自転車トラック競技とは、競技場のトラックを利用して行われる自転車競技のこと。日本では全国各地に自転車競技場や競輪場があり、国体(国民体育大会)、インターハイ(高校総体)、インターカレッジ(全日本学生選手権)、オリンピック種目として、たくさんの選手がこの競技に取り組んでいる。

どのような場所で行われる?

自転車トラック競技は国体(国民体育大会)の種目ということもあり、ほぼ全ての都道府県に自転車競技場や競輪場があり、大会会場・練習場所として活用されている。

ただしUCI(国際自転車競技連合)の規定する国際規格の自転車競技場は1周250mの板張り・屋内バンク。これは日本国内に2つのみ(静岡県・伊豆の伊豆ベロドローム、および隣接するJKA250)。伊豆ベロドロームは東京2020オリンピックの自転車トラック競技実施会場になったほか、オリンピックを目指す日本代表選手の活動拠点にもなっている。

どのような自転車が使われる?

シティサイクル、いわゆるママチャリと比べてみると、さまざまな違いがあるトラック用自転車(ピストバイク)。例を挙げてみると、以下のような違いがある。

・靴とペダルが固定できる構造となっている
・ブレーキがついていない
・ギアを変えられない(変速機がついていない)
・材質はカーボンが主流
・車輪の造りの違い(スポークがあまり使われない)

それぞれの詳細はコチラ

どのような種目がある?

国際大会で行われる種目は11と、かなり多くの種目がある自転車トラック競技。

まず大きく2つに分けると「短距離種目」と「中長距離種目」がある。高校自転車部などでは全種目を満遍なくやる例もあるが、多くの場合短距離種目選手は短距離だけ、中長距離種目選手は中長距離だけ行う。

さらにゲーム系種目(周りの選手を追い抜いたり、ブロックしたり、競り合ったりする要素のある種目)とタイム測定系種目に分けて大分すると、以下のようになる。

ゲーム系 タイム測定系
短距離 ケイリン
スプリント
チームスプリント
1kmTT(500mTT)
中長距離 ポイントレース
スクラッチ
エリミネーション
オムニアム
マディソン
チームパシュート
個人パシュート

★=オリンピック種目

各種目のルール・詳細は種目名のリンク先でご確認を。

なお高体連のみで行われる4km速度競走といったローカル種目もある。

【トラック競技ルール解説】高体連の風物詩!4km速度競走

競技者は全国にどれくらいいる?

部活として行っている学生で言えば、高校自転車部約250(令和5年度)、大学自転車競技部56(2022年3月末)。

自転車競技部で活動した学生たちの進路としては、ロードレースチームに所属してトラック競技(中長距離種目)に参加するプロ選手、競輪選手として活動しながらトラック競技(短距離)を行うプロ選手などがいる。なお日本には2000人を超える競輪選手がいるが、この選手たちも「地区プロ」「全プロ」という形で独自のトラック競技大会を開催しており、競輪選手たちもトラック競技者として数えることができるだろう。

またプロの道には進まなかったものの、自転車トラック競技は国体種目でもあるため、一般企業に勤めながら国体に向けてトレーニングを続けるようなアマチュア選手や、自分でスポンサーを見つけて活動するアマチュア選手などがいる。

そしてもちろん、趣味としてトラック競技を楽しむ人々も。競輪場で行われる走行会などを通し、自分のペースで自転車を楽しんでいる。

日本のトップ選手たち

自転車トラック競技はオリンピック種目。短距離3種目、中長距離3種目、合計6種目が採用されている。日本もオリンピックでのメダル獲得を目指し、日本自転車競技連盟(JCF)の強化指定選手……日本代表選手(ナショナルチームメンバー)として、20人前後の選手が集中的なトレーニングを行っている。

短距離選手の特徴

2024年4月現在、男女合わせて8選手が強化指定Aとして登録されているナショナルチームの短距離メンバー。このメンバーのほとんどは競輪選手でもあり、日本の競輪をベースとした国際種目「ケイリン」でのメダル獲得を悲願とし、日夜トレーニングに明け暮れている。

競輪選手の代名詞とも言える「丸太のような太もも」が特徴。短い距離をハイスピードで走ることに長けているほか、ケイリン・スプリントでは瞬間的な判断力も必要とされる。またスタートダッシュが得意なBMXレーシング出身の選手も所属している。

中長距離選手の特徴

2024年4月現在、男女合わせて9選手が強化指定Aとして登録されている中長距離メンバー。男子は全員ブリヂストンサイクルが運営する「チームブリヂストンサイクリング」に所属しており、ロードレースにも出場することがある。

短距離選手に比べると体格はほっそりしているが、ロードレース専門の選手よりはがっちりしている。長距離選手ながら競輪選手を兼任する選手もおり、各選手の特徴は幅広い。

JCF 強化指定選手一覧

トラック用自転車(ピストバイク)の特徴

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