太田海也が自身初のネーションズカップケイリン王者のタイトルを手に入れた。今大会2つ目のメダルは念願のケイリン種目での「金」となった太田海也。太田のレースを中心に日本勢のレースの模様をお伝えする。

男子ケイリン

2024ネーションズカップ第2戦香港大会。3月16日に行われた大会2日目には男子ケイリンが行われた。男子ケイリンには46人がエントリー。日本からはナショナルチームとして小原佑太と山﨑賢人、チーム楽天Kドリームスから中野慎詞と太田海也の4人が出走した。

今大会は1回戦⇒(敗者復活戦)⇒準々決勝⇒(敗者復活戦)⇒準決勝⇒決勝の勝ち上がり

【ルール】

○トラック6周の着順を競う、最大7名のレース。スタートから3周までは、先導するペーサーが選手たちの風よけとなる。

○ ぺーサーはスタート時点で時速30km/h。残り3周までに少しずつスピードが上がり、ぺーサーが退避する時には時速50km/h。

○ 先頭のペーサーが退避すると、残り3周のスプリント勝負!

【ケイリン】トラック競技のルール解説・動画

太田と山﨑が1着上がり 小原、中野は敗者復活戦へ

1回戦は山﨑が大外からの捲り、太田が先行して準々決勝進出を決めた。小原は先行したが捕まってしまい4着、中野は囲まれてしまい仕掛けられず7着で敗者復活戦回りとなった。

1回戦結果PDF

1回戦敗者復活戦

敗者復活戦は2着までが勝ち上がるレース。小原が残り2周から仕掛けていくと、最終周回を前に先頭へ。そのまま押し切って1着となった。中野は残り2周を前に加速していくと、先頭に立って2周を先行。後続を引き離して先着し、小原同様に準々決勝へ駒を進めた。

敗者復活戦の結果PDF

再び先行の太田、そしてアフロ山﨑が準決勝へ

2着までが準決勝へ勝ち上がる準々決勝。

3組に分かれた中、第1組で太田と中野が走ることになる。アジアの強豪ジャイ・アングスタサウイット(タイ)、表彰台常連のマシュー・グレーツァー(オーストラリア)なども同組。

レースは残り3周を切って太田が後方から先頭へ。その動きに反応して2番手を中野が得る。残り2周を切ってグレーツァーが位置を上げてくると、太田との激しい先頭争いとなった。

最終周回に入っても先頭を争う2人だが、4コーナーを抜けて前に出たのは太田。そして太田の後ろからは中野が伸びてくる。太田はそのまま押し切って1着。2着争いは中野とグレーツァーの僅差となったが、写真判定の結果グレーツァーが先着。中野は1回戦に続き、再度敗者復活戦へと回ることになった。

小原は最終周回で内に詰まり前に出ることが出来ず、山﨑は最終周回で5番手から仕掛けるが、最後は勝ち上がりの2着に届かず3着。この結果、中野、小原、山﨑の3人が敗者復活戦回りとなった。

準々決勝結果PDF

準々決勝敗者復活戦

2度目の敗者復活戦。3着までが勝ち上がることができるレースで山﨑が1着で勝ち上がりを決める。しかし中野は4着、小原が5着。山﨑のみが準決勝へ復活を果たした。

準々決勝敗者復活戦結果PDF

3着までが決勝へと進むことができる準決勝。太田は1組、山﨑は2組に分かれる組み合わせ。

太田が大逃げを捕まえて1着 決勝進出

太田の組には強敵マシュー・リチャードソン(オーストラリア)、ニコラス・ポール(トリニダード・トバゴ)、ジェフリー・ホーフラント(オランダ)、加えてマルティン・ツェフマン(チェコ)とジャイ・アングスタサウイット(タイ)。

並びはツェフマン、太田、ポール、リチャードソン、ジャイ、ホーフラントの順。レースは思いがけない形で動いていく。

残り3周のペーサー退避の前に、先頭のツェフマンから太田が距離を開けていく。後ろの動きを警戒する太田だが、その太田の動きを見てツェフマンが一気に先頭で加速していってしまう。

この動きに瞬時に反応した太田が追いかけていくが、3番手にいたポールは後ろを警戒していて気付くのが遅れてしまう。

残り2周でツェフマンが先頭、太田が2車身ほど離れて2番手、大きく離れて後続の4人。

残り1周を切ってツェフマンを捕らえた太田が前に出ると、そのまま大差の1着。太田が決勝進出を決めた。2着に大きく遅れていたリチャードソン、3着は大逃げを試みたツェフマン。

