2025全日本自転車競技選手権大会ロードレース。6月21日、22日と2日間にわたり実施された大会2日目、男子エリートカテゴリーが行われた。
8キロのサーキットコースを20周、合計160キロで日本の頂点を決める戦いに124人が出走した。フラットな区間がほとんどないアップダウン地獄となったレースは完走者が34人。前日のU23や女子エリートと同様に過酷なレースとなった。
そして26年ぶりに2回連続の優勝を果たしたのは小林海(JCL TEAM UKYO)。優勝インタビューでは「今日でレースを引退する」と電撃引退を表明。レースの内容にも驚かされたが、レース後のインタビューでも周囲を驚かせる結末となった。レースをレポートする。
炎天下の中実施されたレースは前年の覇者・小林海、2位だった金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)、山本大喜(JCL TEAM UKYO)、そして前年7位の新城幸也(SOLUTION TECH VINI FANTINI)など強豪が出走。
トラックナショナルチームメンバーの山本哲央と河野翔輝(どちらもチームブリヂストンサイクリング)、窪木一茂(愛三工業レーシングチーム)、伊澤将也(CIEL BLU KANOYA)なども参戦した。
鎌田を含む3人の逃げ 勝負は終盤に
レースがスタートすると、序盤の逃げ集団に入ったのは鎌田晃輝(JCL TEAM UKYO)、阿曽圭佑(スパークル大分レーシングチーム)、吉岡直哉(チームユーラシア・iRCタイヤ)の3人。5周回を終えてメイン集団におよそ3分の差をつけてレースを展開していく。この3人に一度は小島快斗(7 Eleven Cliqq Roadbike Philippines)が加わるが、周回を重ねていくと小島が遅れていく。
折り返しとなった10周目。逃げ集団とメイン集団との差は変わらず3分程度で進むが、吉岡が逃げ集団から遅れていき、鎌田と阿曽が2人で逃げる形となった。

中継があったため、会場実況もスマホでチェックしながら可能!

JCFサイクリングHUBでは佐藤水菜が特別にサイン会や写真撮影なども
逃げ集団のラップタイムが落ち、一方でメイン集団がスピードを上げていくと13周目ではおよそ3分あった差が1分にまで縮み、14周目では阿曽が集団に吸収される。単独での逃げとなった鎌田だが、ここから粘りを見せたものの、メイン集団に16周目にして遂に吸収されてしまった。

1人で逃げ続けた鎌田
残り2周 逃げた4人の強力メンバー そして小林のアタック
終盤になってリセットされた集団ではアタックと吸収が繰り返され、残り2周で先頭は小林海、山本元喜(KINAN Racing Team)、金子、そして谷順成(宇都宮ブリッツェン)。少し遅れて新城を含む4人が追走集団となって前を追っていく。
迎えた最終周回。強力な4人の逃げ集団と追走集団の差は縮まらず、前の4人に勝負は絞られる。

先頭になった4人

小林は金子の後輪につけていた
小林がアタックすると山本が付いていき、勝負は2人の戦いへ。しかし上り坂で山本を引きはがした小林が単独トップとなり、そのまま大差を付けてフィニッシュラインへと到達した。
小林海は2024年に引き続き2連覇を達成。ゴールの瞬間はVサインを見せるなど、喜びを表現しての勝利となった。尚、男子エリートロードの連覇は藤野智一(1998年&99年)の以来となる26年ぶりの記録。
2位は山本元喜、3位に金子宗平。新城幸也はトップから2分35秒遅れで7位という最終結果。そして完走者は124人中34人。90人が脱落する厳しいレースを小林が制し、2025全日本選手権ロードレースは幕を閉じた。

小林選手(左)、逃げ続けた鎌田選手(右)