出場枠の獲得方法は?

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ランキング無用の「大陸チャンピオン枠」

以上では世界選手権にて基本となる、出場枠の分配方法をご紹介してきた。基準となるUCIランキングの種類や出場枠数、そして各国からの最大出場人数などが種目ごとに異なり、少しややこしい。

しかし上述した分配方法に加え、もっとわかりやすい出場枠の獲得方法が存在する。それが「大陸チャンピオン枠」だ。

大陸選手権で優勝すると、優勝後に開催される最初の世界選手権の出場枠を獲得できる、という制度だ。ただしこの特別枠を獲得できるのは、「大陸チャンピオン」本人のみであり、優勝した種目のみが対象となる。

例えば2022年6月に開催予定の「アジア選手権2022」のスプリント(エリート)で優勝すると、UCIランキングに関係なく、10月に開催予定の「世界選手権2022」のスプリントの出場枠を獲得できる。

また以上でご紹介した、各種目の最大出場枠数と、各国からの最大出場者数はこの「大陸チャンピオン枠」を含んだ数字となっている。

例えば日本がスプリントのアジア大陸チャンピオン枠を獲得し、当枠を利用するとする。スプリントの最大出場枠数は30人、各国からの最大出場者数は2人までなので、出場枠数は残り29枠、そして日本からは最大あと1人だけ出場枠を獲得できる、ということになる。

ネーションズカップより獲得できるUCIポイントは低いものの、こうした世界選手権へ出場するための特別枠が存在するため、言うまでもなく「大陸選手権」は非常に重要な大会なのだ。

オリンピック・世界選手権のチャンピオンは?

大陸チャンピオンに加え、オリンピック・世界選手権のチャンピオンにも特別出場枠が与えられる。しかし、トラック競技では種目によって例外も存在する。

この特別枠の対象となるのは原則、個人種目のみ。

オリンピック優勝者は、優勝後に開催される最初の世界選手権の同種目(優勝種目)において、出場枠を獲得できる。また、前回の世界選手権の優勝者にも同様に、同種目の出場枠が与えられる。

そして「大陸チャンピオン枠」とは異なり、この「オリンピック・世界チャンピオン枠」は、各国からの最大出場者数にカウントされない。仮にある国から男子スプリントの、オリンピック・世界選手権優勝者がそれぞれ1人ずつ誕生し、特別枠を2枠獲得したとしても、この国はまだ最大2人まで男子スプリントの出場枠を獲得でき、その結果計4人が出場することも可能ということだ。

しかし、以下の種目はその例外となる。

チームスプリント
チームパシュート
マディソン
オムニアム
ポイントレース
スクラッチ

以上の6種目にて、前世界選手権・直近のオリンピックで優勝した選手やチームは、自国が世界選手権の出場枠をまだ獲得していない場合に限り、その特別枠を獲得できる。

ただし、どの種目においても全体の最大出場枠数は一定。最大30人までが出場可能なスプリントの場合、特別枠を利用し4人出場する国があると、残りは26枠となる。

以上本記事では、世界選手権へ出場するための方法を解説してきた。

仕組みを理解すると、1戦1戦の重要性がわかってくる。コンマ何秒の記録更新や、数ポイントのせめぎ合いに選手1人1人のドラマが垣間見れるかもしれない。

よりレース観戦を楽しむためにも、UCIランキングなどでわからないことがあれば、ぜひ本記事に立ち戻っていただき、世界選手権までの仕組みを確認してほしい。