なお、リチャードソン、ポール、ホーフラントが残り半周でもつれ、ポールは落車。その落車にアングスタサウイットが巻き込まれて2人はDNFとなった。

山﨑は決勝に届かず 走行違反で降格

クウェシ・ブラウン(トリニダード・トバゴ)、ジャイール・ジョンエンファ(スリナム)、ミカイル・ヤコフレフ(イスラエル)、サム・デイキン(ニュージーランド)、山﨑賢人、マシュー・グレーツァーの並びでスタートした準決勝2組。

レースが大きく動いたのは残り2周前。最後尾のグレーツァーが仕掛けると一気に集団のスピードが上がっていく。グレーツァーが先頭に出ると、ヤコフレフが後方から仕掛けていき、その後輪の位置で山﨑が前へと位置をあげていく。

残り1周となるホームストレートで山﨑が3番手を狙ってブラウンとヤコフレフの間を縫って位置を上げていくと、ブラウンとの3番手争いとなる。

グレーツァーは1着、2着にデイキン、そして内で粘るブラウンと山﨑が横並びでゴールラインに飛び込むが、山﨑は前に出ることが出来ずに4着。そしてレース後には、山﨑がクウェシとヤコフレフの間を通り抜ける際に走行違反をしたということで降格扱いとなってしまった。

準決勝結果PDF

太田、念願のケイリン初優勝

決勝まで勝ち上がったメンバーは以下の通り:

太田海也(チーム楽天Kドリームス)
マシュー・リチャードソン(オーストラリア)
マシュー・グレーツァー(オーストラリア)
サム・デイキン(ニュージーランド)
マルティン・ツェフマン(チェコ)
クウェシ・ブラウン(トリニダード・トバゴ)

スタートの号砲で隊列が組まれていく。並びはツェフマン、グレーツァー、太田、ブラウン、リチャードソン、デイキンの順。ペーサーの後ろで周回を重ねていく選手たちが動き出したのは残り3周半。

まずは最後尾のデイキンがゆっくりと位置を上げていくと、ブラウンがデイキンの後ろに続いていく。ペーサー退避の残り3周で先頭に出たデイキンだが、すぐにブラウンが外から加速して前に出ていく。

残り2周半。この時点で5番手となっていた太田が動き出すと、1つ前にいたグレーツァーが太田の動きに反応して外から仕掛けていく。そのグレーツァーの動きに上手く乗ったのは太田。

グレーツァーが先頭、太田が2番手、3番手争いを内にデイキン、外にリチャードソンとなった残り1周半。前のグレーツァーとの距離を少し開けて、後ろから追い上げてくるリチャードソンをけん制しつつ、太田が2番手の絶好の位置で最終周回に入っていく。

最終周回に入り、フル加速した太田は残り半周でグレーツァーをかわして先頭へ。

そして残りの半周は誰も寄せ付けることなく、後続に大差をつけて、最後はウイリーでのフィニッシュ。

1回戦から全て1着となる完全優勝でネーションズカップの自身初となるケイリン金メダル獲得を決めた。加えて今大会チームスプリント銀メダルに次ぐ、2つ目のメダルを獲得する結果となった。

歓喜のかめはめ波

2着はマシュー・リチャードソン、3着はマシュー・グレーツァー。しかしリチャードソンが走行途中に違反があったとして降格。順位が繰り上がって2位にマシュー・グレーツァー、3位はサム・デイキンの表彰台となった。

山﨑は3着でレースを終える(7-12位決定戦)

山﨑は7-12位決定戦回りとなったが、落車などの影響で出走選手は山﨑に加えてジェフリー・ホーフラント(オランダ)、ミカエル・ヤコフレフ(イスラエル)、ジャイール・ジョンエンファ(スリナム)の4人。レースは山﨑が先頭で残り2周。

3番手の位置からヤコフレフ、続いてジョンエンファが上がってくると、山﨑は抵抗するが残り1周でヤコフレフが先頭へ。ジョンエンファが2番手、そして山﨑は3番手となる。最終周回ではヤコフレフとジョンエンファが更に加速していき、山﨑は前の二人に追いつくことはできずに3着でフィニッシュ。最終順位を9位とした。

順位 選手名 所属
1位 太田海也 RKD
2位 マシュー・グレーツァー GLAETZER Matthew AUS
3位 サム・デイキン DAKIN Sam NZL

山﨑賢人は9位、中野慎詞は13位、小原佑太は15位。

最終結果PDF

太田海也インタビュー

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