既に今期の短期登録制度で来た選手たちは全員が帰国し、新たなトラック競技のシーズンをスタートさせている。
短期登録制度の外国人選手に同行し、共に長い月日を過ごした通訳のI氏。2019年5月にも、競輪場の裏側を独自の視点から綴ってくれたが、5ヶ月間の通訳の仕事が終わった今どんなことが印象的だったのか?通訳から見た「テオ・ボスの素顔」をお届けする。
競輪の通訳を仕事を始めた5月。
こんな生活をしていたのか!競輪ド素人の通訳が見た競輪場の「ウラ側」
を書いたときは、わたしは文字どおりの素人で、競輪のルールを1から勉強しました。
あれから5ヶ月間、わたしは選手とともに全国の試合会場を飛び回りました。
そして2019年の短期登録制度選手の出走が終わった今、通訳から見えた外国人選手の素顔をお届けしたいと思います。
今回の短期登録制度で来た男子の7人の選手の中でも、わたしが一番長く時間を共にしたテオ・ボスについて書いていきます(本人には内緒)。競輪場の中にいるからこそ分かる彼の素顔を、言える範囲で(笑)お伝えします!(あと写真は「写るんです」で撮っているためクオリティーは・・・・・)
根っからの自転車好き
5ヶ月間過ごしてわかったのは、ボスは根っからの自転車好きだということです。通訳であるわたしは選手と同じ部屋で過ごします。競輪の開催期間中は開催地の宿舎に泊まって、外界と接触が絶たれます。ですから大体の短期登録の選手は時間のあるときに部屋で映画を見て楽しんでいます。しかしボスだけはハードドライブを持ち込んで、暇さえあれば過去のオリンピックやツール・ド・フランスをひたすら見ていました。
そしてさらに彼は、それぞれの選手についての知識がありえないほど豊富なんです。
「彼はこの年は弱かったけど、ここからどんどん強くなって、オリンピックでメダルを獲ったんだ」
「この年のツール・ド・フランスは、◯日目にこの選手が落車して、大変だったよ」
「この自転車メーカーはもう製造中止しちゃって、今はこのブランドがレアで人気」
まるでコメンテーターばりに解説をするので、自転車競技についてよく知らないわたしでも詳しくなっていきます(ボスさんありがとうございます)。「なぜそんなに詳しいの?」と尋ねると「今年のツール・ド・フランスは、記者として現場で選手に取材してきたんだ」とのこと。
ボス、あなた本当のコメンテーターだったのね・・・(笑)
日本人選手、記者さんとのコミュニケーションも積極的!
2003年から国際競輪(短期登録制度の前身)に参加して今年で8年シーズンを迎えたボス。日本の競輪選手の中でも知名度は抜群で、親しくしている選手もたくさんいます。
検車場で、食堂で、そして宿舎でも様々な選手がボスに話しかけています。たまにわたしの気づかないところで、記者さんと話を始めているのもボスならでは。わたしの仕事がなくなるのも、時間の問題かもしれません・・・