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スイスの独壇場
最終周回、ネフは後ろの同国メンバーに対して1分20秒まで差を開き、快調にひた走る。
ネフの走りには、男子選手顔負けのダイナミックさがあった。岩から落ちていくかのような「散り桜」では、ラダーを使わずにジャンプ。「枯山水」や「浄蓮の滝」と呼ばれる、大きな岩がごろごろと連なった下りのセクションも、スムーズで危なげないライン取りだった。
終盤にかけ、(前半よりもペースは落としたものの)十分なタイム差を持ったまま、ネフはフィニッシュのホームストレートに現れた。
観客からスイス国旗を受け取り、大きく掲げてのフィニッシュラインへと飛び込んだ。
フィニッシュ後、後続の同胞たちをフィニッシュ地点で迎えたネフ。フライ、インデルガントと共に抱き合い、結果、スイスの表彰台独占という形の完全優勝を果たした。
昨日惜しくも表彰台を逃したニノ・シュルターもフィニッシュ地点に駆けつけ、スイスチーム全体で満開の笑顔を咲かせた。
さらには、他国の選手のほとんどがフィニッシュ後、ネフの元へと駆けつけ、言葉をかけていた。
蓋を開けてみれば、上位の3人は2019年のテストイベントでも1位ネフ、2位フライ、6位インデルガントと結果を残しており、このコースへの適性を見せていた。また、テストイベントで日本を訪れた後は大きな事故や怪我などが続いたネフだったが、この東京オリンピック本番に向け、しっかりと調子が噛み合ったように思われる。
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