街中を颯爽と駆け抜けていくロードバイクと、日本の公営競技である競輪の自転車。これらの自転車にはどのような違いがあるのだろう?
ロードバイクと競輪用自転車の違い
ロードバイクは舗装された道での高速走行、競輪用自転車は競輪場で選手と一体化して走ることに特化したマシン。
どちらも装備を極力削ぎ落として軽量化を図っているが、競輪用自転車には「ブレーキさえ搭載していない」というのが大きな違いのひとつ。それぞれを詳しく見ていこう。
ロードバイクの特徴とは?
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まずはロードバイクからご紹介。
ロードバイクは「舗装してある道での高速走行」を目的として作られた自転車。「ロードレーサー」とも呼ばれ、長距離を速く走るることを最優先して設計されている。
よって、走りに不要な部品は基本的に装備していない。ロードバイクにはスタンドさえついていないので、街中で駐車するにも停める場所を選ぶこととなる。
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タイヤは地面との抵抗を少しでも減らすために、幅がとても狭く、溝も浅く少ないものを使用されており、自転車のフレーム自体も軽量化が図られている。車体が軽ければ軽いほど、スピードを出すことに必要な労力が減るからだ。
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素材には軽量なカーボンやアルミが使用され、重さは(入門レベルの機材で)概ね10kg前後。軽いものだと4.5kgを下回るものも!いわゆるママチャリは27インチで20kgほどの重さがあるので、なんと半分以下の重さとなる。
ロードバイクに触れる機会があれば、まずは持ち上げてみることをお勧めしたい。その軽さにビックリするだろう。また各パーツにとても精度の高い部品が使われていることから動力の伝達ロスが非常に少なく、乗ればひと漕ぎするだけでママチャリとの違いがわかるだろう。
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出せる速度は乗り手や道路状況にもよるが、概ね30km/h程度から、プロの大会などでは一時的に100km/h以上出ることもある。
競輪用自転車の特徴とは?
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引用:keirin.jp
続いて、競輪用自転車の特徴を見ていこう。
競輪用自転車はレーサーとも呼ばれる。スピードの追求もさることながら、それぞれの選手に合うように全てのパーツがチューニングされている。つまり、完全なオーダーメイドマシンなのだ。
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フレームは「ビルダー」と呼ばれる職人の手によってひとつひとつ手作りされている、世界にひとつしかない自転車だ。
なお男子は上記のような鉄フレームを使用することになっているが、女子(ガールズケイリン)はカーボン製フレームを使用する。
競輪用自転車にはブレーキがない
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競輪用自転車にはブレーキがついていない。では、どうやってブレーキをかけるのか。
競輪用自転車と普通の自転車との大きな違いとして「後輪ギヤが固定されていて、ペダルが空回りしない」という特徴がある。
スピードに乗った状態でペダルから足を離すと、普通の自転車ならばペダルは回転しないが、レ競輪用自転車の場合はタイヤが止まるまでペダルも回転し続ける。この特性を使えば、選手自らが足の力でスピードをコントロールすることができる。ただし一般の自転車のような急ブレーキは不可能なので、徐々に減速して止まる、という形だ。
また競輪の規定上、タイヤは外径675mm、太さ22mmと決められている。これも通常の自転車に比べて地面との摩擦が少ない仕様だ。

本記事は2017年公開の「ロードバイクと競輪の自転車は何が違うの? – 【第1回】日本一わかりやすい自転車競技&レースの授業」を再構成したものです。