韓国・鎮川(ジンチョン)で行われている『アジア選手権トラック2020』は大会3日目に男子エリートオムニアムが行われ、橋本英也チーム ブリヂストン サイクリング / JPCU岐阜)が接戦を制し3連覇を達成。自身4回目のアジア王者に輝いた。

中長距離4種目の合計ポイントで争うオムニアム。この種目、日本からはアジア選手権2連覇中の橋本英也がエントリー。橋本は2018年、中距離種目を専門とする選手としては異例の競輪選手デビューを果たしている。

橋本が競輪選手になることを決断したのはスプリント力をつけ、さらにレースの幅を広げることを視野に入れたため。そして昨シーズン、磨きをかけたスプリント力が世界でも通用することを証明した。

一方で、序盤のスクラッチ等で強さをみせるものの、終盤になり失速するケースも見られ、次シーズンへ向けた課題として持久力の強化を挙げていた。

果たしてその強化は進んでいるのか。いよいよ始まるワールドカップシーズンにむけて、今回のアジア選手権はアジア王座を守るだけでなく、進化を確認する場所ともなった。

1種目目:スクラッチ

男子エリートオムニアム出場は全16人。その中には、ロードレースの世界最高峰カテゴリーで戦う「ワールドツアーチーム」に所属する選手の姿もある。

カザフスタンのザカロフは『アスタナ・プロチーム』、UAEのミルザは『UAE・チームエミレーツ』に籍をおき、トラックとロードレースを両立させている。その他にもロードレースチームで活躍する強豪たちが多く集まった。

1種目目のスクラッチは、トラック版ロードレースとも言われ、総距離10km,トラック40周を走り1着でフィニッシュラインを駆け抜けた選手が勝者となる。競輪選手である橋本英也は、スプリント勝負に持ち込めば負けない強さを持つ種目だ。

レースは序盤から集団のまま、各選手がライバルたちの実力を探り合う展開が続いていく。

集団に動きがでたのは残り10周を過ぎてから。5人の先頭集団が形成されると橋本がすかさずチェックに入る。

フィニッシュへ向け徐々にスピードは上がり、緊張感が高まる中、残り4周でウズベキスタンのカルムラトフがアタック。それをカザフスタンのザカロフが追走。

ザカロフがカルムラトフをかわすと、そのまま単独で抜け出して逃げ切り体制へ。

遅れをとった橋本は残り1周を迎える段階で、後続の集団内、前から7~8番手。厳しい展開となる中、ここで橋本が本領発揮しスプリントを開始する。フィニッシュにむけて一気に加速した橋本は、前の選手を次から次へと抜き去っていく。

先頭を走るザカロフまでは届かなかったものの、それでも後続の集団をゴール前ですべて追い抜き、2着でスクラッチを終えた。

スクラッチの順位

1着:ザカロフ(カザフスタン)
2着:橋本英也(日本)
3着:レン・カー・ユー(香港)

1種目目 スクラッチ後の暫定順位

1位:ザカロフ(カザフスタン)40pts
2位:橋本英也(日本)38pts
3位:レン・カー・ユー(香港)36pts

2種目目:テンポレース