日本チームは世界選手権へ出場できる?
では実際に日本チームが世界選手権の出場枠獲得に向け、どのような状況に置かれているのか具体的に見てみよう。今回はネーションズカップ第2戦の結果が反映されている、2022年5月24日に更新されたUCIランキングをもとに解説する。
世界選手権前に開催される主要大会
日本チームの現状を見ていく前に、世界選手権前に開催される予定の主要大会と、それぞれで獲得できるUCIポイントを確認しておこう。
各大会で個人が獲得可能なUCIポイント
ネーションズカップ | 大陸選手権 | 国内選手権 | |
1位 | 800 | 600 | 100 |
2位 | 720 | 540 | 90 |
3位 | 640 | 480 | 80 |
チーム種目の場合は、リザーブを除く競技人数分のポイントが「UCI国別ランキング」に加算される。
世界選手権前に開催される主要大会(6月以降)
開催月 | ネーションズカップ | 大陸選手権 | 主な国内選手権 |
6月 | アジア大陸選手権 | ボリビア ドイツ 韓国 |
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7月 | ネーションズカップ第3戦 | アフリカ大陸選手権 | アイルランド クロアチア ジョージア カザフスタン ギリシャ コロンビア |
8月 | ヨーロッパ大陸選手権 | フランス 日本 |
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9月 | カナダ スペイン 南アフリカ ルーマニア ポーランド |
以上が6月以降、『2022世界選手権トラック』の前に開催予定の大会。世界選手権は2022年10月12日〜16日に開催予定だ。
しかし、世界選手権の出場枠を分配する際に基準となるのは、大会初日(10月12日)の6週間前に算出されたUCIランキング。つまり、2022年8月31日以前に開催される大会で結果を残し、UCIポイントをより多く稼ぐことが必要なのだ。
これらの大会で獲得できるUCIポイント、そして「大陸チャンピオン枠」獲得の可能性などを考慮して、これより先は『2022世界選手権トラック』出場に向けた日本チームの現状を分析していく。
※本記事にて記載するのは、あくまで「出場枠獲得の可能性」。各選手の出場予定種目を記載するものではない。
※チームスプリント・チームパシュートの出場枠自体には限りがないため、各国1チームずつ出場できる。従って当2種目については割愛する。
※以下、各種目で紹介する選手には、6月1日に発表された「アジア選手権トラック2022」の派遣選手団に選出されていない(実質「2022世界選手権トラック」への出場が不可能)選手も含んでいる。
短距離・男子
チームスプリントを例外に、スプリント、ケイリン、1kmTTは全て「UCI個人ランキング」を基準に出場枠が分配される種目。それぞれ、各国から最大2人まで出場可能だが、全体での最大出場枠数はスプリントが30枠、ケイリンと1kmTTは24枠となっている。
日本から上位にランクインしている選手を、それぞれの個人ランキングとUCIポイントとともにご紹介。さらに、各国上位2人のみを並べた場合の「(仮)*出場枠ランキング」も一緒に記載していく。出場枠ランキングで、スプリントの場合30位以内、ケイリン・1kmTTで24位以内にランクインすると、出場枠獲得圏内ということになる。
※「(仮)出場枠ランキング」は分かりやすく説明するために、本記事のみで使用する造語。公式用語ではない。
スプリント(最大30枠・各国最大2人まで)
選手名 | UCIランキング | 出場枠ランキング | UCIポイント |
山﨑賢人 | 29位 | 22位 | 980P |
小原佑太 | 61位 | 42位 | 515P |
寺崎浩平 | 66位 | 44位 | 493P |
スプリントでは、山﨑賢人がすでに出場枠獲得圏内。日本チームで山﨑に次ぐ小原佑太と寺崎浩平は、ネーションズカップ第3戦やアジア大陸選手権で上位に入賞することができれば、まだまだ可能性は残っている。
ケイリン(最大24枠・各国最大2人まで)
選手名 | UCIランキング | 出場枠ランキング | UCIポイント |
山﨑賢人 | 16位 | 15位 | 1419P |
松井宏佑 | 77位 | 49位 | 486P |
ケイリンでは、同じく山﨑が出場枠獲得圏内。山﨑に次ぐ松井宏佑は、アジア選手権で上位に入賞することができれば、まだ可能性は残っている。
1kmTT(最大24枠・各国最大2人まで)
選手名 | UCIランキング | 出場枠ランキング | UCIポイント |
小原佑太 | 30位 | 24位 | 640P |
新山響平 | 39位 | 32位 | 520P |
1kmTTでは小原佑太が、出場枠ランキングでギリギリランクイン。しかし各大陸選手権の結果により、ランキングが上下することも十分あり得る。アジア選手権でも上位獲得を目指したい。
小原に次ぐ新山響平もランキングでは若干離れているものの、UCIポイントではまだ巻き返しが狙える位置。アジア選手権・国内選手権と、取れるポイントは最大限取っておきたい。
短距離・女子
スプリント(最大30枠・各国最大2人まで)
スプリントでは、太田りゆがすでに出場枠獲得圏内。日本チームで太田に次ぐ小林優香はあと少しでランクインというところ。
選手名 | UCIランキング | 出場枠ランキング | UCIポイント |
太田りゆ | 21位 | 17位 | 1159P |
小林優香 | 43位 | 32位 | 690P |
佐藤水菜 | 59位 | 527P | |
梅川風子 | 72位 | 409P |
ケイリン(最大24枠・各国最大2人まで)
ケイリンでは佐藤水菜が上位で出場枠獲得圏内。佐藤に次ぐ小林も、出場枠ランキングで上位24位にランクインしている。しかし各大陸選手権の結果により、ランキングが上下することも十分あり得る。アジア選手権でも上位獲得を目指したい。
選手名 | UCIランキング | 出場枠ランキング | UCIポイント |
佐藤水菜 | 10位 | 9位 | 2035P |
小林優香 | 27位 | 24位 | 1000P |
太田りゆ | 53位 | 39位 | 536P |
500mTT(最大24枠・各国最大2人まで)
日本チームは国際大会における500mTTへの出場をしていないため、250P以上を保持している日本人選手はなし。