連日盛り上がりを見せている『競輪ワールドシリーズ2026』。山口県・防府競輪場を舞台に熱い戦いが繰り広げられてきた第1戦も、いよいよ最終日を迎えた。
2日目はトゥルーマンが決勝進出を逃すなど波乱も起き、日本の競輪が決して一筋縄ではいかないことが証明された。夜の間に降り続いた雨も朝には止み、最終日を迎える。
本記事では、最終日に外国人選手が出場したレースのレポートと、会場で行われていたイベントの模様をお届けする。
8R 大外から攻めるトゥルーマン 今季の開幕戦は苦い結果
| 車番 | 選手名 | 府県/期別 |
| 1 | 佐々木龍 | 神奈川/109期 |
| 2 | 大屋健司 | 広島/87期 |
| 3 | 平尾一晃 | 長崎/111期 |
| 4 | 橋本智昭 | 宮城/99期 |
| 5 | ジョセフ・トゥルーマン | イギリス |
| 6 | 久保田泰弘 | 山口/111期 |
| 7 | 梅崎隆介 | 長崎/121期 |
【並び】
トゥルーマン-佐々木
久保田-大屋
橋本
平尾-梅崎
残り1周半となって先頭の平尾(赤)‐梅崎(橙)ラインがスピードを上げていくと、隊列が一列棒状になってトゥルーマン(黄)は6番手。
残り1周に入るストレートで後ろからスピードを上げていくトゥルーマン。
しかし加速していきながら前へと出ていくが、3番手にいた橋本(青)が合わせて外に持ち出すと、トゥルーマンがやや外に振られ、残り半周で2番手の梅崎(橙)が更に外に振ってから勝負をかけていく。
どんどんと外に追いやられるトゥルーマン。3コーナーから4コーナーにかけて内に梅崎、真ん中に橋本、外にトゥルーマンと並走したが、最後は橋本が先着。僅差の勝負で2着は梅崎、そして3着にはトゥルーマンとラインを組んでいた佐々木が内に切り替えて飛び込み、4着がトゥルーマンとなった。
トゥルーマンの競輪ワールドシリーズ開幕戦は初日から1着→3着→4着。復帰戦は苦い結果となった。
競走結果
| 着 | 車番 | 選手名 | 着差 | 上り | 決まり手 | H/B |
| 1 | 4 | 橋本智昭 | 9.3 | 捲り | ||
| 2 | 7 | 梅崎隆介 | 1/8車輪 | 9.3 | 捲り | B |
| 3 | 1 | 佐々木龍 | 1車輪 | 9.2 | ||
| 4 | 5 | ジョセフ・トゥルーマン | 1車輪 | 9.4 | ||
| 5 | 2 | 大屋健司 | 1/2車身 | 9.2 | ||
| 6 | 6 | 久保田泰弘 | 3車身 | 9.6 | ||
| 7 | 3 | 平尾一晃 | 大差 | 11.2 | H |
1着 橋本智昭:「トゥルーマンも難しかったと思う」
平尾(一晃)の仕掛けに合わせていったら、外からトゥルーマンも来ていました。橋本と2人で牽制して外に追い込めば、トゥルーマンでも厳しいと思いました。自分自身も体力的に厳しかったですが、上手くレースが運べて良かったです。
4着 ジョセフ・トゥルーマン:「自分で仕掛けるタイミングはまだまだ勉強」
3日間を振り返ると、初日は勝つことができましたし、3日間を通して上がりタイムも良く、コンディションは良かったと思います。ただ昨日や今日のレースを経て、自分で仕掛けるタイミングはまだまだ勉強が必要だと感じています。
第2戦の小倉競輪場は2018年に来日した時にも走りましたし、屋内400mの良いイメージを持っているので、頑張りたいと思います。
10R アンドルーズとグロの勝負 しかし意外な結末に
| 車番 | 選手名 | 府県/期別 |
| 1 | 久米詩 | 静岡/116期 |
| 2 | マチルド・グロ | フランス |
| 3 | エレセ・アンドルーズ | ニュージーランド |
| 4 | 枝光美奈 | 福岡/124期 |
| 5 | 當銘沙恵美 | 愛知/118期 |
| 6 | 吉岡詩織 | 広島/116期 |
| 7 | 國村美留莉 | 山口/118期 |
アンドルーズ(赤)が4番手、久米(白)が続き、最後尾にグロ(黒)となって迎えた残り1周半。
まずグロが腰を上げて加速していきレースが動き出す。残り1周の前にグロが先頭へ出て先行体制。そしてその後ろではアンドルーズ、その後輪に付けていた久米も上がってくる。
世界のスピードを見せる形で先行していくグロ、アンドルーズがその後ろ、そして後続が引き離される形となって、残り半周。
アンドルーズがグロをかわしていき前に出ると、そのまま押し切って1着。グロが2着、そして吉岡が3着、久米は4着となった。しかしレース後に審議が行われ、グロの走行に違反(斜行)があったとして、グロは失格。最終順位を7着とした。
アンドルーズはデビュー戦となった今回の開催を全て1着とし、完全優勝を遂げる結果となった。
競走結果
| 着 | 車番 | 選手名 | 着差 | 上り | 決まり手 | H/B |
| 1 | 3 | エレセ・アンドルーズ | 9.7 | 捲り | ||
| 2 | 6 | 吉岡詩織 | 3車身 | 9.7 | マーク | |
| 3 | 1 | 久米詩 | 1車身1/2 | 9.7 | ||
| 4 | 5 | 當銘沙恵美 | 5車身 | 10.0 | ||
| 5 | 4 | 枝光美奈 | 2車身 | 10.0 | ||
| 6 | 7 | 國村美留莉 | 1/4車輪 | 10.1 | ||
| 7 | 2 | マチルド・グロ | 失格(斜行) | HB |
1着 エレセ・アンドルーズ コメント:「最初の競輪で優勝することができて嬉しい」
