ずばり!マウンテンバイク(MTB)の魅力とは?

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二足の草鞋で挑む「オリンピック出場」とは?

Q:緊張感、ワクワク感、不安感など色んな気持ちがあると思いますが、大会に向けて今、どんな気持ちを1番強く持っていますか?

今は、「楽しみ」が1番です。1年かけてやってきたことを出せることへの楽しみです。

世界で戦った経験が少ないので、「自分が世界でどの位置にいるか」がわからない。なので本当にベストを尽くしてやるのみ。今までやってきたことを出せる場所があるっていうのが、すごい楽しみではありますね。ワクワクしてます!

知らないからこそ、本当にもう「怖いもの知らず」って感じで、いきたいなって思ってます(笑)。

Q:今井さんにとって「オリンピックへの出場」の意味とは?

私にとっては子どもの頃からの夢なんです。小学校の頃、シドニーオリンピックの高橋尚子さんの金メダルを見て「オリンピック選手になりたい」と思ったのがきっかけ。その夢が現実となったので、「夢の舞台」ではあるんですよ。

それだけでなく、小学校で勤めてもいますので「これが次の子ども達に繋がればいいな」というのもあります。簡単なことではないんですが、身近に感じてもらって「夢」として持ってもらえれば。いつかこれをきっかけに教え子から「出てみたい」って子が現れて、10年後20年後にオリンピック選手として夢を叶えてくれる子が現れてくれるといいなって。

「繋がる」じゃないですけど・・・、なんかそういうオリンピックかなって思いますね。

「選手」兼「教師」として子ども達と接する機会

Q:ちなみに今まで教師として子ども達と接する中で、今井選手がきっかけで実際にMTBを始めた子はいたりするんですか?

きっかけで始めたっていうのはなかなか聞かないんですけど、今年担任をしている子達は、MTBやロードバイクに乗っている子達が結構いて、新学期に会った時に「先生は何のメーカー乗ってる?」って聞かれたり(笑)。

「俺はジャイアント!」「俺はブリヂストン!」とか。「ええ?よく知ってるね!」って自転車の話題で盛り上がることはありますね。

Q:小学校の教師とMTB選手の両立は簡単なことではないと思うんですけど、頑張れる理由はありますか?

自分の性格が負けず嫌いだったりとか、一度決めたことはやるだとか。なんですかね・・・まあ1番は「楽しい」!

「楽しいことを突き詰めていったらここに来てしまった」、みたいな。本当に自転車を楽しく始められて、色んな方々に出会って本当に良い影響を受けて来れたので。それかなぁ(笑)

Q:自転車競技をやってきた中で、気付くことができた良いことって何かありますか?

「人との繋がり」っていうのは感じますね。教員になって2年後ぐらいの時に自転車を始めたんですけど、それまではなかった人からの刺激だったりとか、トレーニングの刺激だったりとか、色んな世界を見ることができたので。

Q:本気でやってるからこそのことなんでしょうね。

そうですね。本気でやっているからこそ本気の人たちが、どんどんどんどん協力してくださる。「ありがたいな」と思いましたね。

Q:そういった「本気でやることの大切さ」などを子ども達に話す機会もあるんですか?

そうですね。でもまあ10歳とかの子達に話をすると、伝わる子もいれば「ん?」って子もいる。でも保護者の方からは「『先生がこういう話をしてくれたんだよ』って家で話してました」って言われることもあるので、話してよかったなって思います。

Q:今回トレーニングに集中するために学校を一時的にお休みされたと思うのですが、学校側にそう伝える時っていうのはやはり覚悟がいることなんでしょうか。

そうですね。担任を持っていた時にオリンピックを目指して、今も担任を任されながらも不在のところがあるので、たくさんの方々に迷惑をかけています。学校の先生だけではなくて、子どもたちもそうですし、保護者の方々もそうです。

たくさんの迷惑をかけつつ、たくさんの方の協力を得なければならないことだったので、それなりの覚悟はしていましたね。

でもやっぱり応援してくださる方々、協力してくれる方々がいてくださったので、本当にここまでの挑戦ができているんだと思います。周りの方々には本当に恵まれているなって思います。

Q:コロナ禍で難しいとは思いますが、壮行会のようなものはあったんですか?

流石にコロナ禍でそれは難しかったですね。でも子ども達が個人的に手紙をくれたりだとか、キーホルダーを作ってくれたりだとか、そういった形で送り出してくれました。

Q:「教師と選手」どちらか一方を選ばなければならないとしたら、どちらを選びますか?

いやーー、それは考えたことないですね(笑)。教員あっての自転車だし、自転車あっての教員だし、良いとこだらけの2つなので選べないです。

でもこの3・4ヶ月、自転車競技だけに集中させていただいているこの環境で「ああ、スポーツ選手ってすごいな」と思って・・・、1年間その生活を続けるって「いやー、私にはできない」って思ったり(笑)。でも仕事だけじゃ面白くない。刺激がないから自転車が楽しかったりするので、選べないですね。

「一方だけで生きていかなければならない」のは、私には難しいなと思いながらも、今ある環境が幸せだなと思います。

「東京2020オリンピック」後のキャリア

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