男子ケイリンで中野慎詞が銀メダル、そして太田海也が銅メダルを獲得する活躍を見せた。
表彰台は金メダルがアジズルハスニ・アワン(マレーシア)と銀&銅が日本の2人となり、アジア勢が独占する形になったが、2023アジア選手権ケイリン同様に日本勢を苦しめたのはアワン。男子ケイリンの様子を日本人選手を中心にお伝えする。
男子ケイリン
2024トラックネーションズカップ第1戦オーストラリア・アデレード大会2日目となる2月3日に男子ケイリンが実施された。この種目に日本から太田海也、小原佑太、中野慎詞、山﨑賢人の4人がエントリー。
世界最強のハリー・ラブレイセン(オランダ)が不在なものの、2023世界王者のケビン・キンテロ(コロンビア)、2023世界選銀のマシュー・リチャードソン(オーストラリア)、アジアの英雄アジズルハスニ・アワン(マレーシア)など、総勢38人による戦いとなった。
今大会は1回戦(1着上がり)⇒敗者復活戦⇒準決勝⇒決勝の勝ち上がりとなる。
中野と太田が準決勝へ
1回戦は7組に分かれての1着勝ち抜けレース。3組に中野、4組に小原、5組に山﨑、6組に太田と別れて、それぞれのレースは中野と太田が1着、山﨑が2着、小原が4着となり、中野と太田が準決勝進出を手にし、山﨑と小原が敗者復活戦回りとなった。
敗者復活戦1組:大外を走らされた小原が僅かに届かず
敗者復活戦は5組に分かれてのレース。各組の1着が準決勝へと復活することが出来る。小原は1組6人での競走となった。
並びは前からシュエ・チェンシー(中国)、ウィリー・ワイナリッヒ(ドイツ)、小原。残り2周を切って3番手の位置をキープする小原、仕掛け始めたのは残り1周の手前。大外から仕掛けていくが、2番手のワイナリッヒも同時に仕掛けていき、大きく外を走らされる展開となってしまう。
最終コーナーから更に加速していく小原だったが、内側で粘っていたシュエ・チェンシーの速度を捕え切れず。最後はハンドルを投げて勝ち上がりを目指したが2着となり、準決勝進出には届かなかった。
山﨑は5組に出場。現世界チャンピオンのケビン・キンテロ(コロンビア)も同組となったレースは、残り2周を切って3番手だった山﨑が仕掛けていく。最終周回で一気に前の2人を抜いた山﨑が後続に追いつかれることなく先着。準決勝へ勝ち上がりを決めた。
準決勝 太田、中野の若手コンビが決勝へ
準決勝は2組、それぞれ3着までが勝ち上がりのレース。1組には山﨑、2組に太田と中野が入った。
【1組出走メンバー】
山﨑賢人
アジズルハスニ・アワン(マレーシア)
マシュー・リチャードソン(オーストラリア)
シュエ・チェンシー(中国)
アンドレイ・チュゲイ(カザフスタン)
マキシミリアン・ドルンバッハ(ドイツ)
レースのスタート後、隊列が整うと山﨑は5番手の位置に。残り3周を切って先頭のドルンバッハがスピードを上げていくも、並びは変わらず一列棒状のまま残り1周へ。
ここで仕掛けたのは2番手に位置していたリチャードソン。一気に後続を突き放して大差の1着を得た。
決勝進出への2着3着争いはシュエ・チェンシー、アワン、山﨑のアジア勢3人。シュエが2番手、外からアワン、アワンに蓋をされた山﨑が内から突っ込んでフィニッシュラインへ駆けこんでいく。最後まで加速していく山﨑だが、2着はシュエ、3着にアワン、僅かに届かなかった山﨑は4着となり、7-12位決定戦へと回ることになった。
【2組出走メンバー】
太田海也
中野慎詞
マシュー・グレーツァー(オーストラリア)
サム・デイキン(ニュージーランド)
バシリー・レンデル(リトアニア)
ジャック・カーリン(イギリス)
中野、デイキン、カーリン、レンデル、グレーツァー、太田の順で周回を重ねていく。
展開が動きだしたのはぺーサー退避の残り3周前。最後尾の太田が徐々に前に出ていくと、太田の動きに反応したカーリンも動き出し、ペーサー退避の残り3周で仕掛けていく。
残り2周では前から太田、カーリン、中野の順。先頭の太田がそのままスピードを上げていくと、残り1周半を切ってグレーツァーが外から上がってくる。
しかしグレーツァーの仕掛けは前にいた中野の飛び出しとタイミングが被ることになり、上手くいかない。今度は中野がグレーツァーの前に位置取って仕掛けていく形となった。
最終周回を切って1着争いは太田、カーリン、中野の3人が横並びとなるが、最後に抜け出した中野が1着、カーリンが2着、僅差で太田が3着となった。
この結果、中野と太田は決勝進出を決めた。
”アワンの壁”再び 中野が僅差、太田も積極的な攻めを見せる
決勝のメンバーは以下の6人。
太田海也
中野慎詞
ジャック・カーリン(イギリス)
アジズルハスニ・アワン(マレーシア)
マシュー・リチャードソン(オーストラリア)
シュエ・チェンシー(中国)
レースの並びはアワン、中野、太田、リチャードソン、カーリン、シュエ・チェンシー。
ペーサー退避となった残り3周、まず動いたのは4番手のリチャードソンと5番手のカーリン。前にいた中野と太田がこの動きを警戒する形で内側が空くと、内からリチャードソンが位置を上げて2番手へ。
外からカーリンが3番手に。立ち遅れたような形で日本の2人とシュエ・チェンシーは後ろに残されてしまう。
残り2周で先頭はリチャードソン、続いてカーリン、3番手にアワン、2車身ほど遅れて中野、シュエ・チェンシー、最後尾に太田となる。そして残り1周半で仕掛けたのはアワン。一気に加速していくと、その後ろからは中野と太田がやや遅れ気味で続いていく。
残り1周で先頭に出たアワン。続いてリチャードソンが内側、中野が外側で2番手争い、太田が4番手でレースは最終局面へ。
残り半周の時点でリチャードソンが力尽きると、2番手に中野、3番手に太田となり、日本の2人がアワンを追っていく。
最終ストレートでも先を行くアワンに驚異の加速で迫ったのは中野。最後はアワンと中野のハンドル投げ勝負となったが、僅差でアワンが先着。中野は2着。
そして車輪一つ程の差で太田が3着となった。
アワンは2023アジア選手権トラックケイリン及びスプリントでも日本勢を倒して金メダルを獲得している”アジアの壁”。今回も日本の若手2人の前に立ちふさがる結果となった。
7-12位決定戦は最終周回でドルンバッハ(ドイツ)との先頭争いとなった山﨑。最後に山﨑が追い上げたが1着には届かず。このレースを2着で終えて、最終成績を8位とした。
最終順位
順位 | 選手名 | 所属 | |
1位 | アジズルハスニ・アワン | AWANG Mohd Azizulhasni | MAS |
2位 | 中野慎詞 | JPN | |
3位 | 太田海也 | RKD |
その他の日本選手の最終順位:山﨑賢人8位、小原佑太13位