかポイントを取れない」ことからハードなレースになりがち。集団を1周追い抜いた場合は20ポイントが加算され、最終的な合計ポイントで順位が決定します。

3種目目は「エリミネーション」。2周に1回最後尾の選手が除外されるサバイバルレースで、ちょっとシャトルランに似ているかも。初心者にもわかりやすい種目でしょう。

4種目目はこれまでの成績を持ちポイントとしてスタートする「ポイントレース」。10周ごとのスプリント周回で、1着に5ポイント、2着に3ポイント、3着に2ポイント、4着に1ポイントが与えられます。

レースで得たポイントが持ち点に加算されていき、最終的に総合ポイントが最も高かった選手が勝ち!

1日で何十キロも走ることになるオムニアム。走り続ける体力だけでなく、戦略、状況判断力、スプリント力、そしてレースとレースの間にどれだけ回復できるか、といった要素も重要。まさに「すべて」が内包された種目です。

 

マディソン

垣田真穂, KAKITA Maho, 内野艶和, UCHINO Tsuyaka, JPN, 女子マディソン, WOMEN'S Madison, 2024トラックネーションズカップ ミルトン, 2024 UCI TRACK NATIONS CUP Milton, Canada

ルールはポイントレースと同じで、10周ごとに設けられたポイント周回を4位までに通過、またはラップ(メイ ン集団を1周追い抜き)でポイントゲット。合計獲得ポイントで勝敗が決まります。

ポイントレースと異なる点は「2人1組で行われる種目」ということ。交代で走ることで高速を維持できるため、特に男子のレースはとんでもないスピードになることも。

今村駿介, IMAMURA Shunsuke, JPN, 男子マディソン, MEN'S Madison, 2024トラックネーションズカップ ミルトン, 2024 UCI TRACK NATIONS CUP Milton, Canada

交代は相手選手にタッチすることで成立しますが、多くの場合は「ハンドスリング」と呼ばれる手を繋いで相手選手を勢いよく投げ、相手にスピードを乗せる動作をします。この短い時間に選手間でエールを送ったり、状況共有をしたりもするそうですよ。

チームによって選手の特性・組み合わせも様々。例えば「スプリントが得意な選手」と「安定した速度で走り続けられる選手」の組み合わせで、スプリント周回の直前で「スプリントが得意な選手」にバトンタッチ!疲れのないフレッシュな脚でダッシュしポイントをゲットする、といった作戦などがあります。

チームパシュート

橋本英也, HASHIMOTO Eiya, 兒島直樹, KOJIMA Naoki, 今村駿介, IMAMURA Shunsuke, 窪木一茂, KUBOKI Kazushige, JPN, 男子チームパシュート 3位決定戦, MEN'S Team Pursuit Final for Bronze, 2024トラックネーションズカップ ミルトン, 2024 UCI TRACK NATIONS CUP Milton, Canada

4人1チームで行われる「チームパシュート」。「団体追い抜き」とも言います。レースは4kmで行われ、半周向かい側で同時にスタートする相手チームより良いタイムを出すか、追い抜くと勝利。

梶原悠未, 垣田真穂, 池田瑞紀, 内野艶和, メナクシ・メナクシ, MEENAKSHI Meenakshi, スウェスティ・シン, SINGH Swasti, チェニカ・ゴゴイ, GOGOI Chayanika, デヴィ・コイロム レジヤ, DEVI Khoirom Rejiya, IND, 女子チームパシュート予選, WOMEN'S Team Pursuit Qualification, 2023アジア選手権トラック, 2023 Asian Track Championships Nilai, Malaysia

先頭の選手は風の抵抗が強く体力を消耗するため、先頭を交代しながらレースを進めていきます。最終的に3人がゴールすればタイムとして認められるため、時には「最初に何周か先頭で引っ張って、あとは離脱」という戦略を採ることも。

兒島直樹, 松田祥位, 橋本英也, 窪木一茂, JPN, 男子チームパシュート 予選, MEN Elite Team Pursuit Qualification, 2023世界選手権トラック グラスゴー, 2023 UCI CYCLING WORLD CHAMPIONSHIPS TRACK Glasgow, Great Britain

レースで重要となるのは「隊列が綺麗であること」。

というのも、隊列が綺麗に一本になっていて、前の選手にぴたりとついていられればいられるほど、風の抵抗が低いから。

チームのシンクロ率、そして同じ速度で走れるくらい「全員の能力が高い水準にあること」が求められる種目。だからこそ、チームで良いタイムや順位を得られた時の喜びは格別のものとなります。

次回「自転車競技で活躍する日本人選手たち」

第5回では「自転車競技で活躍する日本人選手たち」をテーマにオリンピックの自転車トラック競技を紹介していきます。お楽しみに!

【第1回】オリンピックで行われる自転車競技とは?
【第2回】自転車トラック競技ってなに?
【第3回】オリンピックで行われる自転車トラック競技-短距離編
【第4回】オリンピックで行われる自転車トラック競技-中長距離編
【第5回】自転車競技で活躍する日本人選手たち