波乱の幕開けとなった1週目
2018年7月7日(土)に開幕した世界最大のロードレース「ツール・ド・フランス」が第1週目の日程を終えた。落車やトラブルが頻発する中、2016年リオオリンピック金メダリストのグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー/BMCレーシングチーム)が総合首位につけ、チーム・スカイのゲラント・トーマス(イギリス)が43秒差でこれを追う。
昨年総合優勝者で過去4度ツール・ド・フランスを制しているクリス・フルーム(イギリス/チーム・スカイ)は1分42秒遅れの総合8位につけている。
1週目の主な出来事は以下の通りだ。落車や機材トラブルの多さが目立つ。
・第1ステージ:有力選手の落車やパンクでタイムロス
・第3ステージ:3年ぶりのチームTT
・第4ステージ:またも大規模落車発生
・第6ステージ:ゴール直前で優勝候補者らに機材トラブル発生
・第9ステージ:復活の石畳コース、リッチー・ポートがリタイア
・エースだけでなく、アシスト選手にも悲劇が訪れる
・スプリント対決の顔ぶれに変化
以下、第1ステージから順に見ていこう。
第1ステージ:有力選手の落車やパンクでタイムロス
今年のツール・ド・フランスは、序盤から落車や体調不良により、多くの有力選手がリタイアやタイムを失う事態が続いた。
まずは第1ステージ、残り10kmのタイミングで発生した集団落車により総合優勝候補のリッチー・ポート(オーストラリア/BMCレーシングチーム)やアダム・イェーツ(イギリス/ミッチェルトン・スコット)が足止めを食らう。
さらに約9km地点で新人賞候補のエガン・ベルナル(コロンビア/チーム・スカイ)が単独落車。残り約6kmを切ったところで今度はスカイのエースであるフルームが、前回転しながら沿道に弾き飛ばされ落車した。
さらに、残り3km手前では、過去2回総合2位を記録しているナイロ・キンタナ(コロンビア/モビスター・チーム)の自転車がパンク。この日だけで、フルーム、イェーツ、ポートは51秒、キンタナは1分15秒を失った。
第3ステージ:3年ぶりのチームTT
石畳(パヴェ)コースと共に3年ぶりに復活となった第3ステージのチームタイムトライアル(チームTT)。
ステージ優勝はBMCレーシングチーム。2014年、2015年の世界選手権を制し、3年前のツール・ド・フランスで行われたチームTTでも優勝している。2018年はチーム・スカイを4秒上回るタイムでゴールした。
一方、5年前のツール・ド・フランスのチームTTで優勝し、世界選手権でも上位常連となっているミッチェルトン・スコットは第1計測をトップタイムで通過したものの、TT能力の高いダリル・インピー(南アフリカ)やルーク・ダーブリッジ(オーストラリア)が第2ステージで落車していたことが影響し、後半で失速。9秒遅れの4位となる。
また第1ステージでフルームやポートがタイムを失ったことで総合争いで優位に立っていたビンツェンツォ・ニバリ(イタリア/バーレーン・メリダ)やロマン・バルデだったが、チームTTでBMCレーシングチームに1分近いタイム差を付けられてしまう。
そして第1ステージで1分以上のタイムを失ったナイロ・キンタナは54秒遅れの10位でフィニッシュ。総合成績にも大きく影響を及ぼした。
第4ステージ:またも大規模落車発生
第4ステージの残り5km地点でも自転車が宙を舞う大規模な落車が発生。昨年総合2位のリゴベルト・ウラン(コロンビア/チームEFエデュケーションファースト)やイルヌール・ザッカリン(ロシア/カチューシャ・アルペシン)などが巻き込まれる。
ウランはチームメイト達に守られて集団復帰を果たすが、ザッカリンは54秒を失ってしまう。
第6ステージ:ゴール直前で優勝候補者らに機材トラブル発生
第6ステージではゴール直前の機材トラブルで昨年総合3位のロマン・バルデ(フランス/AG2Rラモンディアル)と今年のジロ・デ・イタリア総合2位のトム・デュムラン(オランダ/チーム・サンウェブ)が次々とタイムを失う。
この日、勝利したダニエル・マーティン(アイルランド/UAEチーム・エミレーツ)も、第8ステージで落車に巻き込まれ、1分以上遅れてしまった。