まずは決勝戦に勝ち、優勝することができて嬉しく思います。3日間、全て良いレースをすることができました。決勝戦は(マチルド)グロとの戦いになりました。彼女はとても素晴らしいレーサーなので、最後のスプリント勝負で勝つことができて良かったです。
トラック競技と違い1日1レースではありますが、3日間通して1本1本を勝負するのはやはり体力的には疲れるものはあります。ただ、私にとっては最初となる競輪のレースで、ずっと勝ちたいと思っていたので、それを叶えることができて嬉しいです。
7位(失格:斜行) マチルド・グロ「ミスは残念だけど幸せな3日間だった」
今日のレースはとても良い先行ができたと思っています。早めに仕掛けて他の選手を驚かせるつもりでしたが、少しミスをしてしまい失格となったのは残念でした。ただ、競輪を走れたこと自体はとても嬉しく感じています。3日間、日本で競輪ができて本当に幸せです。
日本の競輪のルールをリスペクトしながら、もっと練習して、強い走りを見せるためにも次に向けて頑張っていきます。
11R ロング先行 逃げ切りの世界チャンピオン
| 車番 | 選手名 | 府県/期別 |
| 1 | 清水裕友 | 山口/105期 |
| 2 | 阿部将大 | 大分/117期 |
| 3 | 新田祐大 | 福島/90期 |
| 4 | ハリー・ラブレイセン | オランダ |
| 5 | 町田太我 | 広島/117期 |
| 6 | 角宗哉 | 山口/125期 |
| 7 | 中村圭志 | 熊本/86期 |
【並び】
角-清水
町田-阿部-中村
ラブレイセン-新田
レースは残り2周を前にめまぐるしく展開していく。ラブレイセン(青)‐新田(赤)が先頭にいたが、町田(黄)-阿部(黒)-中村(橙)のラインが前に出ていく。
一旦位置を下げる形となったラブレイセン‐新田だが、更に角(緑)-清水(白)ラインも最後尾から仕掛けていき、先頭に出たため、残り2周の時点で6番手、7番手の位置になってしまう。
しかし残り1周半になる手前、ラブレイセンが6番手から仕掛けていく。新田を引き連れて一気に位置を上げていくと、4コーナーでは2番手にいた清水の牽制を受けるが、スピードを落とすことなく先頭を奪い返していく。
ラブレイセン、新田、清水の順で最終周回へ。ラブレイセンが前で快速を見せていき、新田が離れずに続く。残り半周で清水がやや距離を縮める様子を見せたが、前の2人に並びかけることは出来ず。
最終ストレートではラブレイセンと新田の勝負となったが、ラブレイセンが逃げ切って先着。新田が2着、3着に清水となった。
ケイリンのオリンピックチャンピオンでもあり世界チャンピオンでもあるラブレイセン。評判通りの強さを見せる形で、デビュー戦を全て1着という華々しいスタートを飾る結果となった。
競走結果
| 着 | 車番 | 選手名 | 着差 | 上り | 決まり手 | H/B |
| 1 | 4 | ハリー・ラブレイセン | 9.3 | 逃げ | HB | |
| 2 | 3 | 新田祐大 | 3/4車輪 | 9.3 | マーク | |
| 3 | 1 | 清水裕友 | 1車身1/2 | 9.3 | ||
| 4 | 2 | 阿部将大 | 1車身 | 9.1 | ||
| 5 | 5 | 町田太我 | 3/4車身 | 9.3 | ||
| 6 | 7 | 中村圭志 | 1車身 | 9.2 | ||
| 7 | 6 | 角宗哉 | 大差 | 11.2 |
1位 ハリー・ラブレイセン「この大会に参加できて嬉しく思う」
3日間とも全て良いレースをして勝つことができたことがとても嬉しいです。レースを通してたくさんの友人もできましたし、主催者の方たちも素晴らしい対応をしてくれました。この大会に参加できたことを嬉しく思います。
2日目は天気が悪かったなかで、今日は天気も良く素晴らしいレースをすることができました。決勝戦ではどんな戦略を取るか、ずっと考えていましたが自分でも納得のいく“競輪らしい”良いレースができて良かったです。
2位 新田祐大「さすが世界チャンピオンと改めて実感」
展開としては予想通りでした。昨日ラブレイセンとラインを組むことが決まってから「前に出たらこんな感じで踏んでね」と事前に話していました。
ただ清水(裕友)が横に振って牽制した時、そこで1度スピードが緩むかと思ったら、そこからさらに踏み直していくとは思わなかったです……。競輪にまだ慣れていないとはいえ、さすが世界チャンピオンだと改めて実感しました。
最後に後ろを追いかけている時は2020世界選手権ベルリン大会のスプリント準々決勝でラブレイセンと戦ったことを思い出しました。前を走る彼を見ていると追いつけるチャンスがある、と感じる時があります。今日もそうでしたが、後で振り返ると絶対に追いつけないと分かるのですが・・・。最後にギアを1段あげることができる余裕が、追いつけるように感じてしまうんでしょうね。
ラインを組むか迷った部分はありましたが、名前を挙げてくれたのは嬉しいです。個人的にはもちろん優勝はしたかったですが、1・2フィニッシュができて良かったと思います。
4位 阿部将大「ラブレイセンが競輪をしていた」
後ろからラブレイセンが来ているのはわかっていましたが、気づいた時にはもう前に出られてしまいました。あのスピードについていける新田さんがすごいです。ただのスピード勝負ではなく、ラブレイセンがしっかりと競輪をしてくれたと思います。……強かったですね。G1を前にみんな良い刺激をもらったんじゃないでしょうか。
