2018年7月7日(土)~7月29日(日)の日程で開催されている世界最大のロードレース「ツール・ド・フランス」が2週目を終えた。アルプス3連戦を皮切りに高難易度のコースが連続し、いよいよ総合優勝争いは佳境を迎えている。

1週目に引き続き波乱の続く第2週を振り返っていきたい。

波乱の幕開けとなったツール・ド・フランス2018の第1週目を振り返る/Le Tour de France2018 ツール・ド・フランス

2週目の主な出来事は以下の通りだ。やはり重要メンバーを含む大量リタイアが印象的なレースとなった。

・第10ステージ:ジュリアン・アラフィリップが念願初のステージ優勝
・第11ステージ:ゲラント・トーマスがマイヨ・ジョーヌを獲得
・第12ステージ:有力選手がまたも大量リタイア
・第13ステージ:ペテル・サガンが今大会3度目、ツール・ド・フランス通算11勝目を果たす
・第14ステージ:亡き英雄へ捧ぐ勝利 オマール・フライレが初出場にしてステージ優勝
・第15ステージ:マウヌス・コルトニールスンがゴールスプリントを制す

以下、第10ステージから順に見ていこう。

本格的な総合優勝争いが開始

ゲラント・トーマス

総合成績首位の証、マイヨ・ジョーヌに身を包むゲラント・トーマス

現在総合首位を守るのはチーム・スカイのゲラント・トーマス(イギリス)。総合2位につけているのはチームメイトで過去4度の総合優勝を飾っているクリストファー・フルーム(イギリス)だ。

総合3位には今年のジロ・デ・イタリアでフルームと熾烈な争いを繰り広げ、総合2位となったトム・デュムラン(オランダ/チーム・サンウェブ)がつけている。

過去のグランツールでも好成績を挙げている選手たちが上位を占め、いよいよ本格的な総合争いが始まっている。

合計のリタイア人数は25名に

一方で、総合4位につけていたビンツェンツォ・ニバリ(イタリア/バーレーン・メリダ)や、ここまで活躍していたスプリンターのフェルナンド・ガビリア(コロンビア/クイックステップ・フロアーズ)、ディラン・フルーネベーへン(オランダ/チーム・ロットNLユンボ)など、重要な選手たちが次々とリタイア。

1週目終了時点では167名いた選手たちも、2週目終了時点では151名にまで減少。今年の出場選手総数は176名なので、合計のリタイア人数は25名に達する。これは、同じく1週目から大量のリタイア選手を出した2015年大会以来のリタイア数である。

第10ステージ:アラフィリップが念願の初のステージ優勝

ジュリアン・アラフィリップ

ツール初優勝の喜びを全身で受け止めるジュリアン・アラフィリップ

今年のツール・ド・フランスは、最初の休息日明けからすぐに過酷なアルプスの3連戦が始まった。アルプス3連戦の第1戦目となる第10ステージでは、いきなり1級山岳を3つ、超級山岳を1つ抱える難関ステージだった。

ツール初登場の超級山岳「プラトー・デ・グリエール」は、10%前後の急勾配が続く激坂であると共に、登りきったあとにも未舗装路が続く、非常に難易度の高い山岳だった。

大会初めての「逃げ切り」が決まる

ジョナタン・カストロビエホ

砂埃舞う未舗装路を駆け抜ける、ジョナタン・カストロビエホ(スペイン/チーム・スカイ)

このステージは今大会初めての逃げ切りが決まったステージでもあった。スタート直後から繰り広げられたアタック合戦の末、形成された逃げ集団は合計21名。

マイヨ・ジョーヌを着る総合首位グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー/クイックステップ・フロアーズ)や、チームメートの総合3位フィリップ・ジルベール、マイヨ・ヴェール(ポイント賞)を着るペテル・サガン(スロバキア/ボーラ・ハンスグローエ)など、注目選手も多く含まれていた。

その中で最も強さを見せつけ、超級山岳の山頂も先頭通過を果たしたのが、クイックステップ・フロアーズのジュリアン・アラフィリップ。

最後の2つの1級山岳を独走し、26歳のフランス人は圧倒的なタイム差をつけて勝利を掴んだ。

ツアー・オブ・カリフォルニア総合優勝など、実力を十分に発揮してきた選手ではあったが、意外にも今回、ツール・ド・フランスで初のステージ優勝。

山岳賞ジャージ「マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ」を手に入れたのも初めてだった。

これまではフレッシュ・ワロンヌ制覇など、短くて厳しい山岳に強いパンチャータイプのイメージが強い選手だったが、本格的な長い山登りにも適性があることを証明した。

ジュリアン・アラフィリップ

マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュに身を包むアラフィリップ。喜びが隠し切れない

強力スプリンターたちが無念のリタイア