まさかの終わりを遂げた「ツール・ド・フランス2019」。大会のクライマックスは第18~21ステージ、アルプス3連戦によって個人総合やその他の賞がほぼ確定する大会最後の山場となった。レースは土砂崩れによる途中での打ち切り、それによって起こった個人総合の逆転など大会終盤で大きく荒れた。個人総合を含めた各賞を中心に、大会のまとめをお届けしていく。

まさかの結末となった個人総合

ツールドフランス

逆転したベルナル
参考:LeTour

大会終盤で大きなターニングポイントとなったのは、第18から20ステージのアルプス山脈での3連戦。ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が第18ステージまで総合トップの証、黄色いジャージ”マイヨ・ジョーヌを”死守していた。

しかし第19ステージ、コース上の悪天候、そして土砂崩れによってレースは途中で打ち切りとなってしまう。

その結果、急遽レース中盤の超級山岳イズラン峠の通過順位が第19ステージの成績となり、途中までリードしていたエガン・ベルナル(チーム・イネオス)がアラフィリップから45秒差でマイヨ・ジョーヌを獲得。そして続く第20ステージも悪天候によって59kmの“登りのみ”のショートステージへと変更となり、登坂力に勝るベルナルがパリでのマイヨ・ジョーヌ獲得に王手をかけることになる※本来はアップダウンも含めた130kmの予定だった※

個人総合優勝を争う最終決戦となった第20ステージはチーム・ユンボビスマがメイン集団でペースを上げていくと、アラフィリップやその他の有力選手が遅れていく展開に。しかしチーム・イネオスのベルナルとトーマスは千切れることなく、第20ステージをフィニッシュする。これによりベルナルの個人総合優勝は事実上確定した※ツール・ド・フランスでは最後の第21ステージは凱旋レース。暗黙の了解で個人総合優勝を争うのは禁じられている※

最終21ステージを無事に完走した22歳の若手は、コロンビア人で初の個人総合優勝を果たし、快挙尽くしの結果を得て表彰台のトップに立った。

個人総合2位は昨年の覇者、ゲラント・トーマス。チーム・イネオスによるワン・ツーとなった。3位には過去にツールで個人総合5位、ジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャで4位の経歴があるスティーブン・クライスバイク(チーム・ユンボビスマ)となった。クライスバイクはグランツール※フランス・イタリア・スペインの3大ステージレースの総称※で初の表彰台を得ることになった。

一方、今大会で注目を浴び続け、第19ステージまでマイヨ・ジョーヌを着続けていたアラフィリップは第20ステージで大きく遅れ、巻き返すどころか個人総合5位へと転落。そして第18ステージで個人総合5位だったフランスの実力者ティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ)が第19ステージを怪我の影響で無念のリタイアとなるなど、フランスにとっては大会終盤に大きく荒れた結果となってしまった。

フランスの意地、バルデが山岳賞