4種目目:ポイントレース
男子オムニアムの最終種目ポイントレースは、100周で行われ、ここまでの得点を持ち点としてスタートし、フィニッシュ時点の総ポイントで順位が決定する。
得点は10周回ごとに設けられたポイント周回でフィニッシュラインを通過した順に1着5ポイント、2着3ポイント、3着2ポイント、4着1ポイントがそれぞれ与えられる。また集団を1周追い抜きが成功すると20ポイントが加算される。
得意種目のポイントレース、橋本は暫定2位と6ポイント差で最終種目をスタートした。
序盤から暫定2位のザカロフ(カザフスタン)が1回目、2回目のポイント周回で2ポイントずつ得点を積み上げ116ポイントへ得点を伸ばす。この時点で橋本と2ポイント差まで詰め寄る。しかし続く3回目のポイント周回では、橋本が1位通過を果たし5ポイント追加。ザカロフは得点ならず、再び差を広げて7ポイント差。
その後散発的に逃げが決まっていくものの、橋本はザカロフ(カザフスタン)をマーク。それでも自ら積極的にレースを動かし攻めの姿勢を見せていく。
5回目のポイント周回で3ポイントを加えた橋本。
そして6回目のポイント周回を前に集団内でわずかに空いたインコースをついて単独でアタック。1着通過で5ポイントを獲得し、一気に勝負を決めにかかる。
その直後、審判から橋本が走路内側のブルーバンドを走行したとして違反が告げられ、この周回でのポイントは認定されず。橋本を追走し2着でフィニッシュラインを通過したザカロフに5ポイントが加算された。この結果、橋本はザカロフに1ポイント差まで詰め寄られることになった。
残り40周のポイント周回を通過した時点での得点は
1位:橋本英也 (日本)126ポイント
2位:ザカロフ (カザフスタン)125ポイント
しかしここから橋本が強さを見せる。
残り30周、7回目のポイント周回で2着に入り3ポイント追加。そして8回目のポイント周回では鋭いスプリントをみせて1着通過。
ザカロフも1ポイントずつ加えるものの、徐々に表情は歪み、肩で息をする状態に。これで接戦となった優勝争いに決着がつく形となった。
橋本はフィニッシュを前に勝利を確信、3周を残した状態で観客の声援へ応える余裕も見せる。
橋本英也は男子オムニアムで3連覇を達成、自身通算4回目のアジア王者に輝いた。
レース後、1ポイント差まで詰め寄られた状況について尋ねると「見てる人たちが面白かったんで良かったんじゃないですかね。ちゃんと勝てたし」と笑いながら振り返った橋本。観客を喜ばせることを忘れないエンターテイナーは、同時にプロの勝負師でもあった。
オリンピック直前の重要なシーズンに合わせ、しっかりと自身の課題をクリアしてきた橋本。切れ味鋭いスプリント力に持久力を兼ね備えることで、自分が行きたいタイミング、行かなければいけないタイミングでしっかりと勝負ができることを可能にした。
大きな自信を手にしてワールドカップシーズンを迎えることになる橋本は、その先の大舞台へ向けてさらなる準備を整えていく。
「ワールドカップでは金メダルを目指していきたいです。今はメダルが獲れる位置にいると思うので、しっかりメダルを獲得し、世界選手権、そしてオリンピックへと繋げていきたいです」
優勝:橋本英也 (日本)135Pts
2位:ザカロフ(カザフスタン)127Pts
3位:シン・ドンジン(韓国)121Pts