ジロ・デ・イタリア2018を若手選手の活躍と共に振り返る
イスラエル・エルサレムからイタリア・ローマへ。
砂漠、活火山そしてアルプスの雪壁の中まで、ジロ・デ・イタリアの3週間の旅路が幕を閉じた。
総合優勝は大逆転劇で人々を魅了したクリス・フルーム(チーム・スカイ)が獲得している。この結果には感動と衝撃を覚えた人も少なくないはずだ。
今回は、101回目を迎えた「イタリア最大のレース」「世界で最も厳しいレース」と呼ばれるジロ・デ・イタリアを、活躍した若手選手と共に振り返りしたいと思う。
世界で最も美しい場所を走る、最も厳しいレース
「世界で最も美しい場所を走る最も厳しいレース」と主催者が自負するだけあって、今年のコースも非常に過酷で選手たちを大いに苦しめた。
たとえば勾配20%を超える区間が連続した第14ステージの山岳「モンテ・ゾンコラン」。あるいは、未舗装路を含めた18km以上の長い山登りを強いられた第19ステージ「フィネストーレ峠」など。
そして、コース以外の部分でも今年は例年以上にハードだった。
2018年のジロをよりハードにした要因
ほとんど雨の降らなかった2017年と比べ、今年はとにかく激しい雨に見舞われる日が多かった。
加えて、イスラエル開幕により、中東から欧州への長距離移動が発生。イスラエルは気候も文化もヨーロッパとは大きく異なるため、環境の変化も選手たちにとっては負担だっただろう。
そして何より油断のならないレース展開が続いたことが、今年の厳しさの要因となった。
ルイスレオン・サンチェス(アスタナ・プロチーム)に「今年のジロは逃げのチャンスなんて、少しもない」と言わしめるほどに。
逃げの許されない展開
実際に、全21ステージ中、明確に逃げ切りによって勝利したと言えるステージは3つ。
それ以外では、逃げた選手らは終盤にメイン集団に捕まえられて集団スプリント、あるいは総合優勝争いの選手たちが激しいアタックを繰り広げて後ろで静かにしているかのどちらかだった。
中には、スタート後に逃げがなかなか許されないまま激しいアタック合戦が発生し、1時間の平均速度が時速46kmを超えるステージもあった。
例年以上に厳しくなった結果、第2週までは絶好調だったサイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)が終盤で大きく失速し、個人総合3位で表彰台も目前だったティボー・ピノ(グルパマ・FDJ)は最終ステージのローマの地を踏むことなく体調不良でリタイア。ジロを去ることになってしまった。
しかし波乱のレースのなかで、最後まで戦い抜いた若手選手もいる。
今回は大躍進を遂げた若手選手3名の活躍も紹介したい。
彼らが今後のサイクルロードレース界の注目選手となることは間違いないだろう。
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