競輪のレースで集まった売り上げの一部は、競輪とオートレースの統括機関・公益財団法人JKAを通じて、様々な社会貢献事業に役立てられている。
街中で見かける福祉車両や、障害者によるスポーツ大会の開催などは、社会課題の解決や、より安全で質の高い生活を目的とした「公益事業振興補助事業」という分野に属している。
そのほかにも、機械工業の振興や研究支援、省エネルギー化などをサポートしている「機械振興補助事業」という分野も。
JKAは世界に誇る日本のものづくりのを陰で支えているのだ。
漆産業を次の世代に繋ぐために
機械振興補助事業としてJKAの採択を受けている京都市産業技術研究所は、伝統ある京都の産業を受け継ぐために技術相談や研究開発に協力している公設工業試験研究所。
多様な職人とタッグを組む中、業界のアップデートに成功した代表例が漆産業だ。
1980年代後半、プラスチック製食器の増加で漆器の需要が減少し、危機感を覚えた漆メーカー・佐藤喜代松商店は、京都市産業技術研究所に相談。そこで漆の改良に向けて共に研究を進め、開発したのが高い速乾性と耐久性をもち、かぶれにくい漆の「MR漆®︎」だった。
その後、「MR漆®︎」を自動車の塗装に使用するという斬新なアイデアで世間から注目を浴びた佐藤喜代松商店は、靴やアクセサリー、工具など様々な製品に漆を施し、ホテルのエレベーターの壁も手がけるなどしてシェアを拡大。漆の新たな可能性を見出した。
新たな漆の開発や需要の拡大は、JKAによる補助、そして京都市産業技術研究所の協力がなくては成し得なかったかもしれない。
2026年1月には、JKAの支援を受けて、京都市産業技術研究所に、材料の結晶構造や組成比(定量)を測定・分析する装置を導入されたばかり。この装置がまた5年後、10年後の京都のものづくりに役立っている可能性も高いだろう。
参考:CYCLE補助事業紹介「時代にあわせて発展し続けるためには、何が必要だろう?—京都市産業技術研究所」
JKAの補助事業は宇宙にまで⁉︎
伝統産業だけではなく、未来に繋がる技術開発にも支援を行っているJKA。
従来のロケットよりも安価で開発できるハイブリットロケットの開発を進める神奈川大学 航空宇宙構造研究室と宇宙ロケット部では、研究予算に枯渇した中でJKAの存在を知り、補助を申請した。
採択で得た資金をもとに、過去の打ち上げから課題を設定し、高度20㎞を目標に新たなロケットを開発。
2024年12月に打ち上げが行われ、目標の高度までは至らなかったものの、無事に海上での機体回収まで実現することができた。
従来のロケットは、使用される燃料が爆発事故を起こすリスクがあるため、それに伴う法規制対応のための設備や、設備管理のコストも高い。
一方でハイブリッドロケットは爆発の危険性が低く、コストも抑えられるため、超小型衛星の打ち上げにも適当。宇宙研究の可能性を広げる存在として、注目を集める研究だ。
神奈川大学では今回のロケットの打ち上げの結果から、今後も改善を重ねていく予定。
JKAの補助によって開発されたロケットで、超小型衛星が宇宙に飛び立ち、宇宙ビジネスが様々な分野で広がっていく……。そんな未来もそう遠くはないかもしれない。
【速報】
ハイブリッドロケット(鈴木丸)の打ち上げに成功しました🚀
高度記録を更新できたかは確認中です
1段目と2段目の分離に成功し、機体の大部分の回収も成功しました!!#ハイブリッドロケット #ロケ部打ち上げ #神大ロケット部 #ロケット #神奈川大学 pic.twitter.com/WbafpSfxKN— 神奈川大学宇宙ロケット部/高野研究室 (@KU_rocket) December 14, 2024